ジンの捜索
ジンの行方を心配して居るソフィアを城に残し、ダックとヒート王子によるジンの捜索が幕を開けた。「それにしてもジンは何処に居るんスかねえ!僕の野生の勘にモノを言わせて、捜索するしかないっス〜!」ダックが張り切る。ヒート王子は焦っていた。「早く見つけないと、魔獣の餌にされ、食べられてしまって居るかもしれない。急ぐよ。ダック。」ヒート王子とダックが全速力で猛ダッシュする。ヒート王子は、王子として普段剣術を嗜んでいる上に、戦闘の際に備えて、普段から戦闘能力を鍛えている為、ダックの人間離れした超人的身体能力の猛ダッシュにも息を切らす事無く付いて行く。二人揃って超人である。そんなこんなで人間離れした二人の体力であるが、その二人の全速力ダッシュにより、僅か十分足らずで森に辿り着く。薄暗い森である。さっきドラゴンの魔獣により、ジンが連れ去られた場所である。しかし、ジンは連れ去られてしまって居る為、もう既に居なくなっていた。ヒートが嫌な予感をする。「まさか…!ジンがもう既に魔獣に食べられてしまったんじゃ…!」ダックも不安そうに「ジン…!何処に行ってしまったんッスか!」と叫ぶ。叫び声が薄暗い森の中にこだまする。音が反響し、カラスがカアッカアッ!と鳴きながら森から飛び立って行く。「うーん。もしかすると、ジンは食べられたとかじゃなくて、魔獣に連れ去られちまったとかッスかね。」怪人二十面相の時の様に、ダックの野生の勘が冴え渡る。「そうだと良いんだが…!と言うより、それを祈って居るんだが」ヒート王子もそれを信じたいと言った様子である。「おーい!ジン!何処に居るんッスか!」ダックが大声で叫ぶ。しかし、叫び声がこだまするだけで、応答は無い。「参ったな…。」ヒート王子が弱ってしまう。ダックが慌てて元気付ける様に「とっ、兎角、応答が無い以上、この森の中に居ても埒が空かないッス!場所を変えるッス!」と叫ぶ。が、しかし、「場所を変えるったって…何処へ?」ヒート王子が疑問を口にする。「そっ、それは…!」ダックがたじろいでしまう。
―場面変わり、ドラゴンの魔獣の巣。ジンは此処にドラゴンによって連れ去られて来てしまって居た。「うわああああっ!」ジンが叫ぶ。目の前には子供のドラゴン達が何体もヨダレを垂らしながらジンをまざまざと見て居た。「グロロロロ!」
ドラゴン達がうめき声を上げる。もはや、餌としてジンが食べられてしまうのは時間の問題だった。
―「いっ、今!何処かからかジンの悲鳴が聴こえた気がするッス!僕の野生の勘がそう言ってるッス〜!」ダックが素っ頓狂な雄叫びを上げる。
「何処かからって、何処から!?」ヒートが焦る。
「分からないッス!で、でも…この森じゃない様な気がするッス!もしかすると、ドラゴンとかに連れ去らてしまったのかも。」益々ダックの野生が冴え渡る。「ドラゴンだと!?この辺りでドラゴンの巣と言うと、場所はあそこしかないな。良し!此処はダックの野生に賭けて見よう。」ダックの野生とヒートの知識を合体させ、二人はジンが捕らわれているドラゴンの巣を特定し、全速力でそこへ向かって行く。同刻、ジンは今正にドラゴン達に食べられそうになっている所だった。
「グロロロロ!」ドラゴン達が雄叫びを上げ、ジンに食らい付こうとする。「あっぶねえ!」それを間一髪でジンは躱した。ドラゴンの牙が巣に突き刺さる。ジンはすっかりパニックに陥りながら、「たっ、頼む!ダック!ヒート!早く俺を助けに来てくれえ〜!」と叫ぶのだった。
