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第6話 ローリング命名式

コロコロコロー


 結局、一行は転がって移動することにしたようだ。最初に目覚めた時よりもかなり小さく、石粒程度の大きさになっている。

 中の人達はどうなったか?なんてことはない。内側を固定化して、一緒に回らないように変更した。外の形を変えるのと同じ要領で、内側も楽々変更できるのである。


 勇者パーティーと軍は、馬や徒歩で行軍している。


『あぁ〜楽じゃの〜』

『さすが主です!!』


 ゼルとティナは泣いて喜んでいた。

 嘔吐しなくなったのならば問題は解決したとみて良いだろう。

 そう安心した石は、


『ティナよ、貴様は先ほど我のことを<創造の残滓>だと申しておったが、どういうことだ?我はその“メイヘナ教”ではどのような扱いなのか教えてはくれぬか?』

 自身の存在について、ティナに問いかける。


『承知いたしました、主よ。とはいえ、私たち石の民が勝手に、貴方様を“創造の残滓”であると決めつけているだけかもしれませんので、迷惑でしたら聞き流してください』


 そうティナが言い、厳かな声で話し始めた。


『ー創世神がいた。


ーその神は、創世神であるにもかかわらず、何かを作るのが下手だった。


ー嫌気がさした創世神はある日、自分が作った失敗作である石を怒りに任せて握りしめた。


ーその時ふと、何を思ったか、おもむろに何かを作り始めた。


ー素晴らしい発想が出るわ出るわ。さながら、この星に初めて湧いた泉の如く。


ー今、この時、創造神の本領発揮と言わんばかりの技巧が光る光る。さながら、太陽の如く。


ー時に慎重に、ある時は大胆に。さながら、あの世界で最も大きな山の嶺の如く。


ーそうして世界は創られた。


ーそして全てが終わった時、創造神は自分の手が、失敗作である石を握りしめていることに気がついた。


ー創造神は、そっと世界の中にその石を入れた』


コロコロコロー


 石は転がりながら、ティナの神話語りに耳を傾けていた。


『うーむ何千回と聞いておるから面白みがないのじゃぁ〜』

『ZZZ・・・』


 ティナが先程まで寝ていたのを引き継ぐかのように、ペルギムが寝ている。


『それで?我が“創造の残滓”であると思った理由は何だ?まさか、何となくではあるまい?』


 むしろティナたちを吸い込んで中に閉じ込めているのだから、よほどの証拠があるに違いない。

 ティナは少し頬を膨らませ


『違います!! メイヘナ教では、その石の色は虹色とされていますが、貴方様は我らが見つけた時、虹色に輝いておられましたのですよ!! しかも、村の発展に結界を貼ったり、念じるだけで家ができたり、獣を追い払えたりと、その御力を存分に示してくださいました!!』


抗議するかのように、早口で言った。


『まぁ〜確かに、持ち主に強大な力を? もたらすようじゃし? 別にいいのではないかと思うんじゃが・・・』


 ゼルサマのうんざりとした様子がありありと分かる声が聞こえる。 

 石自身としては、自分が何者か依然として不明のため、何ともいえないのが悔やまれる。


(我の体の色、鈍色の方が多いのでは・・・?)


