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1−8 帝都クロスベルク

アウルの一言にオレとソラは顔を見合わせる。

魔道具の輸送を依頼しておきながらその馬車を襲う理由が思いつかないからだ。

一様に驚いているふたりにチラリと目をやりながらアウルは続けた。

「この襲撃にどういった意図があったのかは分かりませんが、私が信用されていない可能性もあるため、一度箱を開けて中身を確認したいと思います」

アウルの言い分はもっともだろう。

彼はヘルツェンライゲンの街であの箱を渡され、それをクロスベルクの貴族に届けるよう依頼をされた。

その時に中身を確認したかどうかは分からないが、Sランクの冒険者であるエナージュまで噛んでいるのだから、ある程度信頼の置ける筋からの依頼だったことについては間違いないだろう。

それなのに、完璧に魔道具を移送したつもりが、最初から魔道具など存在しておらず、中身が空だったとか偽物にすり替えられていたなど、変な言いがかりをつけられてはたまったものではない。


アウルが緊張した面持ちで丁寧に箱を開けると、箱の中には精巧な細工が施された美しい台座の上に青く澄んだ水晶が乗った、目を奪われるような魔道具が収められていた。

確かに、これを見せられれば詳しく確認しなくても本物であることを疑いはしないだろう。

ここまで精巧に作られたものを見せられて「偽物かもしれないので確認させてください」と言えるほどの慎重さがアウルにあれば、帝都からの護衛にあんな下位ランクの冒険者を雇ったりはしないはずだ。

アウルは箱の中から丁寧に魔道具を取り出して机に置くと、1つひとつの部位に時間をかけ、細部までこまかくチェックしていく。

3人の目線はいずれもアウルに集中し、その姿を見守っている。

そして、ひと言も発しないままその作業が終えるのを待っていた。


アウルはルーペを取り出して刻まれた魔法陣の細かい部分をチェックしたり、指で細工を撫でて感触を確かめたりしながら装飾や水晶の隅々までしっかりと確認していく。

そして、気になる部分をすべて調べ終わったのか、魔道具を机の上に置いてむんっと背伸びをした。

「終わったのか?」

待ち侘びたとばかりにエナージュが問いかけると、アウルは静かに頷いた。

「はい。魔道具は間違いなく本物であることと、壊れていて動作しないことが確認できました」

「は?」

「え?」

オレとエナージュが間抜けな声を出す。

ソラは声こそ出さなかったが呆れたような信じられないといったような顔をしていた。


そして、俺たちの三者三様の反応を見ながらふぅっとため息を吐き、頭を掻いた。

「私ならこれをなおすことができますが、果たして触るのが正解なのか、このままにしておくのが正解なのか・・・」

しっかりと蓄えられたヒゲを手で触りながら、彼の目線は魔道具を凝視している。

「けどこの魔道具、直したら触れなくなるんじゃないのか?」

オレはアウルが最初に言っていた彼がこの任務に選ばれた理由を思い出して確認する。

「そうですね。ですが、問題はそこではなくこの魔道具が壊れたまま渡された可能性もあるということです」

とため息まじりに言う。


つまり、最初から壊れていた可能性が高いが、襲撃を受けてしまった以上、襲撃の影響で壊れてしまった可能性を追及されると言い逃れができないということだ。

当然、アウルは馬車の中でずっと魔道具を持っていたし、襲撃の影響はまったくないと断言できる。

だが、最初に確認していなかった以上、襲撃のことを言及された場合の言い訳としては弱すぎる。

「それを言うならアウルに依頼したんだから正常に動作してると思ってたんじゃないのか?」

エナージュはそう言いながら頭を掻く。

もちろん確証があってのことではない。

違った場合にどうなるのか想像ができない。


「ちなみになんで壊れてるって分かったんだ?」

オレが質問すると、アウルは魔道具の一部分を指差した。

「この魔道具は強力な結界を張り、その中への侵入を防ぐための魔道具です。帝都の宝物庫などにも同じものが使われており、ドワーフの作った魔道具の中では比較的現存数が多いことでも知られています。

