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1-12 ゴブリン討伐(中編)

廃坑の中は真っ暗だった。

ゴブリンは夜目が利くのだろうか。

こんな暗い廃坑の中で明かりもつけずに。


オレは光の初級魔法の魔法陣を描き、明かりを灯すと、それをカイルの用意していたカンテラの中に入れた。

強力なLEDライトのように遠くまで見通せるわけではないが、前後10メートル先くらいまでは確認できる。

これである程度敵を目視した上で戦うことができるだろう。

加えてこちらにはフェレールの魔力感知がある。

彼に任せておけば暗闇からの奇襲攻撃も防ぐことができるはずだ。

条件は悪くない。

となれば、よほどのイレギュラが起きない限り後手に回ることはないはずだ。


「ありがとうございます。こういう場合、詠唱魔法は魔力を消費するので魔法陣魔術を使える方がいると助かりますね」

じっと前を見据えながらフェレールはオレに感謝を告げた。

「魔法師の方々は魔法陣魔術を覚えようとは思わないんですか?」


この世界には2種類の魔法がある。

それなのに、冒険者をはじめとする戦闘に関しては圧倒的に詠唱魔法を使用する魔法師が重宝される。

理由はもちろん戦闘に役立つからなのだが、こういった補助的な部分においては魔術師の方に利がある。

魔法師が使用した詠唱魔法の魔力がたとえたいしたことはなかったとしても、何度も使えば魔力は枯渇する。

そして、限界がある以上、魔法師は戦闘以外に魔力を使用することを嫌がる傾向が強い。

だからこそ、ゼルンに魔法を使ってもらうのではなく、火を灯すためのカンテラを持っていたわけだ。


そうやって魔力を使わない努力は欠かさないのに、魔力をほぼ使用しない魔法陣魔術は意地でも覚えようとしない。

という、ある種意地やプライドのようなものをこの世界の魔法師には感じる。

「まぁ、多少思うことはあるかもしれないが、実際にやるやつはいないだろうな」

フェレールはそう言って肩をすくめた。

彼も魔法師だ。

分かってはいるのだろう。

魔法師が魔法陣魔術を学ぼうとしない理由は、決して専門分野である魔法陣魔術のみを極めたいという純粋な探究心ばかりではないことを。


そんな会話をしながら歩いていたところ、フェレールが足を止めた。

そして、暗闇の先を睥睨する。


「いるな。30体。いや、まだ後ろから増えているか」

そんなことを考えていると、フェレールがつぶやいた。

他の面々もそれが分かっているのだろう。

進行する速度がやや遅くなり、警戒と共に張り詰めた空気が伝わってくる。

まだ明かりの届く範囲にゴブリンが入ってきていないため、オレの視界にその姿は確認できない。

だが、前で剣に手をかけながら警戒しているソラとグレンの背中が戦いが近いことを伝えてきている。

そして、次の瞬間、左側に立つ小さな背中が消えた。

「お、おいっ!」

グレンが慌てて声を上げる。


暗闇の中で赤い光が瞬く。

グゲェ

ギギャァ

ゴブリンの鳴き声と赤い光が繰り返されている。

「行くぞ」

フェレールの言葉と共に明かりを持つカイルが前進。

ソラが倒したゴブリンの死体が床に転がっているのが見える。

それを避けながら駆けていく。


だが、オレは知っている。

ソラがどれほどのスピードでゴブリンを倒すかを。

「あの子、暗闇でも見えてるのか?」

フェレールが信じられないという感じで言う。

ソラは森の中で姿を消しているゴブリンの居場所を認識することはできなかった。

つまり、おそらく見えているのだ。

この暗闇の中で外と同じくらいに。

それはもはや夜目が利くというレベルではない気がする。

それこそ、赤外線スコープでもついているのではないのかというほどに。


俺たちがソラに追いついた時、彼女は目の前にいるゴブリンをすべて倒し終えた後だった。

フェレールも魔力感知で周囲をチェックしているが、姿を消したり隠れたりしているゴブリンはいないようだ。

「お前、すげぇな。暗闇の中でも見えてるのか?」

グレンがみんなが聴きたかったことをソラに確認する。

「ああ。お前達よりは見えているだろうな」

