第四章 ――狂戦士(バーサーカー)舞う―― ⑩
何が起きたか理解が追いつかない圭介は、
「た……倒したのか?」
「見事だ。よくやったな圭介。だが随分と大胆な戦法を取ったものだ。私がマスターだった頃は思いもつかなかったよ」
「凄い…………」
圭介は『油断している京香の間合いにマックススピードで入り、斬りつける』という戦闘プランを用いた。それはファイナルファイターズで戦闘開始直後に相手の出鼻をくじく、牽制的な意味合いを持つプランであり、その後の展開を有利に進める為の戦略のはずだった。
「まさか……一撃で倒すなんて……」
圭介は思わず呟いた――展開を有利に進めるどころか、一撃で相手を仕留めてしまう真白の戦闘能力は、圭介の想像を遥かに超えるモノだった。
もう一つ驚いたのはその操作性だ。咲夜から思考による遠隔操作と聞かされていた圭介は、ゲーム画面の様に第三者的視点で操作するものとばかり思っていた。しかし、真白が京香に向かって猛ダッシュをした時に体感した強烈な加速G――そしてレーヴァテインによる斬撃の確かな手応え――その感覚は、まるで自分自身が戦っていると錯覚するほどリアルなものだった。
神妙な顔つきで真白を見据える真田は静かに口を開いた。
「間違いない……あの銀髪のカラーズ人は白の狂戦士だ」
「まさか……では、この保安官達はセブン最強と噂されるインフィニット……」
桐谷は真田が発した言葉――白の狂戦士という言葉に表情を強ばらせた。
「フフ……フフフ……ハハハハハ! 素晴らしい! 我々は運がいいぞ忍」
真田は神妙な顔つきを一変させて笑い声を上げた。
「かの有名なインフィニットと戦えるとはな。久しぶりに血湧き肉踊る」
「そうですね。これで手加減せずに狩りを堪能出来ます」
真田と桐谷は真白の戦いぶりに怯むどころか、逆に戦意を高揚させた。
そんな二人を見た圭介は若干の不安を感じ、
「咲夜、なんか火に油注いじゃった的な事態になってるけど……」
「問題ない。お前のおかげで戦力を削る事が出来た。さて……」
咲夜は涼やかな表情で言葉を紡ぐ。
「我々も戦闘開始と行こうか」
「おー! 撃って撃って撃ちまくってやるから、花蓮ちゃんサポートよろしくね!」
「了解ですわ」
「マスター、次のご命令を」
「お、おぉ!」
桐谷は不敵な笑みを浮かべながら、左耳のピアスを指で触れた。
「どんな相手であろうと、圧倒的に蹂躙するのが私のポリシーです。藍沢さんが使いモノにならない状況となりましたのでコレを使用してみましょうか」
ピアスから溢れ出たC粒子は、桐谷の右手の上で野球ボール大の球体を形作った。桐谷がその鉛色の球体を前方に放り投げると、地面に落ちた球体は水風船の様にプルプルと動き出した。
鉛色の球体は突然音を立てて爆ぜた。アスファルトはおびただしい数のパチンコ玉サイズの小さな球体で埋め尽くされた。
「ちょ……咲夜何だよアレ!? もしかして爆弾!?」
「その心配は無い。あれは液体金属の一種だ」
無数に散らばる鉛色の球体は、その形を奇妙に変化させ始めた。
「うわ……わわわわわっ!?」
小さな球体は互いに引きつけ合うように集まり、やがて人型を形成していく。
「え!? えー!?」
それはあっという間だった――ざっと数えても百体はあろうかというヌメヌメとしたおぞましい姿の人形が、圭介達の前に出現した。身長二メートル、鉛色の身体に目と鼻、そして口と耳も無い頭部を持った人型のそれは、ただただ不気味に佇んでいる。
「フフフ……。まぁ驚くのも仕方がありません。コレは第三区の闇商人から手に入れた簡易型兵士です。本来は数百人規模の戦闘時に使用するシロモノなのですが、何せ相手がセブン最強と謳われるインフィニットの皆さんですから、念には念を……ね」
「さ……咲夜、どうするんだよ!?」
「ほぉ、第三区の闇商人とのパイプも持っているのか。どうやら、独立に向けて本格的に動いている様子だな」
狼狽える圭介とは対照的に、眉一つ動かさない冷静沈着な咲夜は、鉛色の人形達をジッと見据える。
「姫、花蓮。コイツらの掃除を任せてもいいか?」
「全然おーけー! 久しぶりに何の遠慮もなくボニー&クライドをぶっ放せるしね」
「ですわね。アレならば核破壊を気にする事もありませんし、圭介様から頂いたホーリーアローの威力を存分に試せますわ」
ユラリユラリと身体を不気味に揺らしながら迫ってくる大量の簡易型兵士に向けて、姫はボニー&クライドを構え、花蓮はホーリーアローの弦を引いた。
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