台座のこの部分に魔石を置くことで効果を発動するのですが、それを補助するこちらの魔石が破損しているようです。このまま使うとおそらく本来とは異なる効果を引き起こしてしまうのではないかと思います」

オレはアウルの指差した魔石に近づき、凝視する。

確かに彼の言う通り、魔石には傷が入っているようだ。


「こんな小さな傷で影響が出るのか?」

だが、その傷は本当に微細なもので、素人目に見れば依頼主すらも最初の時点で壊れているとすら思っていない可能性が高いと思えて来る。

「はい。この魔石は力を変換して水晶に伝える役割を果たしているのでこの程度の傷でも何かしらの影響は出ると考えられます」

そう言って髭を撫でるアウル。


そんな議論を続ける俺たちを見て、不意にソラが口を開いた。

「確認だが、直っているものを渡されると不都合があるのか?」

彼女の言葉にアウルとエナージュは顔を見合わせる。

確かに、先方に魔道具を渡した時「ちゃんとしたものを渡したのに壊れているとはどういうことだ!」はあり得ても「壊れたものを渡したのに直っているとはどういうことだ!」は考えにくい。

まして、アウルが指名で移送しているのだ。

最初から壊れていたというのであれば、アウルに移送してもらう理由がない。


「ちょっと癪だが、アウルがこの魔道具を直さなければならないよう誘導された気がするな」

エナージュが頭を抱えてため息を吐いた。


おそらく依頼主は、アウルが魔道具を修理しなければならない状況に追い込むために自作自演のような襲撃をしたのだろう。

そして、その結果はした金のようなお金で超高額の魔道具修理が完了した状態で手元に届くという算段だ。

もし、壊れたままであればアウルを糾弾し、渡した当初はちゃんと動いていたと言い張れば結局は同じことだ。

襲撃されたという事実がある以上、こちらも強くは出られない。


「納得したくないがこちらの心理を上手く突いているな」

エナージュはそう言うと本日最大のため息を吐いた。


だが、アウルは結局直す決断を下したようで、腰につけたポーチから作業道具らしきものを取り出し、机に並べ始めた。

「直すことにする。エナージュさんの言うように私がこの依頼に指名されたことを考えると先方は魔道具が動いていると思っている可能性が高いですからね」

そう言って作業道具を手に取り、魔道具に向き合い始めた。




「少し鍛錬して来てもいいかな」

オレはエナージュに確認すると、彼は軽く頷いてくれた。

「いいぜ。まだしばらくかかりそうだしな。アウルの護衛はいったんオレに任せろ」

彼はそう言うと剣と道具を手に持ってソファに腰掛けた。

どうやら武器の手入れをするらしい。

こういった時にも武器を手放さないのは護衛の基本なので、冒険者は護衛時暇な時は武器の手入れをしているか、修練をしていることが多い。

手入れと言っても分解して整備したり、刃を磨いたりする訳ではない。

刀身を布で拭いたり、武器屋で販売している油を塗ったりする程度だ。

「ありがとう。宿の裏庭にいるから何かあったら教えて」

オレがそう言って部屋を出ると、ソラも後に続く。


宿の裏手には、剣を振ったり魔法を使ったりできる小さなトレーニング施設のようなものがあった。

そこでオレは日課になっている素振りをこなす。

アウルから受け取った剣だ。

折れてしまった剣よりも刀身が少し長く、重さもやや重い。

オレはこれまで以上に取り回しにくくなった剣を自分のものにするため、1回1回丁寧に素振りを続ける。

実はこの剣を受け取った当初は剣の重さに体が持っていかれそうになっていた。

だが、毎日トレーニングをしているため、最近はだいぶ手に馴染んできている。


「はっ、はっ、はっ」

声を出しながら剣を振ると、その度にビュンッ、ビュンッ、ビュンッと音が鳴る。

ソラはそんな面白くもないオレのトレーニングをじっと眺めていた。


オレはソラの厳しい視線に晒されつつ剣の素振りを終えると、今度は魔法陣魔術の勉強に入る。

と言っても、こちらは魔筆を使って魔法陣を描くだけのことだ。

待機状態にして、発動させずに消し去る。

何度も魔法陣を描いて分かったことは、正確な魔法陣をしっかりイメージすること。

これは、使える魔法陣の数が増えれば増えるほど難しくなる。

だから、今は風の魔術を体に覚えさせているところだ。

結界を張る魔術なので発動させても問題はないのだが、今は反復練習なので発動させることが目的ではない。

魔法陣を描いて、待機状態にして、消して、また魔法陣を描いて・・・。

そうやってひたすら反復練習をし、ある程度満足がいったところで手を止める。


オレが魔法陣を描くことに満足したタイミングを見計らってか、ソラが口を開いた。

「なぁ、ヴィクト、今の魔法陣をこれで地面に描いてみないか?」

ソラはそう言ってオレに棒切れを手渡す。

何を今更?

そう思いながらオレはソラから棒切れを受け取り、魔法陣を描いた。

そして、愕然とした。

全然上手く描けない。

なんなら最初に描いた円の時点で歪んでいる。

文字もどこかちょっと歪で、一部スペルミスのように見えなくもないような形をしている。

アルファベットで言うところのaと書いたつもりなのにaなのかuなのかqなのかよく分からないみたいなイメージだ。

改めて自分の字の汚さにショックを受けた。


「なんで?魔筆の時は・・・」

オレはそう言ってはっとした。

イメージしながら描いているから、オレの下手な文字を補完してくれている?