ソラははっきりと言い切ってから行く先を見据えた。

もちろんその先には今はまだ何もいない。

それはフェレールも魔力感知で確認済みだ。

だが、彼は深層にまだまだ多くのゴブリンの存在があることを知っている。

だからこそ、自身がその実力を理解しているグレンと並んでも見劣りしない少女の存在を頼もしく思っていた。


「ソラ、次は動かないでくれ。グレンが手持ち無沙汰でウズウズしてるからな」

フェレールはこのまま放っておけばすべてのゴブリンをソラひとりで倒してしまうとでも思ったのだろうか。

彼女に次はグレンに譲るようにお願いをした。

「分かった。だが、危険そうならすぐに動くぞ」

「あぁ。構わない。そうしてくれ」


俺たちはすぐに前進を開始した。

坑道は下へ、下へと続いている。

「グレン。いるぞ」

ソラがグレンに告げた。

フェレールも気づいているのか、警戒しつつ今から迫ってくる敵に攻撃をしようと身構えている。


明かりの届く範囲にゴブリンが入ってきた。

その瞬間、グレンが動いた。

見えてさえいれば、その剣先はソラと変わらない速さで敵に届く。

そして、光が届けばカイルからの援護もある。

彼らの連携は完璧だ。

オレとソラの連携に比べると雲泥の差と言えるだろう。

まぁ、オレとソラの場合、実力差がありすぎてオレが何もできないことが多いのが原因なのだが。



流れが変わったのは廃坑が中腹を過ぎた頃だった。

フェレエールが

「グレンっ!」

と叫んだ瞬間、彼の目の前を赤い影が走る。

「うぉっ」

グレンが数歩後退り、目の前で剣を振り抜いたソラの方を見た。


「グレン、あっちだ!」

ソラが指差した方を見た瞬間、フェレールの炎魔法が何もないと思われた場所で轟音を上げた。

炎が消えた後には片腕をなくし、地面に横たわるホブゴブリンの姿が残っている。

さらに、グレンの足元にはなくなったホブゴブリンの右腕が転がっていた。

それを見て、口にせずとも全員が全てを悟っていた。

透明化の魔法で姿を消したゴブリンが攻めてきている。


「グレン、音を聞け。ゴブリンより多少動きは早いが単調なことに変わりはない。1体や2体ならまだ対処できる」

ソラはそう言って剣を構えた。

だが、普段なら一撃で仕留めていたソラの剣が片腕を落とすにとどまったところを見ても、それがあくまで予測による対処であり、完璧ではないことを物語っていた。


「まだまだ来てるぞ。30体くらいはいる。最初は2体。あと10メートルくらいで目視の範囲に入る」

フェレールは暗闇に包まれた坑道の先を見ながら警戒を促した。

その指示も先ほどより細かいものになっている。

「あまり離れないでください」

オレはそう言って風の魔法陣魔術で結界を張り、弓矢での遠隔攻撃を対策した。

案の定、その後数本の矢が結界に弾かれて地面に落ちた。


「くそ。なんとか見えるようにできねぇのか」

「無茶言うな。知ってたらとっくにやっている」

グレンの言葉にフェレールが歯噛みしながら答える。


姿が見えなくても敵がいることが分かればいいんだ。

オレはナタリーが教授に借りてくれた水魔法の本の中からひとつの魔法陣を思い浮かべて描いた。

魔筆が何もない空間を走ると、そこに淡く輝く線が描かれる。

程なくしてそれは完成し、魔筆でトンと叩くと青い輝きを放った。

すると、魔法陣から勢いよくシャワーのような水が放出される。

それはまるで洞窟に雨が降っているかの如く、水を撒き散らしていく。

いや、正確には魔法陣から真っ直ぐ放出されるため、オレがその角度をぐいぐい変えながら無造作に放っていく。


この魔法陣は畑に水をやるためのもの。

その中でも、広い畑に対応できるもので、魔筆の先がシャワーの蛇口のようなイメージになり、向きを帰れば水もその方向に飛んでいってくれる。

「ヴィクト、ナイスだ」

ソラはそう言って不敵に笑った。


透明化していたホブゴブリンも、存在が消えているわけではない。

雨が当たれば弾かれるし、水たまりを踏めばパシャッと音が立つ。

「ヴィクト、次は右奥の尖った岩がある方だ」

オレとソラの連携を見て状況を察したフェレールがオレに敵の場所を指示してくれる。

その指示に合わせてグレンは既に走り出していた。

