第一章【邂逅】③野営地
パチパチと辺りをオレンジに染める炎。
一行が仄かに照らされる。
「副団長が帰還されたぞ!」
「二人も無事だ!」
あっという間に囲まれる。
副団長と呼ばれた男は、疲労を前には出さなかった。
「戻った」
そう、ひと言だけ。
その言葉に男たちが湧いた。
しかしそれも束の間、安心した男たちは、それぞれの持ち場へ散っていく。
そこに、一際ガタイの良い男が近づいた。
「レオン。森の様子は?」
「⋯⋯前より、荒れている」
沈黙。
「⋯そこで女を拾った。
最奥の境界線で、だ」
レオンが後ろを振り返る。
女を担いだ男は、背を向けてそれを示した。
「⋯戦士か?」
「いや、分からない。ただ、鎧は騎士が着るものと似ている。剣も軽量化されていた」
女の剣を見せる。
「⋯また、厄介なものを拾ったな」
レオンは苦笑した。
「全くだ」
後ろを振り返り、指示を出す。
「ご苦労だった。
今日はもう休め。
女は治療へ。
俺は後で行く」
指示は端的。
すれ違いざま、男が女を見る。
「⋯えらいべっぴんさんだな。絆されたか?」
男がイタズラに口元を上げる。
「馬鹿げたことを」
口にするな、と。
男は豪快に笑った。
この男の、こういう所が憎めない。
「⋯行くぞ。俺は疲れた」
「おう。お疲れさん、後でな」
のしのしと大股で去っていく無骨さ。
その奥で、白銀の髪がテントに吸い込まれていく。
「⋯選択肢は、初めから俺には無かった。それだけだ」