「いっ!今!ジンの悲鳴が聴こえた気がするッス!勘ですけど!」ダックの野生がまたも光る。「たっ、頼む。間に合ってくれ…!」ヒートが冷や汗をかきながら、焦るのだった。「少しペースを上げるよ!ダック!」ヒートが少し語調を強め、更にペースを上げる。「はい!勿論ッス!ヒート王子!」ダックはやはり超人的な身体能力で、息一つ乱す事無く付いて行く。「流石だね!ダック!」ヒートはそう言いながら、ダックと共に目的地へ直行して行く。
その頃ジンは、今正にドラゴンのヨダレを全身にぶっかけられている所であった。「うおおおっ!汚え!」ジンがビビる。同時に、ヨダレからは強烈な匂いがした。その匂いに、ジンは思わず鼻を抑える。「くっ、臭ええええ!」ジンはもう、もはや叫んでばかりである。そして、また再びドラゴンの牙がジンに向く。もはや、これまでか。ジンはそう悟った。同時に、人生の終焉って意外と走馬灯を見ないんだな。とも思った。ドラゴンの牙がジンにぐんぐん向かって来る。その時だった。
「やあ。遅くなったね。ジン。」ヒート王子の声が聴こえた。そして、ジャキーン!と言う音がしたかと思うとドラゴンの上半身が斜めにスライドして行き、身体が二つに切断された。ヒート王子が今正にジンを食べようとして居たドラゴンを剣にて一刀両断したのだ。「遅くなったッス!」ダックの声も聴こえる。ダックは残りのドラゴンを全て目に見えない高速のパンチで倒すと、ヒート王子と一緒にジンの前に現れた。「遅くなった。すまない。ジン。」ヒート王子が凛々しく笑顔を作ると、ダックもはにかんで見せた。「お、お前ら、
遅えよ…。遅すぎるよ…。ホントに…!」ジンが弱音を口にする。が、しかし、間一髪の所で助けられたので、ジンは、ほっと胸を撫で下ろし、こう言った。「…でも、ギリギリで助かったぜ…!有難うな。二人共。感謝してもしきれないぜ…!」ジンのお礼の台詞を受け取った二人は顔を見合わせると、また再びジンの顔を向き、二人して笑顔を作る。そうして、こう返す。「良いや。どういたしまして。僕は只当たり前の事をしたまでさ。」ヒート王子はいつも通り爽やかに返した。ダックも続く。「いやいや〜。礼には及ばないッスよ〜!」ダックは頭をかきながら、笑った。ジンはその二人の様子を見て、感謝の気持ちが脇上がると同時に、今度は女王への怒りが脇上がる。「あの糞女王ォ〜!」ジンはすくっと立ち上がると、二人に対して言った。「俺はあの糞女王が許せねえ!兎に角、さっさと城に帰って、あの糞女王の顔面に俺が直々に一発入れてやらないと気が済まねえ!」それを聞くと、二人は揃って苦笑いした。
―場面変わり、女王の城。三人共無事城に帰還して居た。不安を抱え待って居たソフィアがジンを見つけるなり、「ジッ…ジンさん!良かった!ずっと心配して待って居たんですよ!無事だったんですね!」と言いながら、目に涙を浮かべジンに走り込んでいき、抱き着こうとする。が、しかしジンがそれをするりと躱すと、女王の元へ走っていき、「このっ…!糞女あああ!!!」と叫びながら、女王の顔面に一発入れようとした。が、「お前が私の顔面に一発入れよう等と、十年早いわ。」女王はそう澄まして言うと、カウンターキックをジンのボディに食らわした。「ぐはああっ!」ジンが吹っ飛ぶ。吹っ飛んで壁に叩き付けられる。
ジンはずるずると壁に背を擦り付けながら、床に沈んで行った。その光景を見て居たソフィアが何も言わず頭に汗を掻く。シドーが口にする。
「さて、女王陛下のいたずら、ジン殿に対するイジりはさておき、一段落したら、今度こそ全員で森の林業を進めましょうぞ。」それを聞いたヒカルとソウルが口を重ね、「いや、だから、いたずらとかイジりの範疇を通り越しているって!」と叫ぶのだった。
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