第三章【第9区―ナイン―】⑬
「おやおや、随分とご立腹の様子ですね。私の戦闘能力を目の当たりにしても怯まないとは、高区域のカラーズ人とお見受けしますが……」
「うわぁあああ――――!」
真白は叫び声を上げながら男へ向かって一直線に走る――そして尋常ではない疾さであっという間に男の懐へ入った。
「ほぉ、素晴らしい機動力ですね。ですが……」
真白が右拳を握りしめ、打撃体制に入った瞬間、男は真白の腹部付近に手のひらを広げた。その瞬間、真白の身体は大きくのけぞり、後方へ弾き飛ばされた。
「クッ!」
真白は身体を猫の様に捻り、すぐさま体制を整えて着地する。
「私の間合いに入ってきたカラーズ人は久しぶりです。貴女ならば少しは戦闘を楽しむ事が出来そうだ。さぁ、兵器を装備してください」
「……そんなモノなくたって、お前なんか!」
力強く地面を蹴った真白は、再び男に向かって猛進する。その直後、空中に浮遊する物体からレーザー光線が照射された。
「うっ!」
一筋のレーザー光線が真白の左肩を打ち抜いた。肩から赤い粒子が鮮血の様に吹き出す。
「真白!」
圭介は思わず叫んだ。
男は苛立った表情を見せ、真白に鋭い視線を突き刺す。
「……兵器を装備せず、立ち向かおうなどとは、私を愚弄しているのですか?」
「うるさいうるさいうるさい!」
左肩を負傷しながらも、真白は男へ立ち向かおうとする。しかし真白が動いた瞬間、浮遊する6つの物体からレーザー光線が放たれ両膝を貫いた。
「うぐっ……」
真白は嗚咽混じりの声を漏らし、苦痛で顔を歪めた。大量の赤い粒子が両膝から吹き出し、もはや身動きが取れない状態に陥った。
「兵器の装備を頑なに拒否するおつもりですか? ま……いいでしょう。どんなつもりかは理解に苦しみますが、これは私に対する侮辱とみなします」
散開していた浮遊する6つの物体は、男の頭上に集まり円形を成した。そしてその銃口の全ては真白に向けられた。「兵器を持たない保安官など、一区のカラーズ人に等しい」
「待ってくれ!」
圭介は満身創痍の真白の前へ立ちふさがった。
「どうされました? 先に核化をお望みですか?」
「俺はカラーズ人じゃない。地球人だ!」
「地球人? ふむ……記憶の操作を施されていないという事は、従者ですか」
「けーすけ……逃げて……」
「何言ってんだよ! お前を残して逃げられる訳ないだろ!」
それは自分自身でも不思議な行動だった――以前立ち向かった不良少年達とは明らかに次元が違う恐怖を目の前にして、こんな行動を取る自分が信じられない。
だが、圭介は真白に発した言葉とは裏腹に恐怖で震えていた。
何やってんだろ俺。こんな化け物みたいな奴に勝てる訳ないのに……でも、それでも……このまま一人で逃げるなんて出来ない!
腹を括った圭介は、男から目を逸らさず、両手を広げて真白の盾となった。
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