水がゴブリンに命中し、不自然な場所に水しぶきが上がる。

「そこかっ!」

ソラもグレンも居場所が分かれば敵がゴブリンであろうがホブゴブリンであろうが関係ないようで、一閃の元に切り伏せた。

絶命したことで透明化が解除され、床にゴブリンの死体がゴロリと転がる。


フェレールが場所を指示し、オレがそれに従って魔法陣からシャワーを放つ。

ソラかグレンのいずれかがその方向に走り、飛び散る水しぶきを見ながら攻撃を加える。

その繰り返しで透明化したゴブリンを追い詰めていく。


「坑道中央。光の届くギリギリの範囲。こいつで最後だ」

フェレールがそう言うと、直後に水が降り注ぐ。

ギギィ

すでに場所が悟られていることを察したホブゴブリンが勢いよく駆け出した。

ゴブリンとは違う、素早く力強い突進にオレの反応が少し遅れてしまう。

だが、直線上は水しぶきの範囲内。

直撃せずとも手前で落ちた水滴がその場所を伝えた。

その瞬間、ホブゴブリンの頭部は胴体とくっついていなかった。


最後の1体の首がぼろりと崩れ落ち、胴体がベシャッと水音をたてながら地面に転がる。

次の指示がないことで全員の視線がフェレールに集まった。

「終わりだ」

彼がそう言って警戒を解いたことで全員に安堵の表情が浮かんだ。


グレンが無言でオレの方に歩み寄り、右手を挙げる。

オレは自身の右手をその手に合わせ、パンっとハイタッチを交わした。

「いやぁ、こんな出番のない戦場はワイバーン戦以来だな」

弓を下ろし、まったく出番がなかったカイルが苦笑する。

グレンに身体強化をかけて以降特に何もしていないゼルンもこくこくと頷いた。

ちなみにソラは身体強化の魔法を嫌がった。

慣れていない身体強化は動きを鈍らせるというのがその理由だった。


ゼルンは戦闘中、カイルからカンテラを受け取り、杖にひっかけて高いところから戦場を照らしてくれていたようで、その杖をおろしてカンテラをカイルに返していた。

「いや、さっきの機転は素晴らしかった。私ひとりでは対処しきれず大変なことになるところでした」

フェレールがそう言ってオレの肩をポンポン叩いてくれる。


「いやいや、俺たちがいなかったらそれなりの対処をしてたでしょ」

「無理だ。おそらくグレンがホブコブリンのナイフで毒を受けて撤退するのがオチだな」

そう言うと、フェレールは床に転がっているナイフを拾い上げた。

そこには粘性が高く、オレの水魔法を浴びた程度では剥がれていない、得体の知れない液体が今も葉の部分にくっついている。

「うへぇ。毒ナイフだったんですね」

もしこんなものでソラやグレンが傷つけられていたらと思うと背筋がゾッとする。


「待て待て、オレだって解毒魔法くらい使えるぞ」

ぜルンがちょっと憤慨している。

だが、フェレールはそういうことを言っている訳ではない。

「そのくらいは知っている。だが、解毒魔法は連続して使うと効き目が落ちる。さっきの戦闘を見てなかったのか?」

フェレールはいちいち言わせるなとばかりにゼルンを睨みつける。


魔力感知ができてもその情報を伝えるのは難しい。

見えていない敵を相手に攻撃を受けてしまい、毒と解毒を繰り返してだんだん効き目がうすくなり、真っ青な顔になっていくグレンの姿はなぜだか簡単に想像できてしまった。

ぜルンもそのことに気付いたのか、返す言葉もなく沈黙した。


「そうだ。ソラ、助かったぜ。ありがとな」

グレンが思い出したようにソラに感謝を告げた。

最初のホブゴブリンがグレンの目の前でソラに倒された時のことを言っているのだろう。

グレンは彼女に恐縮しているようだった。

「問題ない。音で近づいてきているのは分かったからな」

ソラは言葉こそそっけなかったが、なんだかいつもより嬉しそうだ。

口元を少し歪めながらこちらを見ている。




「それにしてもよくあんな魔法陣を覚えていたな」

再度歩みを進め始めたところで、ソラがオレに問いかけてきた。

オレの横でフェレールも興味あり気に見ている。

「ナタリーから借りた『水の魔法陣と魔術具』という本にあった生活魔法のひとつだよ。やや広範囲の畑に水をやるためのもので、詠唱魔法で使うより魔法陣魔術の方が使い勝手が良いと描かれていたんだ」

