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1-2 野宿でわらしべ長者ゲーム

休憩を挟みながら数時間歩き、時々出現する魔物をソラが倒しながら進んでいると、ようやく地平線の彼方に外壁のようなものが見えて来た。


「国境の都市、ヘルツェンライゲンだ」

ヘルツェンライゲンの街は高い壁に囲まれていて中がまったく見えないが、外壁の規模を考えるとかなり大きな都市であることが分かる。


「こんな大きな外壁を築くなんてすごいな」

中世ヨーロッパの城郭都市を彷彿とさせる外壁は、遠目から見てもその巨大さが分かる。

おそらくそれは街の外周をぐるりと囲むように築かれているのだろう。

オレの記憶にある城郭都市と言えばカルカッソンヌで、その城郭は3kmに及ぶと言われている。

外壁は数世紀に渡って築かれており、膨大な時間と労力をかけて建造されていた。

ヘルツェンライゲンの外壁は広さこそそれと大差ないかもしれないが、その比ではないくらい高く、頑強そうに見えた。


「魔法師が土魔法を使って作ったものだろうな。増築を重ねてこの規模になったのではないか?」

ソラは目の前にそびえる高い外壁を、大した作業でもないかのように答える。

だが、オレはその言葉に改めて気付かされた。

そう、この世界には魔法があるらしいのだ。

であれば、無いところから大きな石を出したり、足場を組まずに組み上げたりできるのかもしれない。


ああ、魔法。

憧れを抱かずにはいられないよなぁ。

オレもチート能力を授かっていてすっごい魔法とか使えたりしないだろうか。

そんなことを考えながら歩いていくと、街の門が見えて来た。


何時間も歩き続けてようやくである。

マジで疲れた。

とりあえず街の中に入れば魔物の脅威から解放される。

それだけでも精神的に落ち着けるというものだ。


オレは逸る気持ちを抑えつつ、門に近づく。

門にはふたり、鎧をまとった兵士が槍を構えて立っていた。


おお。

これは異世界アニメで見たことあるやつだ。


やっぱり城郭都市の門には鎧を着た門番が付きもの。

中世ヨーロッパ風の世界というだけでちょっと憧れがある。

おそらく観光で訪れてもその片鱗を見ることはできるが、車がブンブン走っていたり、道を通すために外壁の一部が削られていたり、そのままの雰囲気を味わうことはできない。


少なくとも、街の入り口に槍を持った兵士が立っていることはない。

本物の城郭都市に本物の門番。

その姿を見るだけでちょっとテンションが上がる。


オレは終始観光気分だった。

街が見えて安堵していたというのもあるかもしれない。

だが、門に近づくと、当然のことながら門番の兵士に止められた。

「身分証はあるか?なければ中には入れないぞ」

オレはその言葉で我に返る。

兵士は最初からふたりが身分証を持っていないことを予想していたようで、さっさと立ち去れとでも言いたげな態度だった。


頑張って何時間も歩いて来て、ようやく辿り着いた街の入り口での塩対応である。

だが、正直なところオレは門番の失礼な態度以上に自分の平和ボケを呪っていた。

そう、街に入るのに許可証がいるとかまったく思っていなかったのだ。

予想できたことなのに思い至らなかった。

理由は単純で、日本ではどこに行っても基本的に街に入れないということはなかったからだ。

予約制のお店とかドレスコードが必要な高級レストランとかだと追い返されることはあるだろうけど、街であれば基本的にはどこに行ってもウエルカムで入れてもらえる。


遡ればお城を外壁で囲んでいた時代はあったが、街ごと壁で囲んでいたとなるとどうなのだろう。

平安京とかはそれっぽいものがあったような気もするが、正直歴史の教科書に書かれている以上のことは知らないし、知識として持っていることと、常識として思っていることは違うのだ。


