始まりの拘束?
二年後
201x年4月6日赤梨市紅宮宅7;20
「で?どうしてこうなったんだ?我が幼馴染よ。」
俺…切崎 広人は幼馴染…紅宮 鈴花の黒髪の少女を横になったまま聞いた。
「さーて、なんででしょーか♪」
微笑みながら鈴花は答えた。
ちなみに現在俺は自宅にある自分の部屋ではなく、隣の紅宮家の家の鈴花の部屋のベットの上に寝かされている。何?羨ましいだと?俺の尊厳のために言うと、今俺は両手両足を麻痺させられ、その上鎖で拘束て鈴花のベットに転がされている。何?余計に羨ましいだと?今すぐ良い精神科紹介しようか?
とまぁ、話がそれたが
「さぁ?わからないから聞いているんだけど?」
こう聞き返すとこいつは喜ぶ。そして答えも返してくれる。
「実はね~、昨日ね向かいの広人の部屋の窓がね、少し開いてたの!だからね、昨日ベランダからベランダへ移動して、広人をこの部屋に連れて来たの!!」
と無邪気に笑った。
「へ~。そうなんだ~。ってぇ!なに人を思いっきり拉致してんだよ!!人をこの部屋まで運んだ上に、薬と鎖まで使って拘束するなんて、もはや拉致以外の何物でもねーよ!!」
俺は思いっきりつっこんだ。
「おぉ、記憶喪失のくせによく覚えてたね~。」
そう、俺は記憶喪失なのである。ただ…
「記憶喪失でも俺が失ったのは、思い出だけだから、知識は残ってんだよ。」
そのおかげで俺は鈴花との関係を覚えていた。そしてアイツの事も…
「っく!!」
急に頭痛が走る。その痛みに耐えかねて俺は少し顔をゆがめる。すると鈴花が敏感に察知し
「大丈夫!?」
と身を乗り出した。そして素早く鈴花の部屋に置いてある俺の薬を飲ませてきた。
「ありがとう…な」
こいつに俺の薬を何錠か渡しておいてよかった。そうしみじみ思っていると
「鈴花~ご飯よ~」
と、間延びした声で鈴花の母親の声が聞こえる。
「待ってて~今広人も連れてくから~。」
そして俺の鎖を解くと、解毒薬を飲ませてきて。
「さぁ行こ!」
と手を差し伸べてくる。
「まだ麻痺してるんだが?」
と俺は言う。
「何言ってんの?広人は男の子なんだから大ジョブでしょ!ささ行きましょ!」
と言って俺の手を強引に引っ張り俺を走らせる。
こうして、今日も日常が始まる………はずだった。
「ふーん、記憶無くなってたんだ。まぁそれでも覚えてくれてるかな?
ねぇ広人?」
紅宮家の家の前に黒い影が落ちる。そして運命は回りだす。たださまざまの人の思いを巻き込んで………