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ポッキーの日(11月11日)

twitterでつぶやいたネタの焼き直しです。

チワ子視点の超短編です。おまけエピソードだと思ってください。

 


 あの日の一件以来、たまに、だけど、帰宅時にツリ目先輩と会うと、そのまま一緒に帰るようになった。

 べ、べつに、待ち合わせとかしてるわけじゃないんだよ? でも、部活のない日は、何故かよく会う、気がする。それに、そういう日に限って、親友は私を置いてさっさと家路につくか、学校に残る用事があるって言って、一緒に帰ってくれない、気がする。もちろんただの私の気のせいなんだろうけど。多分。

 一緒に帰ると言っても、方向が同じだからだし、途中の分かれ道までだし、そこに特別な意味はないと思う。それに、先輩はあんまり自分からは話すタイプじゃないから、ほとんど私が一方的にしゃべってるし。しかも話題の八割が我が家のワンコについてだし。でも、先輩はちゃんと私の話を聞いてくれるし、ウチのチビちゃんのことも気に掛けてくれてるみたいだから、それがちょっぴり嬉しい。恥ずかしいから言わないけど。


 そんなわけで、今日も何故か昇降口でばったり会った先輩と一緒に歩いてるわけで。

 でも今日は、残念ながら面白く話せるようなワンコのネタを持ってないわけで。

 そんなこんなで、今日は二割しか登らないワンコじゃないネタを上げてみることにしたわけで。


「先輩、今日はポッキーの日らしいですよ」

 とは言ってみたものの、先輩はきっと『○○の日』とか『ポッキーゲーム』とか、全っ然興味ないんだろうなぁ。


 そう、今日は十一月十一日、別名ポッキー&プリッツの日。もちろんお菓子メーカーが広報のために作った記念日だとはわかってるけど、人気アイドルグループの一人がコスプレしてるコマーシャルを見たら、なんとなく気になっちゃう。

 それに私好きなんだよね、ポッキー。ちょっと塩の効いたプレッツェルに甘いチョコレートが掛かってて。ちなみに最近のお気に入りは『大人のミルク』味。


 ツリ目先輩は歩みを止めぬまま無言のまま私を見下ろして眉を潜め、肩に掛けていた鞄の中に手を突っ込んだ。

 そして、再び出されたその手が、ひゅんっと私の方へと突き出される。

 私がびっくりして脚を止めると、先輩は「悪い」と小さな声で謝った。

 でも私は、それに答えることができなかった。先輩の手にあった物に目が吸い付いていたから。

「ん。やる」

 先輩がそう言いながら、手に持つそれを──ポッキーを小さく振った。誰もが知ってるオーソドックスな赤いパッケージのポッキーの箱が、カサカサと鳴る。

「な、なんで持ってるんですか!?」

 押し付けられた箱を受け取りながらツリ目先輩を見上げると、先輩はフイと前を向きながら

「さぁな」

 と短く答えてまた歩き始めてしまう。

 まさか、わざわざ買ったわけじゃないだろうけど。

 でも、嬉しい──

 つい緩んでしまう頬を引き締めようとしたけど、全然うまく行かない。早々に諦めて、小走りで先輩を追った。ありがとうございますって言うために。


   * * *


【蛇足:ドベの心情】

 悪友に『小娘と楽しめ』って押し付けられたんだが……くれてやれってことだったのか? わからん……。


 

【元ツイート】


チワ「先輩、今日はポッキーの日らしいですよ」(先輩は○○の日とかポッキーゲームとか興味ないんだろうなぁ)

ド「……ん。やる」

チ「な、なんで持ってるんですか!?」

ド「さぁな」(悪友に『小娘と楽しめ』って押し付けられたんだが……やれってことだったのか?)

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