「身分証は持っていないのですが、作ることはできますか?」

ヴィクトの言葉に兵士は怪訝そうな表情を浮かべている。

「持っていないのに入る場合は通行証を1人銀貨1枚で購入するしかない。この場合、街の中で身分を登録するか、3日以内に町から出る必要がある」


どうやら中に入るには身分証がなければお金がかかるらしい。

だが、当然オレはお金なんて持っていない。

ソラの方を見ると、彼女も首を横に振っている。

不謹慎ではあるが、こうなることが分かっていれば先ほどの馬車で少しお金もいただいてくればよかったのかもしれない。

いや、そんなものをあてにするのはよくないか。


「魔物を倒したらお金とかもらえたりしますか?」

オレは、鬱陶しそうにしている門番の兵士に食い下がってなおも質問を続ける。

「魔物の素材買取は冒険者ギルドの仕事だ。街に入る権利がない奴には無理だ」

だが、そんなオレに兵士の態度があからさまに悪くなっていく。


「なら・・・」

と、さらにもうひとつ質問をしようとしたところでぐいっと肩を引かれた。

振り返ってみるとそこにはかなりご立腹な顔の男が立っていた。


「小僧。用が終わったならさっさと道をあけろ。邪魔だ」

どうやらいつの間にか後ろに次の人が来ていたらしい。

かなり豪華な馬車が止まっていた。

男の態度は非常に腹立たしいものではあったが、食い下がって時間を取らせた自分も良くなかったかもしれない。


それに、馬車に乗っているのはかなり高貴なご身分のお方か、あるいは金持ちか。

いずれにしても、ここで粘って顰蹙(ひんしゅく)を買うのは得策ではないと思えた。

そのため、オレは一歩下がって先を譲る。


それを見た男はフンと鼻を鳴らし、馬車の方へ戻っていくと、馬車の前に立つ小柄な女性に声をかけた。

おそらくソラと身長はあまり変わらないだろう。

ローブを被っていたが、そこにある栗色の髪の毛とぱっちりとした瞳が見える。


彼女は男の言葉に頷くと、馬車の扉を開けて主人と思われる中の人と短い会話を交わす。

そして、女性は馬車に乗り込み、男は御者代に座った。

彼は彼で待たせると中の主人に怒られてしまうのだろう。

先ほどのオレへの態度とは大違いで、かなりへこへこしている。


馬車が前進すると、馬車の窓が開いた。

「ノベルタ商会だ。ヴァイス公爵からの呼び出しで帝都に向かう道中に立ち寄った」

そう言って馬車の扉から男が兵士に紙を渡す。

兵士はそれを見ると、紙を男に返し、敬礼をした。

それを見ることもなく、馬車はすぐに街へと入っていく。


商会ということはおそらく商人だろう。

貴族との取引かなにかだろうか。

彼らが街へと消えていったのと、次の順番待ちがいないことを確認すると、オレは再度門番に話しかけようとする。

だが、門番の方は相手をしたくないというのが見え見えで、かなり面倒くさそうにこちらを睨みつけた。


「なんだ?まだ何かあるのか?」

あからさまに嫌がられているというか、歓迎されていないのが伝わってくる。


「ヴィクト。私は別に野宿でも構わんぞ」

オレの方を見ながらソラはそう言った。

さすがにオレもこれ以上粘っても状況が良くなりそうにないことは理解していた。

そして、街に入ることは不可能だと悟ったので、ここは身を引くことにした。


とりあえず回れ右をして門から引き返すと、外壁沿いの見晴らしの良い場所で夜を明かすことに決めた。

壁に腰掛け、暮れていく太陽をなんとなく眺める。

それは、一面の草原を赤く染め、美しく輝いている。

だが、今はまったくそういった感傷に浸っていられる気分ではなかった。


ヘルツェンライゲンの周辺はくるぶしくらいまでの草が生い茂っているだけの草原だ。

木が生えている訳ではなく、木の実が採れるとは思えない。

野宿と共に温かいご飯にありつけないことがほぼ確定してしまう。

木がないから焚き火もできない。

日が出ている昼間は暖かかったが、日が沈むと寒いと感じるくらいの気温になるだろう。