そう思うとしっくりくる。

オレは再度魔筆を持ち、魔法陣の完成を思い浮かべながら円を描いた。

すると、魔法陣は円だけにとどまらず、まるで導火線に火がついているかのように魔力の光を放ちながら魔法陣を完成させていく。

すごい。円を描いただけなのに勝手に魔法陣が出来上がっていく。


ややあって、完成した魔法陣からは風が浮かび、待機状態になる。

そして、魔筆をぶんっと振ると、オレの周囲を風の幕が覆った。

「おぉ、すげぇ。ソラ、これ、すげぇぞ」

オレは目をキラキラさせながら興奮する。

「私のひと言だけでそこまで察したのか。なかなかやるじゃないか」

ソラもそう言って嬉しそうに笑っている。

オレは魔法陣魔術が実用化できそうなことももちろんだが、ソラのアドバイスでレベルアップできたことと、彼女が褒めてくれ、笑ってくれたことが嬉しかった。


オレはもう一度円を描き、魔法陣を発動させると、今度はそのままダッシュする。

すると、魔法陣は続きを描きながらオレの側を一定間隔でついてくる。

そして、動きを止めたところで風の魔術が完成し、待機状態になる。

それに満足したオレは、ホクホクの笑顔でソラの元へと戻った。


一通り鍛錬を終えると、オレは魔法陣を描き始める。

その魔法陣を見た瞬間、ソラはオレに駆け寄って来て魔法陣に入った。

「もうっ。使うなら先に言ってほしいと言ってるじゃない」

ソラはそう言ってぷくっと頬を膨らませた。

めっちゃかわいい。

こんなソラは滅多に見られない。

だが、これが見たくて言うことに従っていない訳ではない。


「いや、ソラにはちゃんといつでも専用に描くからわざわざ一緒に入らなくても」

そう言いながら、魔法陣を完成させると、その内側にいるオレとソラの周りを青いキラキラが包み込んでいく。

途端、身体中をひんやりとした感覚が走り抜け、次にあたたかい風がぶわっと広がる。

最後に残ったのは風呂上がりのようなすっきりした感覚と洗い立ての服に袖を通したような心地よさだった。

清めの魔術。

これは、水と風が組み込まれた複合魔術で、威力こそほぼゼロに近いが、旅する者にとってはかなり重宝するものだった。

オレはこの魔法陣をこの任務を受けた最初の街でソラから教わった。

それからというもの、鍛錬が終わると、汗を拭う代わりに決まってこの魔法陣魔術を使う。

そのため、ソラは必ずオレの鍛錬に同行し、魔法陣を描き始めると一緒に清めを受けた。

そして、タダで清めを受けるのには抵抗があるのか、今回のように毎回何かしら役にたつアドバイスをくれている。

だからというわけではないが、オレはソラのために魔法陣を描くつもりだし、たいして広くもない空間にふたりで立つ意味がない。

もちろん、ソラと密着できるから嫌ではないんだけど。


魔法陣がキラリと光って弾けると、ソラはぴょんと跳ねるようにその場を離れた。

