第四章 ――狂戦士(バーサーカー)舞う―― ⑲
一方、もう一つのワンメイクバトルは不可思議な展開になっていた。
「……何故だ」
そう呟く桐谷の表情には悲壮感が漂い、ワンメイク開始時に見せていた余裕は一切消え失せ、肩で息をする程疲労困憊な状態に陥っている。それに比べ、咲夜は開始時と何ら変わらない涼やかな表情を浮かべ腕組みをしていた。
「どうした、もう終わりか?」
サイキッカー同士のワンメイクバトルは、序盤から桐谷の一方的とも言える激しい攻撃が続いていたが、その攻撃は咲夜のポッド、レイ・フォースにより全て防がれていた。
何だこれは……私は悪夢でも見ているのか!?
あらゆるバリエーションの攻撃を行った桐谷だったが、咲夜にかすり傷一つつける事すら出来ない。更に咲夜はワンメイクバトルが始まってから『一度』も攻撃を行っていない不可思議な状況。それらの要素が桐谷を精神的に追い込む。
「打つ手が無いのであれば白旗を挙げたらどうだ? わざわざ余計なダメージを受ける事もあるまい」
その言葉を聞いた桐谷は奥歯を強く噛み締めた。
「く…………」
格下と蔑んでいた下位区画惑星の保安官に崩されつつあるアーミーのプライド――
ふざけるな……たたが保安官レベルのカラーズ人が、私に敗北を認めろと!?
咲夜の言葉に更なる追い込みをかけられた桐谷は、最大出力に設定したジェノサイド6機を自分の前方に集めた。
認めない……認める訳にはいかない! 私はナインのアーミーだ……。アーミーに敗北の二文字は無い!
6機のジェノサイドは縦一列に並ぶと、先頭を除いたジェノサイドの銃口からシリンダーが突出、6機のジェノサイドは連結した。
「ほぉ、とっておきの必殺技発動……といった所か」
「フ……フフフ……。まさか対戦艦用の高圧縮プラズマレーザーを使用せざるを得ないとは……」
ジェノサイドの銃口が直視出来ない程の光を放ったその時、桐谷はジェノサイドと共に身体を180度回転させ、咲夜に背を向けた。
「フハハハハ! これで終わりだ!」
ジェノサイドから放たれた眩いばかりのプラズマレーザーは、後方でワンメイクバトルを行う圭介目掛けて一直線に向かっていった。
「え……!? う、うわぁ!」
予期せぬ事態に驚く圭介。以前に狙われた時よりも遥かに強烈なプラズマレーザーに身の危険を感じた圭介は身体を丸めた。
「…………あれ?」
直撃していれば身体など瞬時に消し飛んでいるはずの攻撃が来ない。恐る恐る目を開けると、そこには真白の姿があった。
「マスター、ご無事ですか?」
「あ、あぁ……」
そして真白の目の前には、咲夜のレイ・フォースが盾となり、プラズマレーザーを防いでいた。
「咲夜……」
四機のレイ・フォースは合体し、十字の盾となりプラズマレーザーを遮断する。その時だった――
ニヤリと口元に笑みを浮かべる桐谷は、連結するジェノサイドの後部二機を切り離し、再び咲夜の方を向いた。
「フハハハハ! 貴女なら必ずやこの行動に出ると信じていましたよ!」
桐谷は二機のジェノサイドを戻し、咲夜に対して銃口を向ける。まさに形勢逆転――レイ・フォースは未だ四機のジェノサイドがプラズマレーザーを放出し続けている為、戻す事は出来ない。窮地に立たされた桐谷が打ち出した戦術プランは見事に成功した。
「フフフ……ハハハハハハ! チェックメイトだ!」
無防備の咲夜を見て勝利を確信した桐谷は、高笑いしながら二機のジェノサイドへ攻撃命令を下そうとしたその瞬間――
どこからともなく打ち出された一筋の青いプラズマレーザー。それは桐谷の左脇腹を貫いた。
「な……に……!?」
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