「参ったなぁ」

正直、オレは本当に参っていた。

ソラが馬車から持ち出してくれていた食べ物を分け合って少し口にしたが、食料はそれが最後だと言う。

このままここにいても街に入れそうにないが、かといって次の街に移動しても入れる保証はない。

極め付けは、この草原には魔物が出る。

それなのに火が焚けないということだ。


明かりは魔物を呼び寄せるので、ないならない方が良いというのもひとつの考え方らしい。

だが、魔物の一部は火を怖がって寄りつかないので、ナシではないというのもまた、一つの考え方として存在する。

ちなみにどちらもソラが教えてくれた。

「まぁ、ここでは火が焚けないから自然と暗闇の中で一夜を明かすことになるがな」

という絶望的な言葉と共に。


ソラが起きている間であれば魔物は彼女が討伐してくれる。

だが、オレは見張りに起きていてもはっきり言って役に立たない。

せいぜい悲鳴をあげてソラを起こすくらいのことができる程度だ。

内心ドギマギしまくっているオレを見て

「どうした?ヴィクト。そんなに緊張しなくても見張りは私がやるから大丈夫だぞ」

ソラはそう言って余裕そうに笑っている。


夕暮れに反射して透き通るようなソラの肌が赤く染まり、彼女の碧眼がキラキラと輝いているように見える。

「なぁ、ソラ、オレも強くなれるかなぁ」

ソラから渡してもらった剣に手を添える。


昼間、ソラが魔物を倒す姿を見ていることもあって、自分が戦うことが足手纏いになる可能性が高いことは十分に理解している。

それでも、この世界に来た以上はずっと彼女におんぶに抱っこという訳にもいかないだろう。

オレの言葉にソラは親指を立てる。

「いいよ。みっちり鍛えてあげる」

ちょっぴりやる気っぽい部分には不安を覚えたのは言うまでもない。

「お手柔らかに頼むよ」

と告げて少し横になる。


何時間も歩いたこともあって身体はもうクタクタだった。

護衛のことやこれからのことなど、考えなければならないことはいくらでもあるのに、急激な睡魔に襲われ、オレはそのまま眠ってしまった。


グオオォォォォォォォ


この世ならざるモノの叫び声によってオレは飛び起きた。

次の瞬間、目の前に月明かりに煌めく巨大な顔が降って来た。

ドンっという音と共に軽く地面が揺れる。


「うっ、うわぁぁぁぁっ」


慌てて飛び起きたオレは一瞬にして覚醒し、ドキドキしながら突如現れた巨大な顔に目をやる。

顔は鱗に覆われており、ヴィクトの身長ほどもある大きさで、口をパクっと開けたらあっさり食べられてしまいそうだ。

だが、その口は開くことはなく、さらに言うと閉じられた瞳も開くことはなかった。


「すまん。起こしてしまったか」


慌てているオレの元にソラが駆け寄って来た。

どうやら目の前の魔物はソラが倒してくれた後で、首を切り落とした際に宙を舞った顔がオレの前に落ちて来たところだったらしい。

飛び起きる原因となったのはソラに切り付けられた際の断末魔の声だったようだ。


「あ、いや、こちらこそごめん。いつの間にか眠ってしまったみたいだ」


ソラはオレが起きるまでずっと護衛をしてくれていたようで、先ほど倒れた巨大な魔物以外にも月明かりでいくつか魔物の死体があることが分かる。


「疲れていただろうからな、それは問題ないんだ。だが、魔物がやって来てしまって、野営の時は本当は敵を追い返すのが一番なのだが、威嚇のつもりで振った剣で倒してしまってだな。

今度はその死体の匂いを嗅ぎつけて次の魔物がやってきて。どこかに捨てにいくにもヴィクトを置いてはいけないし、とりあえず倒していたらどんどん魔物は大きくなっていくし、困っていたのだ」

ソラはちょっとあわあわしながら身振り手振りでまるで言い訳をするように聞いていないことまで説明してくる。


あれ?ソラってこんなキャラだっけ?

寝る前までのクールでかっこいい美少女キャラはどうした?