「私はおこぼれで十分だよ。いつもありがとう。これだけでヴィクトに魔法陣魔術を勧めた甲斐もあったというものだ」

ソラはそう言って嬉しそうに微笑んだ。

オレはソラと密着したことで顔を赤らめつつドキドキと高鳴る心臓の鼓動を感じていた。


部屋に戻ると修理が終わったのか、アウルは魔道具を箱の中にしまっていた。

「明日でようやくクロスベルクに辿り着く。まぁ、相手はお貴族様だからその日のうちに会うことはできない。いったん到着した旨を伝えた上で宿で待機する流れになるんだが、お前達はどうする?」

質問の意図がいまいち分からなかったのだが、よくよく確認してみると貴族に会うには事前におうかがいを立てる必要があるらしい。

書状で到着を伝えると、数日後に「いついつなら会える」と返事が来るのでその時間に魔道具を持って訪れると言う流れだ。

だが、それはエナージュとアウルのふたりでしかできないらしい。

何故ならオレもソラも貴族街に入れないからだ。

だから、クロスベルクに着いたらオレとソラは依頼達成ということでOKらしい。

後日達成した時点でエナージュがギルドに報告すればオレとソラの分の報酬が支払われるという流れだ。



翌日、早朝からエルミナスを発ったオレ達は最終日の道のりを進んだ。

移動中に天候が崩れることは一度もなく、予定通りクロスベルクに到着できることにホッと胸を撫で下ろす。

「そういえばいつも思うんだけど街で魔術を使うと威力が外の半分以下に落ちるのはなんで?」

オレは馬車の中で移動しながらソラに尋ねた。

ソラは驚くほど物知りで、オレのこう言った質問に毎回欲しかった答えをくれる。

そのため、剣だけでなく魔術から一般常識に至るまで、全ての面で師匠のような存在になっている。

「魔法陣魔術の源は何だったか覚えているか?」

ソラの質問にオレは魔法陣魔術の根源は大気中のマナであることを答える。

すると、ソラはこくんと頷いた。

「そうだ。魔術は大気中のマナの濃度によって威力が大きく左右される。そして、街は往々にして魔物からの侵入を防ぐため巨大な結界が張られている。

これは巨大な魔術が常時発動している状態であり、周囲のマナは常に結界の発動に割かれ続けている。だから、外に比べてマナの濃度が低いんだ」


ソラの答えにオレは改めて納得した。

人の多いところで呼吸をすれば酸素の濃度が薄くなって呼吸がしにくくなる。

人酔いの起きる理由の一つもたしかこれだった。

マナも大魔術を展開し続けていれば周囲の魔法陣魔術に影響が出るくらい影響を受けてしまうということだろう。

「国直属の魔法師部隊は基本的に市街地戦や城の攻略などもしなければならないため魔法師でなければ務まらないというのもこれが理由だな。クロスベルクのような大都市になれば使われている魔術の量も規模も桁違いだ。マナの濃度もかなり低いと思って問題ないだろう」

