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第一章【邂逅】②境界
遠くに聞こえた咆哮。
バサバサと、鳥たちが騒がしく飛び去る。
一瞬、3人が動きを止める。
息を殺す。
気配を消す。
――大丈夫、まだ遠い。
一拍。
息を整え、また足を踏み出す。
女を担いだ男が、位置を調整する。
⋯思ったより、軽い。
リーダーの男が目配せする。
受け取った男は、視線を外すことなく頷いた。
咆哮は、まだ森に残っている。
木立の隙間から、月夜を仰ぐ。
⋯長居は無用だ。
男たちは足早に、けれど静かに外界を目指した。
それから半刻。
視界の先に、拓けた土地。
それは外界との境界線。
そこを目指して進む一行。
⋯もう少しだ。
緊張と緩和が一行の足取りを早める。
近づくにつれ、歩幅が広くなる。
前陣の男が空を仰いだ。
そこは、見晴らしの良い荒野。
抜けた⋯。
安堵から、深い息が漏れる。
男はその場で振り向く。
まるで外界を拒むかのように、暗く淀んだ空気が、その異質さを物語っていた。
肩に担いだ女は起きない。
起きる気配もない。
ただ静かに、白銀の髪だけが揺れていた。




