第3話・望まれている役割は~皇宮呪師の退院~
第4章 罪に対する罰と言うなら
第3話・望まれている役割は~皇宮呪師の退院~
何処に着地させる気かと思ったら……
インスとアインのやり取りを、疲れた顔で見守っていたシリウムとチェスパスは、ちらりと一瞬、視線を交わす。
確かに、今、一番アインが優先しなければいけないのは、怪我の治療と体調を整えること。
罪の償いだの何だのは、その先。
心身ともに回復して、それから償い方を考えて、実行するなら実行する。
今回の件で、皇宮側も神殿側も、アインに対して「罰を。」とは考えていない。
けれど、細々とした部分でさせなければいけないことは存在している。
例えば、極秘訓練時の違反行為に対する反省。
指導役の指示・監督を受けず、自己判断で魔法を使う。
と言うのは、見習いには許されていない違反行為。
禁止されていても指導役の目を盗んで行う生徒が一定数発生するのが常で、大抵の場合はまず、やりかけた時点で護衛官に止められる。
護衛官の制止を振り切って行った場合、近くにいた呪師が火消しをし、該当の生徒には罰として労役などが科される。
内容は様々。
反省文の提出で済む者もいれば、何らかの当番を増やされる者などもいる。
アインに科すとすれば反省文か、書き取りか……
その罰則を決めるのは担当した指導役なので、今回はインスが決めることになる。
「……インスの言う通りだな……」
僅かの後、口を挟んだのはシリウムの方。
インスとアインが揃ってシリウムに顔を向ける。
「その上で、陛下がお前に望んでおられるのは、ファン卿が言うような厳罰を受けることではなく、優秀な呪師として育ち、国に貢献することだ」
軽く、アインが息を飲む。
「そこにいるラント呪師は皇宮呪師としては優秀だが、神官呪師としての才は無い」
軽く顎でしゃくってインスを示して言ったのはチェスパスの方。
いささか物言いに棘がある様に感じたのはアインだけか……
小さく首を傾げるアインを抱いたまま、インスはそれはそれは素晴らしい笑顔を見せる。
「そうですね。私には白魔法は使えませんからね」
返した声がいささかわざとらしく聞こえたのはアインだけではなかったようで、シリウムもチェスパスも分かりやすく笑顔を作った。
「そういうわけだから?とりあえず……」
笑顔で続けたシリウムの額に青筋。
「二人とも、今すぐ大人しく寝ろ」
「「……はい……」」
次の瞬間真顔で言われて、さすがにインスも素直に頷く。
クックとチェスパスは喉の奥で笑いを堪える。
トントンとインスの肩を軽く叩いて、そのまま部屋を出た。
「それと、明日から二人とも機能訓練を受けろ。特にインス。ここ数日サボっていただろう?少し厳しくさせるから、覚悟しておけ」
シリウムに宣言されて、一瞬だけインスの顔が引きつる。
「わかったな?」
「…………はい……」
ぎろりと睨まれて、ちょっと肩を竦めたインスは、だが結局頷く。
よし!と返したシリウムはチェスパスに呼ばれて戻って来た世話役の神官たちに指示を出し、二人をベッドに叩きこんだ。
それから、さらに数日が経って、漸くインスに魔法をかけて怪我の治療を完了させる。
一日ゆっくり休ませて、体力の回復を確認したところで先に退院となった。
退院となったが、若干ごねたインスはそれからもう数日、主神殿の医務殿に居座って、アインの回復状態を確認し、アインが一般病棟に移ったところで流石に追い出される。
ちょっとむくれた表情を隠しもしないインスを皇宮護衛官が引きずって行き、見送ったアインが唖然としていたのは昨日のこと。
インスと入れ替わるように、呪師寮でアインの世話役でもある兄弟子の神官呪師・ペルフィー=プリメーシャスが見舞いに訪れた。
第4章 第3話をお読みいただきありがとうございます。
「罪と罰」という重苦しい空気から、ようやく日常の(?)やり取りが戻ってきました。
優秀な呪師ではあるものの「神官呪師としての才はない」と断言されるインスと、それに対する彼の不敵な笑み。
大人たちの複雑な信頼関係が垣間見えるシーンとなりました。
物語のラストでは一足先にインスは退院。
そして新たな人物として、アインの兄弟子・ペルフィー=プリメーシャスが登場!
インスがいなくなった病室で、アインは彼とどんな風に過ごしているのでしょうか?
次回もぜひお楽しみに!
【本編はこちら】
姉姫様は魔族を斬りたい!~最愛の弟皇子を救うため、女神の巫女は呪いをかけた魔族を探します~
(https://ncode.syosetu.com/n1170lj/)
【今後の連載スケジュールについて】
続きは明日22時から、毎日1話ずつ更新いたしますので、どうぞお見逃しなく!
【ミニコラム掲載中!】
活動報告にて、キャラクター紹介や用語の解説などを不定期で掲載しております。ぜひチェックしてみてください!
【読者の皆様へのお願い】
「面白い」「続きが気になる!」と感じていただけたら、ぜひ【☆☆☆☆☆】やブックマーク、感想をいただけますと、連載を続ける何よりのエネルギーとなります。
また次回もどうぞよろしくお願いいたします!
【第1弾は完結まで執筆済みです。よければ最後までお付き合いください。】
【本作は「カクヨム」にも投稿しております。】
――――――
ノリト&ミコト




