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今度こそ

落ち着て考えろ。

なぜ、母さんと父さんは殺しを行った?

そしてなぜ俺はその夢を見た?

そうか、夢だ!夢なんだ。全部たちの悪い悪夢。夢なんて両親を糾弾するだけの根拠にはなりえない。あの優しい母さん、厳しくも俺をここまで育ててくれた父さんがこんなことするわけないだろ。

だけど、あそこまで生々しくトラウマを植え付けてくる光景が夢とは思えない。

本当あの虐殺がおこっていたのなら、理由を探る必要がある。

下手に両親にばれてしまえば命さえ危うい。だが、まだ両親を信じていたい自分もいる。

成績も悪く無力な俺に何ができるんだ。何かを成すことも、誰かを守ることもできない。

また、何もできずに終わるのか。そんなの嫌だ。絶対に!

......また?またって、なんだ。

今までそんな経験なかったはず。生まれてから今まで特に大きな喧嘩、口論すらまともにしたことないのに。

なんだ。この既視感、デジャヴとしか言い表しようのない不思議な感覚。おかしい。

頭がいたい。頭を割ってかき混ぜられるような感覚。全身の臓器をひっくり返すような感覚。

吐きそうだ。なんだこの感覚。見える。視える。観える。今までのすべてが蘇る。

そうか、俺は孝だ。なんで今まで忘れていた。守るべきものを守るために新たな命として生まれたのに、

最初で家族を守れなかった。今ならわかる。あの夢は事実だ。カオスが俺に与えてくれた三つの能力の内の一つ、冥府の神(メモリア・デウス)【ハデス】により死者の記憶を再生して見せたのだ。

記憶を失ってもなお続く守りたいという強い意志によって。

力を取り戻した今なら、無力な自分に屈することなく守るべきものを守れる。

ならば、することは一つ。

「必ず真実にたどり着いて見せる!」

まずは、状況を整理する必要がある。今知りたいのは、犯行の動機、そして俺の本当に母さんと父さんがなぜ狙われたのかだ。

先に”母”と”父”に探りを入れたい。しかし、下手に探ってばれたときは確実に争いになる。

ならば先に過去の放火事件について調べるべきか。しかし、俺はもう18歳だ18年前の情報が得られる場所なんて2つしか思いつかない。だがどちらもメリット、デメリットを内包している。

一つ目の魔構デバイスは調べるスピードだけで言えば最速だが”親”の目に触れてしまう可能性がある。

二つ目は、地道だが図書館で調べるという手だ。図書館で調べるのは途方もなく時間がかかるが、限りなく真実に近い正確な情報が得られる。

スピードを求めて”親”にばれるよりは長期戦覚悟で調べ上げるほうがよさそうだな。

そうと決まれば行動は早いほうがいい調査開始だ。

この町の図書館である「魔知魔頁バンク」はかつてこの国の聖棺(ホーリーアーツ)所有者の一人であった”万師”のアイク・ノットが作ったと言われている。

聖棺(ホーリーアーツ)とはこの世界に存在する数多の魔法の等級を表している。

数多く存在する(アーツ)から順に基棺(ベーシックアーツ)匠棺(マスターアーツ)聖棺(ホーリーアーツ)壊棺(ロストアーツ)の四種類に分けられる。

壊棺(ロストアーツ)は名前の通りはるか昔に失われたとされる神々の力だ。そのため実質三種類の(アーツ)が存在している。

この世界の住人たちはだれしも生まれながらに(アーツ)を持っている。ただ大抵の人間が基棺(ベーシックアーツ)であり、それ以上の(アーツ)を持つものは恐れ敬われる。(アーツ)は通常、進化はしないとされている。しかし、死の危機に瀕したときごくまれに変わることもあるのだとかないのだとか。

そんな中、聖棺(ホーリーアーツ)の所有者が作ったと聞くとこの図書館は信用できそうだ。

この図書館のマップによるとここら辺に過去のニュースは集まっているはず。

そう考えているうちにニュースコーナーへたどり着いた。

ついてまず目にしたのは莫大な量の資料。視界に入りきらない目につく限りすべてニュース。

「これは探すが大変だな......」

だが、探すしかない。真実にたどり着くために。

「始めるか......」

そう言ってはみたもののどこから手を付ければいいのかわからない。

先ほど店番に聞いてみたがニュースが一番資料が多く、誰も整理を行っていないらしい。

ここまでひどいとは思わなかったけど。

アイクさんがこの場にいたら泣いているだろう。

とりあえず長期戦覚悟で。端っこから手を付けていく。ここまで整理されてないにもかかわらず資料の状態はいいようだ。

「これは大統領の汚職、町の学生が新たな魔法開発、大規模魔方陣起動実験、魔力制御薬の治験募集、迷子の子犬......」

「......神獣探索隊募集、作文コンクール、魔法技能試験日程......ないなぁ」

そう簡単には見つからないだろうと思ってはいたがやっぱりか。これだけ目を通しても全体の10000分の1にも満たないんだろうな。あしたもくるか。

とりあえず帰ってご飯でも食べよう。

でも、帰るべきなのか?帰ったところで普通に接することができるとは思えない。いつか必ずぼろが出る。自分が隠し事が苦手なんてことは自分が一番理解している。

それなら、家出か?だがどこに泊まる、学生の財力には限界がある。ならば働くか?前世の記憶を取り戻した今、働くだけの知識は持ち合わせているが、雇ってくれるか?

会社を作る?無謀だ。確実に詰むだけだ。

傭兵として雇ってもらえるかな。戦闘経験は豊富な方だと自負しているしちょうどいいのか?

だめだ、考えがまとまらないな。計画なしに行動するのはあまり好きではないが、今は気にしている暇はないよな。ならば明日面接行ってくるか。”親”になんて言い訳しようかな......

ここが傭兵会社かぁ、いっちょかましますか。

「ごめんくださーい」

そう言ってドアを開けるがいるのは犬、そして猫。場所間違えたかな?

一瞬そう思ったが奥から人が出てきた。

「あ、君が今日来る面接の子か!そんなにかしこまらず穏やかに行こう!」

なんとさわやかな......惚れちゃいそうです。

気を取り直して面接に向かう。





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