第四章 ――狂戦士(バーサーカー)舞う―― ④
「我々を目の前にして臆さないとは大した度胸だな」
「勿論怖いよ。何せこの間の一件で、アンタ達の言葉は脅しじゃないとわかってるからな。俺が拒否ればアンタ達は躊躇なく俺の命を奪う……内心逃げ出したいくらいさ」
「それは正解だ。君がここから出ようとした瞬間、この中の誰かが確実に君の命を奪う。それがわかっていて何故勝ち目など無い相手に立ち向かう?」
「アンタの言う通りだよ、真田さん。俺には勝ち目なんて無い。何せ、ライオンと素手で対峙してる様なモンだからな。でも……俺はもう、逃げる事は止めたんだ」
無謀だってわかってる……。
「ほぉ、随分と勇敢な従者だな、君は。何が君に勇気を与え、突き動かすのか……理解に苦しむな」
「逃げてばかりいた俺に希望を与えてくれたアイツらの力になりたい……ただそれだけさ」
でも俺は…………。
そう真田に告げた圭介は、リュックの中からスケッチブックを取り出した。
「俺は……アンタ達の従者にはならない。俺は、俺の意思でアイツらと共に戦う!」
俺は真白を守りたい!
スケッチブックを開くと、描かれている絵に向けて右手をかざす――手首のリングが光を放ち、スケッチブックから大量の粒子が溢れ出した。
「うおおぉぉ―――――!」
圭介は絵の中から溢れ出た粒子を右手で掴み、勢いをつけてスケッチブックから引き抜いた。
「え!? なにやってんのあの子!?」
「あれはC粒子……ですね」
「なんだと!?……」
アーミー達は予期せぬ出来事に驚き狼狽える。圭介がスケッチブックから引き出したのは、異形なフォルムを纏った巨大な剣だった。
「何よアレ……この子能力が使える従者なの!?」
「これはこれは、驚きですね」
「なんと……能力開発が施されていたのか……」
異形の剣は全長が圭介の身の丈よりも長く、刀身からグリップにかけて細かな装飾が施されている。怪しい光を放つ剣を見て更に驚くアーミー達だったが、桐谷だけは意味深な笑みを口元に浮かべていた。
「それで? その剣を持ってどうするおつもりですか?」
「……お前らと戦う」
圭介はスケッチブックを地面に放り投げ、力強く異形の剣を握りしめた。
「アハハハ! これは面白い!」
圭介を嘲笑う桐谷は、何かを確信したような表情で京香の方を向いた。
「藍沢さん、彼の相手は貴女に任せます」
「は!? 何でアタシなのよ!」
「おやおや……藍沢さん程の高レベル剣使いが怖じ気づいているのですか?」
「べ、別にビビってる訳じゃないわよ! 地球人の能力者なんて聞いた事ないし、あの子のスペックがわかんないのに、うかつに近づいて無駄なダメージを受けたくないだけよ!」
「大丈夫ですよ。貴女がダメージを負う様な事は絶対にありえませんから。あぁ、ちなみに藍沢さんはハンデとして素手で戦ってあげて下さいね」
「はぁ!? 兵器を装備してる相手に対して素手ぇ!?」
「さぁどうぞ。ホラ、彼が向かってきましたよ」
「え!? マジで!?」
京香が振り向くと、異形の剣を振りかざした圭介が迫ってきていた。
「うおぉ―――――!」
桐谷の言葉に半信半疑だった京香は、やむなく意を決した。
「もう! 斬られたら責任とってよね!」
京香はそう言って、最大限の力を込めて異形の剣を振り降ろす圭介をまっすぐに見据え一瞬身構えたが、すぐに棒立ちになった。
ブレる体幹――おぼつかない足元――まるで子供のチャンバラごっこの様な圭介の攻撃は、京香にとって予想外だった。振り下ろされる異形の剣は空を斬り、勢い余った圭介はバランスを崩して地面へ激しく倒れ込んだ。
「うわっ!」
「何々!? へっぴり腰過ぎじゃね!? キャハハハハ!」
「クッ……クソォ!」
圭介はすぐさま体制を整え、京香の下半身に向けて異形の剣を振る。しかし、その余りにも弱々しい斬撃は、またもや虚しく空を斬った。
「キャハハ! ヤバい! 超ウケるんですけど~!」
京香は完全に見下した態度で罵倒し続ける。「地球人の中でも底辺過ぎるスペックじゃん!」
それでも圭介は異形の剣を幾度も振り続けた。
「ハァハァ……」
クソ……。こんな事になるんだったら、剣道部にでも入っておくべきだった……。
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