「なんでそんな魔法陣を覚えてたんだ?」

「いや、森で見えないゴブリンアーチャーに遭遇して退散した時、敵が見えてさえいればソラならなんとかしてくれると思ったんですよ。

だから、この魔法陣を使って色付きの水を雨みたいに降らせれば、透明で見えなくなったゴブリンもその上から色がついて見えるようになるんじゃないかって思って。

その魔法陣自体は未完成だったけど、足音だけでも腕を切り落とすぐらいの戦闘ができるソラだったら元の魔法でも水滴が跳ね返ったのを見るだけで倒しちゃうんじゃないかと咄嗟に思ったんだ」


オレは今回の魔法陣を覚えた経緯と、それを使おうと思った理由について簡単に説明した。

「なるほど。君は相変わらず面白いことを考えるな。そういった本来の用途にとらわれない柔軟な発想は君の長所のひとつだろう。彼女との相性も良さそうだしな」

フェレールはそう言ってちょっぴり悪戯っぽく笑った。


バカバカ。

何言ってるんですか。

オレみたいな何もできない小物が思いつきの魔法陣魔術を使ってなんとか小手先で対処しているに過ぎないのに、天下無双みたいなソラと並べられてしまうと怒られますって。

そう思って恐る恐るソラの方を見ると、彼女は特に気にした様子はなかったので心の中でホッと胸をなで下ろした。


その後、ソラはグレンの隣に戻ろうとして凸凹した地面に躓いて「わっつっ」と声をあげ、手をぶんぶんと振り回しながら転びそうになるのをなんとか耐えていた。

ソラにしては珍しい姿なのだが、それにしてもさっきまで悪鬼のごとくゴブリンを薙ぎ倒していたとは思えないくらい可愛い。

グレンから「大丈夫か?」と聞かれ、「心配ない」と目を逸らしながら答えている姿もなんだか微笑ましい。


だが、そんな和やかな雰囲気が続いたのはほんの短い時間だった。

坑道の深部へと進んでいくにつれ、誰も口を開かなくなっていく。

素人のオレですら、全身がヒリつくような空気に支配されていることに気づいている。

一人だったら今すぐに引き返したくなるような張り詰めた雰囲気。

それでも足を前に出せるのは、一緒に先を目指してくれる仲間がいるからだ。


「この先にいますね」

フェレールがそう告げた先には篝火が焚かれているのか、坑道に炎によってゆらめく明かりが漏れていた。

近づいてみると、そこには広い空間があった。

RPGなどで言うところのボス部屋のような場所だろうか。

縦横は30メートルくらいあるのではないかというくらいの大きな空間だ。

両脇に等間隔に篝火が焚かれ、最奥まで導くようにオレ達の行く先を照らしている。


そして、最奥にはオーガと言われても納得してしまうような、サイズがバグっている巨大なゴブリンが座っている。

そして、脇には杖を持ったゴブリンメイジが1体。

篝火の先で花道をつくるかのようにゴブリンロードが10体並んでいる。


「なんだ。ここは」

フェレールが坑道に突如開かれた広大な空間に驚いている。

つまり、この場所は廃坑を管理しているギルドが確認していない場所ということになる。


「ロードが10体ってだけでも痺れるのにメイジとキングがいんのか。こりゃぁSランク案件だぜ」

グレンがため息まじりにこぼした。

この国における冒険者の最高ランクはAランクだ。

ギルドの依頼達成によって到達できる限界はAランクであり、Sランクにはなれない。

だが、現実的にSランクは存在する。

エナージュもSランクだった。


結論から言うと、Sランクは冒険者のランクではない。

国家レベルの災害級と認定された魔物を討伐する者。

それがSランクという肩書きだ。

冒険者ギルドではなく、国が直接任命するため、Aランクの中でも群を抜いた強さを持ち、なおかつ国と不仲ではないという条件がある。


「グレンはエナージュと一緒にSランクに推薦されたのに『めんどくせぇ』って断っただろ?」

フェレールがグレンを見てニヤッと笑う。

つまりはそういうことなのだ。

どういうことなのか?


