story1…召喚
「…我は汝の主なり、我に背くことあらじ」
どこかの地下室、部屋は長方形に広く、天井がやけに高い。
辺りは暗く、灯りは部屋の壁に下がっている蝋燭のみ。
「我、代償を汝に与える、王族の血、捧げ賜る」
部屋の中心には大きな魔法陣が描かれていた。
その魔法陣の中心には少女が1人、至る所から血を流し倒れている。
「汝、我が血の契約の元、姿を現すべし」
魔法陣から数歩ほど離れたところに、両手を前につきだし黒いローブを着、フードを深く被った男。
先ほどから呪文を唱えているのは、どうやら彼のようだ。
その隣には背の低い小太りな黒いローブを着た男。彼はただただ傍観しているだけだ。
この2人の男の後ろには、同じく黒いローブを着た者達が立っている。
魔法陣が光り出す。中心に倒れている少女はその光に包まれる。
「我、女神の名において命ずる。我が契約の元、出でよ!世界を統べる覇者よ!」
その呪文の言葉に呼応し、魔法陣から光が塔のように縦に伸びた。
あるはずもない風が吹き荒れる。
小太りの男はにやにやとその様を眺める。
顔を隠した男も、わずかに見える口元が笑っている。
光が徐々に収まっていく。
黒いローブを着た彼等は、ようやく目の前が見えるようになった。
魔法陣の中心には人影が2つ在った。
一つは、倒れている少女。
もう一つは床に座り、じーっとを睨みつけている男。
「コイツが…覇者…」
小太りの男が呟いた。