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廊下
僕は一階の昇降口に差し掛かっていた。
「チコクチコク」
片言で慌てているように演出し、食パンを加えながらぶつかろうとしてくる上半身裸の一つ、二つ上の先輩が迫ってくる。
「うおっ?!」
何が起こったのか僕には分からない。だが、これだけは言える。俺の求めていた悪だと。
僕は迫って来た先輩を身を翻して避ける。先輩は壁に激突。顔面から入ったのだから痛かろう。
「イテテテっ……おっす!」
陽気に挨拶する先輩に戸惑いながらも返事をする。
「おっす………?」
僕はその不思議な状態を避たいが、避けない。だって………求めていたんだから。