ソラの言葉に、オレはクロスベルク内ではほとんど魔法陣魔術が使えないことを覚悟した。


「まぁ、仕方ないか。街中で魔術を使うことなんてそんなに多くないだろうし」

そう言いながら手に持った魔筆をくるくると回す。

「そうですね。その分帝都は魔道具の開発が盛んです。帝国は世界でも有数の魔道具大国ですし、便利なものがたくさんあるのでそれを見るだけでも楽しいですよ」

そう言ってふたりの会話にアウルが参加し、クロスベルクについていろいろと教えてくれた。


街道は常に湖を右手に進む。

その湖の巨大さに、どこまで続くのかと尋ねてみると、その執着地点にクロスベルクがあるらしかった。

北側から東側までを山脈から連なる大森林に覆われ、西には美しい湖が広がる。

そんな豊かな自然に包まれた場所に、軽く人の身長の10倍はあろうかという高い壁で囲まれた城郭都市、クロスベルクはあった。


街の中央にある小高い丘の上には陽光を反射して輝く水晶石のような素材で造られた城、クリスタルパレスが佇み、それを中心に貴族街が広がっている。

そして、壁を挟んで丘を囲むように市民街が延々と続いている。

街の規模はヘルツェンライゲンの比ではなく、延々と続く外壁はまるで万里の長城を思わせるほどだ。

これほどのものを人の力で作ってしまえるのだから魔法というのは恐れ入る。

これを見ればヘルツェンライゲンの外壁を見て大したことなさそうに語ったソラの感覚にも納得できる。


一般的に街の門はひとつしかないのだが、クロスベルクは巨大な街ということもあり、東西南北に4カ所、門が設けられていた。

とは言え、北と東はすぐに山があるためほとんど使われない。

素材採取や魔物討伐のために冒険者が利用している程度だろう。

西は山脈に沿うように北へと向かう街道が通っているため一様に利用者がいたが、あまり利用されるルートではないため、ほぼ8割の者が南側の門を利用する。

さらに、北から訪れた者の中には西門を使わずあえて遠回りをして南門を利用する人も少なくない。


オレ達は南門から伸びた長蛇の列に並び、少しずつ減っていく前の列とどんどん伸びていく後ろの列をなんとなく眺めながら他愛もない会話を続ける。

門番の確認は慣れたもので、列の長さはこれまでの街の比ではなかったけれど、待ち時間はそれほど大きく変わらなかった。


石造りの壁に穿たれた大門をくぐり、静かな影を落とすトンネルをゆっくりとぬけると次の瞬間、視界は一気に開けた。

真っ直ぐに天へと伸びるかのように続くメインストリート。その両脇には多種多様な装飾が施された建物が整然と並び、石畳に落ちる光と影が美しい紋様を描き出している。

そして、視界の先にある小高い丘の頂には、蒼天の色を映し出したかのような青色の城が、気高く、静謐に佇んでいた。


アウルが「初めてこの街を訪れた者は例外なくその絶景に恋をする」と言っていたのも無理はない。

今まさに目の前に広がっている光景と、全身を包み込む高揚感、そして、激しく高鳴る胸の鼓動が、その言葉が決して誇張でも比喩でもないことを雄弁に物語っていた。


「すっげぇ。きれいだな」

オレはまったく知性のかけらもない語彙力でその感動を言葉にする。

「だろ。オレもこの景色を見たら帰ってきたなぁって感じるぜ」

エナージュは御者台でぬんっと背伸びをすると、ゆっくりと馬車を進めた。

その脇を、先を急ぐ馬車がどんどん追い越していく。

メインストリートは広く、馬車が横並びに走ってもまだ何台もすれ違えるほどの幅員が確保されていた。


ヘルツェンライゲンやエルミナスなど、複数の街に立ち寄ったが、クロスベルクほど広いメインストリートを持つ街は他にはなかった。

そんな、東京とまでは言えないまでも、地方都市の県庁所在地くらいの規模はありそうな街並みの中を馬車で進んでいく。

ここまで来たらあとはアウルの持っている魔道具を貴族に届けるだけだ。


だが、貴族門の前まで行ってしまうと平民でも貴族相手の商人をはじめ、富裕層が多くなる。

必然、宿の料金は大きく跳ね上がる。

オレとソラが宿を探すなら必然的に門の近くということになる訳だ。


ということで、当初の予定通りオレとソラはここでお別れとなった。

後のことはエナージュに任せると、オレはアウルと挨拶を交わして別れた。

アウルもこの街に工房を持っているため、またすぐに会うだろう。


ふたりと別れたオレ達は、ひとまず宿を探すためクロスベルクの街を散策することにした。

お読みいただきありがとうございます。

初めてブクマいただきました。

まだ1件ですが、とても励みになっております。

少しでも楽しみにしていただける作品になるよう頑張っていきます。


次回はクロスベルクで宿探しです。

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