第四章 ――狂戦士(バーサーカー)舞う―― ⑱
――恐らく、今のはステルス攻撃です。あの兵器には真空の刃を発生させる機能が備わっていると思われます。
車両をいとも簡単に一刀両断するデストロイドの威力を垣間見た圭介は、あの剣が単なる武器ではなく『兵器』だという事を実感した。
――ちょっと待ってくれ。真空の刃って……。あの攻撃、目に見えないのか!?
――はい。視覚で捉える事は不可能です。
――え……じゃあ、さっきの攻撃どうやって避けたんだ?
――感覚です。
淡々と圭介の質問に答える真白。目に見えないステルス攻撃をも回避する身体能力の高さに、圭介は真白が数え切れない修羅場をくぐり抜いてきた事を実感した。
本当に真白は凄い……。咲夜が完全戦闘特化能力って言ってた意味がようやく理解出来た。
――真白、あの真空の刃に対抗出来る機能はあるか?
――はい。一覧を表示します。
視覚モニターに映し出されるメニュー。その中に圭介の戦闘プランと合致する機能を見つけた。
これだ……。これならあのステルス攻撃をかいくぐれるかもしれない
――真白、行こう!
――了解です。
「我の真空斬をよけるとは……フフフ……ハハハハハ! 素晴らしい! これぞ戦いの妙味!」
沢村は二本のデストロイドで交互に何度も空を斬り、見えない攻撃、真空斬を真白に向けて放った。
「メニューより『飛炎』を選択、レーヴァテイン出力マックス」
レーヴァテインの刀身に灯る焼けた鉄の赤色は、燃え盛る炎の様に橙色へと変化する。そして真白は大きく振りかぶり、レーヴァテインで空を斬った。
ジェット機が飛び立つ様な轟音と共に、凄まじい勢いでレーヴァテインから炎が放たれる。その炎は螺旋を描きながら、沢村へ向かって飛ぶ。
ぶつかり合う真空斬と飛炎。両者が放った攻撃が相殺されたその直後、真白と沢村は同時にダッシュをかける。そして、激しい斬撃戦が幕を開けた――
二刀のデストロイドで斬撃の嵐を繰り出す沢村。それをレーヴァテインで巧みに防ぐ真白。リンクスで繋がっている圭介には、真白に備わる超動体視力でその斬撃は見えているが、常人では目で追う事すら出来ないハイスピードの斬撃。その全てを受けきる真白の凄さに息を飲む圭介。
「うおおぉ!」
先程受けたダメージなどものともしない沢村の鬼気迫る斬撃は更にスピードを増す。そしてその最中、防御を真白に委ねた圭介は神経を研ぎ澄まし、反撃のチャンスを狙っていた。
突如、沢村の左手に持つデストロイドが鈍い音を立てた。その刹那――
「うぐっ!」
沢村の痛々しい声と共に止む斬撃。苦痛に顔を歪めながら左肩へ視線を移動させると、そこにはレーヴァテインが突き刺さっていた。
「くっ……」
苦痛に顔を歪める沢村。真白はレーヴァテインを引き抜いて、一旦後方へ移動した。
「よし!」
息をもつかせぬ連続斬撃を止めた圭介は左手の拳を力強く握りしめた。
「……まさか、デストロイドが破損するとはな……。見事だ、勇敢なる地球人よ」
先程発生した『異変』それはデストロイドの刀身に入った亀裂。兵器の損傷という未だ経験した事の無い想定外の出来事に、沢村の視線は一瞬デストロイドに向けられた。圭介はその僅かな隙を見逃さなかったのだ。
左肩から炎と共に溢れ出る大量の赤いC粒子がダメージの大きさを示す。まさに針の穴に糸を通す様な精密かつ、難易度の高い攻撃を成功させた圭介によって、ついに沢村を窮地に追い込んだ。
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