第四章 ――狂戦士(バーサーカー)舞う―― ⑨
長身の刀を出現させ、恍惚とした表情を浮かべながら舌先を刀身に滑らせる。
「藍沢さん、侮らないで下さい。あの銀髪の保安官は普通のカラーズ人とは様子が違います。まずは相手の出方を……」
「考えすぎだっての! アタシよりも強い剣使いがセブンなんかに居る訳ないじゃん! 瞬殺してやるっつーの!」
京香は真白に対して長身の剣を向け、戦う意向を示す。切っ先から放たれる殺気が、離れた場所に位置する圭介にもはっきりと伝わってきた。
「銀髪! アタシがアンタの相手よ!」
――マスター。
――……真白? これって意識共有……。
――あの藍沢京香と名乗るアーミーが私達の相手です。大丈夫、リラックスしてください。
――う、うん。
――今から私に関するポテンシャルを表示します。
真白がそう告げた瞬間、圭介の視界に新たな情報が表示された。
――メニューの中から戦闘形態を選択出来ます。
――これ……どうやって開くんだ?
――知りたい情報を意識してみてください。
――えっと……こうか?
圭介が『メニューを開く』と頭の中で意識すると、視界に戦闘形態に関する情報の一覧が映し出された。
――凄い……。
――ではこちらも戦闘準備に入りましょう。マスター、ご命令を。
身体が強ばる程の緊張を感じながらも、覚悟を決めた圭介は、藍沢京香に視線を移す。
コイツは相当強いぞ……。百戦錬磨、向かう所敵無しってタイプだな。でも、こういうタイプには付け入る隙があるんだ……よし!
圭介は意識を介し、真白に戦闘形態とプランを伝えた。
「了解しましたマスター。高機動形態へ移行開始、姿勢制御システムを使用します」
次の瞬間、圭介は真白の姿に目を奪われた。
「……夢想……天女……」
真白の背中に現れた息を飲む程美しい純白の両翼――その姿は圭介がゲームで使用するアバター、夢想天女そのものだった。
「レーヴァテイン起動、出力上昇異常無し。これより戦闘体制に入ります」
レーヴァテインのブレード部分は、みるみるうちに焼けた鉄の赤を点していく。
「へぇ……ヤル気満々じゃん。そのカワイイ翼を背中から引きちぎったら気持ち良さそ~。みじん切りにするのもいいわね……キャハ!」
真白の姿を見た京香は再び恍惚の表情を浮かべる。しかし真田の中には、ある疑問が渦巻いていた。
「あの翼……どこかで……」
そう呟いた真田は咄嗟に叫んだ。「京香!」
「なによ? 今更選手交代は受け付けませんけどぉ」
「気を引き締めてかかるんだ。さもなければ……」
「ちょいちょい、真田っち。何の心配?」
真田の方を向いた京香は余裕綽々な表情で、
「もしかしてアタシが負けるとでも思ってんの!? キャハハハ! 超ウケるんですけど!」
高笑いを飛ばし軽く舌舐めずりすると、再び真白の方に顔を向けた。「は? 何コレ?」
京香の目の前に数枚の白い羽根がユラユラと舞い落ちる――何が起きたのか全く理解出来ない京香は呆気にとられた。
「攻撃を終了。藍沢京香に核化相当のダメージを与えました。レーヴァテインを一時強制冷却します」
真白は京香に背を向けた。レーヴァテインのブレード部分は、赤から元の鉄造色へと変化していく。
「はぁ!? 何言ってんの、あの銀髪!? ふざけんじゃないわよ!」
怒り心頭の京香は、長身の剣を力強く握りしめ、「ここまでコケにされたのは初めてよ……全力で斬り刻んでやんよ!」
真白へ向けて走り出そうと、右足を一歩前へ踏み出した。その時だった――
「ウッ!」
顔を歪める京香の右肩から左脇腹にかけて斬撃痕が現れた。「な……何コレ……斬ら……れてる? え……なんで……」
「京香ぁ!」
斬り裂かれた部分から、燃え盛る炎が真っ赤なC粒子と共に吹き出した。
「キャアアァァァァァ――――――!」
京香の断末魔がアナザーポイントに響き渡り、業火と化した炎が彼女の身体をみるみるうちに焼き尽くしていく。
真田と桐谷は、粒子化していく京香をなす術なく見つめた。
「あぁ……藍沢さん」
京香の身体はあっという間に朽ち果て、その場には核だけが残された。
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