そんなことを思いながらオレは話を聞いた。

最初は魔物がどんどん強くなって対処しきれなくなってきたみたいな話かと思っていた。

だが、実際には強さは関係なく、いや、関係ないことはなくて、大きさと強さは比例していたけれど全部一撃で首を切り落として倒したのでソラ的にはまったく関係なかったらしい。

ただ、大きさだけはどうしようもなく、このままでは野営場所が魔物でいっぱいになってしまうという話だった。

何がどうしてこうなったのかは不明だが、このまま放置すればそのうちドラゴンが空から出現しそうなレベルだったそうだ。


オレはまさか寝ている間にソラが魔物とわらしべ長者ゲームをしていたとは思わなかったので、完全にすやすやと眠ってしまっていた。

話を聞いて改めて周囲を見渡してみると、月明かりでしか見えないが、ざっと確認しただけでもさっきの巨大魔物を含めて数体は死体が転がっている。


「とりあえず門番の人に相談してみようか。夜中でも人はいるだろ」


今が何時なのかは分からないが、そのうち夜が開けるくらいの時間だということはなんとなく分かる。

朝を待っても良いのだが、魔物の強さがどんどん増しているらしかったので、このまま放置してドラゴンでも出て来た日には街に迷惑がかかってしまう。

いや、そんなことにはならんと思うし考えるのもやめておいた方がいい。

フラグなんぞ立ててもろくなことにはならない。


どうでもいいことを考えながら外壁沿いを門に向かって歩く。

オレとソラが門に着くと、門番は暇そうに雑談をしているところだった。

昨日の夕方からは担当が交代したのだろう。

まったく違う人に変わっている。


「こんな時間にどうした?」

楽しそうに雑談をしていた兵士だったが、オレとソラを順番に見ると、険しい表情を浮かべ、かなり警戒したようにこちらに問いかけてくる。

だが、彼らの反応は当然だ。

何しろ今は明け方に近い時間。

普通はオレやソラのような年齢の少年と少女がこんな時間に街を訪れたりはしないだろう。

男は門番をしていてこんなことは初めてだとでも言いたげな表情を浮かべながら怪訝そうにしている。


「えっと、昨日の夕方、門番の方から街に入れないと言われて外で野宿してたんですけど、魔物を倒してたら倒した魔物を漁る魔物が次から次に現れてちょっと収集がつかなくなってしまったんですよ。とりあえず一度見てもらいたいんですけど」

オレがそう言うと、門番はさらに警戒を強める。

そりゃぁそうだよね。

こんな子供が、しかも外で野宿してて魔物を倒しましたなんて言われても信じられないよね。


「悪いな。今は夜だから人が少ないんだ。朝まで待つことはできるか?」

男はそう言って木札を取り出す。

おそらくメモ帳のようなものなのだろう。

それに今伝えたことを記入し始めた。


「待つのは大丈夫ですけど・・・倒した魔物って放置してても大丈夫なんですかね」

「ゴブリン程度の魔物を数体放置しておいたからといって大したことにはならない。朝には見に行くからそれまでは・・・」

門番にあっさりとあしらわれようとしていると、剣を携えた男が門にやって来た。

「何かあったのかい?」


男はスラリとした細身の体つきの優男で、金髪に切長の目をしている。

「今日はこんな時間になんでこんなに人が来るんだ」

新たな人の来訪にため息を吐く門番だったが、

「エナージュ、冒険者だ」

そう言ってエナージュと言った男がカードのようなものを兵に見せると、兵はすぐに敬礼をする。

「失礼しましたっ!」

と言っているあたり、高ランクの冒険者だったのだろうか。

それとも、別に理由があったのかは分からないが、兵士の態度の変わりようは明らかだった。


「それで?どうした?」

エナージュの質問にオレが先ほど門番に言った話をする。

「あぁ、確かに今、君はここから離れることはできないから難しいな。いいよ。オレが行こう」

エナージュはそう言ってふたりに案内を促す。

オレは彼を連れて先ほど野営していた場所に戻る。


夜明けが近いのか、空が白み始め、少し先ほどよりも景色が見えるようになって来ていた。

「うへぇ。なんだこりゃ」

現場に近づくに連れてというか、夜が明けるにつれてというか、現場の状況が露わになったことでエナージュが驚きの声をあげた。

「地竜じゃねぇか。それを首から真っ二つとか、とんでもねぇ倒し方だぞ。それ以外のゴブリンにフレイムジャッカル、ダーククロウまで。なんでこんなとこにこんな強い魔物が出現したんだ?地竜なんかお前達が倒してなきゃ街に被害が出てたかもしれんぞ」