 そして、自分の体を改めて見て、疑問を覚えつつ転がり始めた。






コロコロコロー


 しばらく転がったあと、ふとゼルが思い出したかのように、ティナに向かって言った。


『なあティナよ、ずううぅぅっと思ったのじゃがな? こやつに名前はないのかの? 神話に出てくる神ならば、皆、神器を持っておって、どれも名はついておったぞ?』

『ぬ、我に名が?』


 名前があるならばぜひ、聞いておきたい、と石は思ったのであろう。そのことを示すように、虹色の線模様がパラパラと移動する。

 呼ぶ時などに名がなければ結局、石!!である。

 何かあるのだろうと思って石は耳を傾けていたのだが・・・


『・・・貴女は痛いところをつついて来ますね』


 苦虫を山ほど噛み潰したような顔で、ティナが苦々しさ満載の言葉を捻り出す。

 その意味を瞬時に理解したゼルはすぐさま、煽りだす。


『は〜!? 無いの!?無いのかの!? 何じゃ〜その宗教!! 讃えるべき神の名を知らぬとは、宗教としては致命的ではないかと思うんじゃが・・・?』

『ーー不明なのです。一切合切全て。そもそも神器という扱いなのかどうか・・・』

『じゃのに崇めておるのか?』

『えぇ、創造神に世界を作るきっかけを与えた物ですから。それだけで私たちは信じるのです』


 石の名前は・・・どうやら無いらしい。


『だがなティナよ、名前がなければ呼び合う時に不便であろ? ・・・そうだな、皆で我の名前を考えてはくれぬか?』

『いえいえいえ!! 私は“主”とお呼びいたします!!』


 ティナは石に名前をつけてはくれないらしい。

 少し残念に思ったその石は、ゼルにも同じ提案をする。


『ではゼルサマはどうだ?』

『・・・そうじゃのー<ゴック・アーク>とか、<テラ・ワロス>とか<ミッカー・ネズーミ>とかはどうじゃ?』


 ニコニコの笑顔で、そうゼルサマは言った。

 すると


『ーー主よ、やはりこんな魔女には任せられません』


 ズッとティナが出てきた。


『何でじゃ〜?即興で考えた割には結構良い名前じゃと思うのじゃがな』

『やはり、即興でしたか。私のは少なくとも3万年程前から考えている名前があるのですよ。その御名はーー

“フラギル”

ーーッ!?』


 その名を言った瞬間、石の体から、光が一瞬溢れた。


 これは・・・


『決まったようで何よりだ。我が名は今後より“フラギル”とする。ティナよ、良き名をつけてくれたこと、感謝する』

『いえ・・・そんな・・・』


 感極まって、鼻をズビズビさせている音が聞こえる気がするのは、気のせいであるということにしておこう。


『チーン!!』

『『・・・』』





コロコロコロー

コロコロコロー


 人間たちは何度か野営しながら、行軍し続けた。

 その度にフラギル達は、馬鹿笑いが聞こえてくるテントの横で、物言わぬ只の石として転がっていた。

 ・・・石の中では、賑やかな話し声が聞こえたであろうが。

 フラギルには、野営の度に提供される飯と、それを喰らう人間の姿が、とても素晴らしいものに見えた。

 飯を作るためにつけられた火が、ゆらゆらとフラギルの体を照らしていた。

 

 

 そうして3日ほど経った。

 ちなみに、この間にフラギルはゼルから魔法を教わっている。

 魔法の属性は、基本水、火、土、風の四属性に、希少属性として光、闇などがある。 

 そして、魔法理論としては、自然の魔力をなんやかんやして自分の魔力器官に取り込み、呪文を唱えることによりその魔力を魔法として行使する、といった形式らしい。

 なぜ、らしい、としたかというと、


『<火球(ファイアボール)>・・・? <灯火トーチ>、<風刃ウィンドカッター>!』

『ダメじゃ。発動せんのぅ』


 教わった魔法は、フラギルの役には立たなかったからだ。 

 これにはゼルもがっかりしていた。


 前を歩く騎士団から、歓声が上がる。 


『おー!! 町じゃあー!! なんか、滅茶苦茶デカイのう』

『久しぶりの町・・・感慨深いものがあります・・・』

『んぉ?町についたのか?そこそこ長かったな』


 ーー騎士団が掲げていた旗の紋章と、同じ紋章の旗を掲げた城門が見えた。

 しかし、


『ん?あの城壁ちょっと崩れてないか?』


 とペルギムが言う。

 騎士団の者たちも異変に気付いたのだろう。行軍速度が、心なしか速くなる。


『我らも後に続くぞ』


 そう言ってフラギルは転がるスピードを上げた。


『おーほほほーっほーおぉ!?』

 

 風をゴウゴウと切るほどの速さに喜ぶゼルの歓声が、フラギルの中でこだました。


『おじゃあああぁぁぁ!?』


 喜んでいるのだろう、多分。

 そしてふと、ゼルがペルギムに思い出したかのように言った。


『あ、そういやペンよ。お主は石と読んでいたが、お主が寝ておる間にこの石の名前は“フラギル”に決まったのじゃ』

『??????????』


ーーペルギムの顔、さながら餌を横取りされたハムジローが如く。


 


 ラトベリア王国の王城、もとい王都は、円状の高い城壁が幾重にもそびえ立ち、その間一つ一つの、平和そうな街並みを含めガッチリと守っている。特に最も外側の壁が崩れてはいるが、最も頑丈そうに見える。

 なぜこのような見るからに不便そうな作りなのだろうか。

 それは、人類最後の城だからである。

 他の国家は魔蟲の長に全て潰された。その国民などを受け入れるたびに、増改築が繰り返されたのだ。

 いつ襲撃されても大丈夫なように城壁を厚く、高く。避難民が無事にこの国に辿り着けば、居場所を提供するために城壁を外に新しく。

 そして、この国以外の国が全て滅んだ時、最後の城壁を造った。 

 そんなある種の威容を誇る王都に勇者が帰ってきた。

 そして、面白虹色無機物物体(フラギル一行)もやってきた。


 ーーここは人類最後の国、ラトベリア王国。


(小説の投稿など)何とでもなるはずだ!!・・・と良いなぁ。

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