そう、冒険者と騎士は非常に仲が悪い。

だから、Sランクに上げてやるよ。

あ?

なんで上からやねん。

誰が国の仕事なんか受けるかバーカ。


みたいな冒険者は少なくない。

特に、Aランク冒険者は荒くれ者の到達点と言っても過言ではない。

実力的にSランクになれても性格的にSランクになりたくない者が少なからずいるとも言われている。


「うっせぇ。黙れ」

グレンはそう言いながら剣を抜いた。

「せめてエナージュがいればな」

カイルがそう言いながらカンテラを地面に置き、弓を構える。


「エナージュさんってソラより強いんですか?」

グレン達を見て疑問に思ったことをオレが口にすると、一瞬沈黙が流れた。

グレンとフェレールが顔を見合わせ、そして笑った。

「がはは。違げぇねぇ。なんかやれそうな気がしてきたわ」

オレはエナージュと依頼を受けたが、結局彼が戦うところは見られなかった。

だから、単純な疑問として彼女よりも強いというのが想像できなかったから聞いただけだったのだが、どうやらグレン達からすると違った意味に聞こえてしまったようだ。


ともあれ、現在もAランクを維持しているグレン達にフェレールとソラが加わっている。

Aランクの中でも上位のパーティーになっていることは間違いないはずだ。

対するのはゴブリンキングを中心に、メイジ1体とロードが10体。

入り口から入ってきたオレ達をじっと見ながらすでに臨戦体勢に入っている。


「いくぞっ」

グレンがそう言って駆け出した。

同時にソラも動く。

迫ってくるふたりを見て、ゴブリンロードも散開し、戦闘体勢に入った。

両者が対峙し、睨み合う。

ソラもグレンも実力者だ。


じりじりと睨み合いが続く。

ゴブリンロードも数に任せて突撃したりはしないようだ。

隙のないふたりに攻めあぐねているのか、それとも別の目的があるのか。

緊張した対峙の中で、少しずつ横に広く陣形を取っていた。


ヒリつく緊張感が肌に伝わってくる。

ゴクリと唾を飲み込んだ音すらも周囲に届いていそうな沈黙の中、どこかで流れる水の音がチョロチョロと響いている。


先に動いたのはゴブリンの方だった。

グレンの右横にいたゴブリンロードだ。

はやい!

ソラやグレンとは一段落ちるものの、今まで戦ったゴブリンやホブゴブリンとは比べ物にならない速さだ。

だが、グレンもしっかり反応している。

振るわれた剣を弾き返し、追撃に備えた。

それを見て、次のゴブリンロードがジャンプからの振り下ろしを仕掛けてくる。

グレンは先ほどのゴブリンロードに対して身構えてはいたものの、他の個体もしっかり警戒していたようで、その攻撃を身を翻して難なくかわして見せた。

だが、ゴブリンロードは返す刀でそのままグレンに向けて剣を構える。

追撃に備えたグレンもそれに剣を下段に構えて対応する。


そのままゴブリンロードの横振りに合わせてグレンが剣を振り上げれば、剣が弾き飛ばされて手から離れるだろう。

タイミング的にはジャストだった。

だが、期待していたゴブリンロードからの追撃はなかった。

咄嗟に、グレンの方とは逆に飛んだ。

そこには、ちょうどゴブリンロードに剣を合わせているソラがいる。

しかも、ソラには死角になっていて、背後から迫るゴブリンロードに気づいていない。

横凪ぎの剣がソラを捉えようとした瞬間、ゴブリンロードに向かってカイルの矢が迫った。

ヒュンッ

風を切る音が聞こえた次の瞬間、タンッと矢が直撃した音が響く。

ゴブリンロードがカイルに気付き、咄嗟に盾を構えたところに矢が命中した。


ソラは振り向きざまにゴブリンロードを狙おうと試みたが、正面から迫るもう一体のゴブリンロードの攻撃を見て後ろに飛び退いた。


再度の睨み合いが始まる。

お読みいただきありがとうございます。


2話で収めるつもりでしたが余裕で無理でした。

次でゴブリン討伐は完了です。


※気になる部分があったので一部修正しました。

あと、ロードの数がおかしかったので10で統一しました。

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