何が起きたのか分からないとでも言いたげにエナージュが頭を抱えている。

どうやらフラグを立てる前に既に竜種である地竜を倒してしまっていたらしい。

まぁ、強さ的には普通らしいので、竜種とするかトカゲの一種とするかは意見が分かれるところな気がするが。


「こんなとこにこんなもの放置されてても困る。お前達から冒険者に解体を依頼する流れでいいか?解体依頼を出しても素材を売ったお金で十分お釣りがくるからお金の心配はしなくていい」

エナージュの言葉はありがたいが、それができるならオレ達はすでに街の中だ。

オレは自分たちが街に入れないこと、そのためギルドカードも持っておらず、依頼が出せないことなどを説明した。

「なるほど。それでこんなところで野宿することになったって話か。分かった。オレがギルドに掛け合ってやる。冒険者として登録する流れで問題ないか?」


エナージュの言葉にソラの方を見ると、彼女は無言のまま親指を立てている。

どうやら彼女もオッケーのようだ。

「分かりました。お願いします」


オレがそう言うとエナージュはすぐに冒険者ギルドに掛け合ってくれたようで、1時間もすると冒険者ギルドから雇われたという人がふたりの元に訪れ始めた。

思っていたよりも子供が多い。

まだ朝早いので子供は寝ている時間という印象なのだが、朝イチに出された下位ランクでも受けられるおいしい仕事とあって希望者が殺到したらしい。


依頼を受けた冒険者達は手慣れた様子で魔物を次から次へと解体していった。

その手際の良さには目を見張るものがある。

冒険者としてやっていくならこういった技術も会得しておいた方が良いかもしれない。

日本人の一般的な感性を持つオレはもっと気持ち悪くなるかと思っていたが、不思議とふつうにその作業を見ることができた。

おかげで解体がどういうもので、どうすればいいのかというのがなんとなく分かった。

次からは道具さえあれば自分でもできそうな気がする。


そんなことを思っていると、エナージュがオレに声をかけてきた。

「本来はギルドに売って報酬を受け取るのが筋なんだが、それだと門で詰んじまうからオレが今、お前らからこいつらを買い取るって話でいいよな」

オレとソラは身分証を持っていないためお金を払って通行証を発行してもらう必要がある。

その上で冒険者ギルドへ行き、ギルドカードを発行してもらうのが一番確実らしい。

ギルドカードは身分証代わりになり、持っていれば帝国の街に入ることができるようになる。


ちなみに、同じ人がカードを新規発行することはできない。

どういう原理かは分からないが、紛失や破損などで再発行する際に嘘をついて新規だと言っても再登録だということがバレてしまう。

冒険者ギルド以外の、例えば商業ギルドなどで新規登録をしようとしても分かるようになっている。

犯罪歴や良くない経歴もすべてカードに登録されてしまうそうだ。


その話を聞いてちょっと焦った。

何故なら、オレはもともとのこの体の主の記憶がないからだ。

もし、帝国でギルド登録をしていた場合、新規登録ではなくなる。

そして、仮に犯罪歴がある人間だったとしたら最悪ギルドで人生が詰んでしまう可能性もある。


そんなことをちょっぴり考えたりもしたが、ソラの話が真実だとすれば、身ぐるみをすべて剥がされた挙句あんな平原の真ん中に捨てられるような人間だ。

悪事を働いていたとしても高が知れているだろうと思い、オレはその可能性をそっと胸の内にしまい込んだ。


少し考えた結果、エナージュの提案にオレはありがたく了承した。

最後までお読みいただきありがとうございます。

街に着いたのに中に入れませんでした。

次回はギルドで冒険者登録をしてソラに剣を習います。

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