表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ブレーン×ワールド  作者: ミルシティ
6/88

第一章『未知との遭遇?』 ③

「おはよう羽鳥くん! 今日も清々しい朝だねぇ」

 圭介と木葉の会話に、甲高い耳障りな声が割って入った。目の前に現れたのは所謂『不良少年』にカテゴライズされる風貌の五人組だった。

「お……おはよう」

「あれあれ~。今日は陸上部のマドンナ『走る巫女ちゃん』を連れての登校ですかぁ!?」

 リーダー格とみられる品の無い金髪オールバックの男を筆頭に、五人組はニヤニヤしながら圭介達の行く手を塞ぐ。

「……木葉はただの幼なじみだよ」

「へぇ~。こんなにカワイイ幼なじみがいているなんて、羨ましい限りだなぁ。そんなリア充な羽鳥くんに相談があるんだけどさ」

 腰穿きした学生ズボンのバックポケットから財布を取り出すと、バサバサと財布をはたいた。「いや~。今さ、ちょっとハマってるスマホのアプリがあってね。課金しすぎて小遣いを使い果たしちゃってさぁ。また『融資』の方をお願いしたいと思いましてね」

「はぁ!? 何よ融資って! 圭ちゃん、またこんな奴らにお金貸してたの!?」

 木葉は無言で俯く圭介にさらに続ける。「ダメだよ貸しちゃ! 融資とか体のいい事言っても、コイツらのやってる事は恐喝なんだからね!」

「おいおい……恐喝だなんて聞き捨てならないね~。あくまでも羽鳥くんに『融資』を受けてるんだよ。ホラ、これ見てみなよ」

 財布から一枚の紙を取り出すと、怒り心頭の木葉の目の前に広げた。

「借用……書? 羽鳥銀行!? 何よコレ!」

「俺等は『羽鳥銀行』の顧客な訳。つー事でぇ、諭吉さん一枚、追加融資をお願いしますよ」

 金髪の男子生徒は悪意に満ちた表情で圭介に迫る。

 圭介は無言でショルダーバックの中から財布を取り出した。

「ちょ……ちょっと圭ちゃん!」

「流石は困った時の羽鳥銀行さんだ。いつもながらスピード融資なのは本当に助かるね~。じゃ、また頼むよ」

 圭介から一万円札を受けとった金髪の男子生徒は、取り巻きの生徒を引き連れ立ち去った。

「……木葉、行こうか。遅刻するぜ」

 圭介は何事もなかったように木葉にそう促した。

「行こうか……じゃなくて圭ちゃん! なんなのよアイツ!」

「D組の田代だよ。入学した時からカモにされちゃってさ。まぁ……別に金なんて持ってても鳩の餌買うぐらいだし。それに、断ったりでもしたら殴られそうだからな」

 圭介は楽観的な笑顔を見せる。

「本当に……このままでいいの?」

 木葉は悲しげに圭介を見つめた。「こういう事はちゃんと断ち切らないと、また中学校の頃みたいに……」

「いいんだよ!」

「圭ちゃん……」

 木葉の問いかけに感情を露わにした圭介だったが、一呼吸おいて気持ちを落ち着かせると、元の穏やかな表情へ戻った。

「ごめんな、デカい声出して……。とにかく急がないと遅刻するぜ」

 木葉にそう告げた圭介は、心の中に渦巻く『本当』の気持ちを押し殺しながら、足早に歩を進めた。


<続く>

「ブレーンワールド」の更新ペースは、新作執筆中のため今のところ分かりません。随時チェックしていただければ幸いです。


ご意見、ご感想など遠慮なくお願いします。ブックマークや評価などしてもらえると喜びます。


ツイッター始めました。

https://twitter.com/millcity2020

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