第三章【第9区―ナイン―】⑲
「ん…………」
戦闘により大ダメージを負った真白だったが、花蓮の迅速かつ献身的なヒーリングの効果によって、ようやく意識を取り戻した。
「真白、大丈夫か?」
目を覚ました真白はベッドの側で寄り添う圭介の顔を見ると、ホッとした様子で柔らかな微笑みを浮かべた。
「けー……すけ」
「良かった……本当に良かった」
「ごめん……ね。けーすけに怖い思いさせちゃったね……」
「そんな事気にするなよ。俺の方こそ何も出来なくごめんな」
「ううん……助けに来てくれてありがとう……けーすけが来てくれなかったら、真白は……」
「無理して喋らなくていいよ。もう少し身体を休めてな」
「うん……」
再びそっと閉じる瞼――圭介は安らかな顔で眠りにつく真白の顔を、暫し無言で見つめる。
「眠ったみたいですわね……。後は自己治癒で回復しますので、ご心配なさらずに」
圭介は花蓮の説明に安堵の表情を浮かべた。傍らで真白の様子を見守っていたジェットは、
「しかし、花蓮ちゃんのヒーリングは凄いなぁ。今度さぁ、俺もダメージ受けたら優しくヒーリングで介抱してよ。何なら生体エネルギーを『口移し』で直接回復してもらってもいいんだぜ?」
「あら、よろしいのですか? 手違いで生体エネルギーを吸い取ってしまうかもしれませんけど、ご了承願いますね」
「えっ!? ア……アハハハハ……冗談キツいぜ花蓮ちゃん! 俺は別に変な意味で……」
圭介はジェットと花蓮のやり取りに、僅かながら笑顔を零す。
「圭介、ジェットとは話したか?」
咲夜がそっと圭介に尋ねた。
「うん……。びっくりしたけど、アイツが元カラーズ人だろうがなんだろうが、友達に変わりないよ」
「そうか」
圭介は咲夜の目をまっすぐに見つめて微笑むと、軽く頷いてみせた。
「所でさ、アイツら一体なんなんだ? カラーズナインのアーミー……とか言ってたよな」
「奴らは区画惑星第9区の軍人だ。第9区はカラーズの軍事施設がある星で、実質上カラーズ最強の区画惑星と位置付けされている」
「軍人!? なんでそんな物騒な奴らが地球に……」
「我々が地球に来た目的は以前話した事以外にもう一つ別の目的がある。それは各ブレーンの生命居住区域に滞在する保安官の安否確認だ」
「安否確認?」
「あぁ……。約数ヶ月前から調査を終えた保安官が一向にカラーズへ帰還しないという事態が判明した。これを受けた我々は天から直接の命令を受けて、真相を解明する為に地球へ来たのさ」
「帰還しないって……まさか……」
「そのまさかだ。保安官を襲っていたのはカラーズナイン、奴らの仕業だった」
「なんで軍人がそんな事を……」
「詳しくはわからない。だが、あのサイキッカーが開示した情報によれば、カラーズナインは現在クーデターを起こしている様子だ」
「なんだよそれ? 内戦状態……って事なのか?」
「うむ。カラーズナインは区画惑星から独立を目論んでいる。現在奴らは国家に対する反逆者という事だ。こうなった以上、奴らとの戦いは必然……。現状、兵器を喪失している我々にとって、非常に厳しい戦況だ。緻密な戦略を熟考する必要がある」
圭介は再び険しい表情で俯いた。ジェットはそんな圭介に笑顔で話しかけた。
「そんな暗い顔すんなよ圭やん。咲夜さんに任せておけば大丈夫さ」
「真白がこんな状態じゃ……ジェットも戦ってくれるのか?」
「ごめんな……。俺も戦いたいんだけど、それは無理なんだ」
「え?」
「さっき話した通り、俺は地球人の身体と核融合している。つまり、身体そのものは圭やんと変わらない地球人なんだ。能力は使用できても、この身体でカラーズナインと戦う事は自殺行為に等しい。元カラーズ人として、一緒に戦いたい気持ちは強い……でも、潤の身体を失う訳にはいかないからさ……」
「そっか……。そうだよな、地球人として生きるって約束したんだもんな」
「咲夜さん本当にすまない、戦闘以外の事なら出来る限りの協力はさせてもらうよ」
「詫びる事などないさ。お前の選択は間違ってはいない。そして圭介」
咲夜は凛とした表情でジェットに答えると、続けて不安そうに俯く圭介に声をかけた。「お前も心配しなくていい。我々なら大丈夫だ」
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