第三章【第9区―ナイン―】⑪
圭介は駆けていく真白の後ろ姿を目で追った。30メートル程走った真白は左に曲がりビルとビルの間へ入っていった。それを確認した圭介も走り出し後を追う。
しかし――
「ハァ……ハァ……あれ……」
人が一人通るのがやっとの幅しかないビルとビルの隙間に入ったが、そこには真白の姿は無かった。「なんで……一体真白はどこに…………ん?」
数メートル先の空間に歪みが生じている箇所を発見した圭介は、目の錯覚かと右手で両目を擦る。そしてもう一度確認を試みるも、やはり空間は歪んで見えた。よく見るとその箇所だけ、うっすらとした『色』がついている。
「なんだアレ……」
赤でも青でも黄色でもない色。言葉では表現出来ない色が、圭介の眼前にある歪んだ空間に見える。
圭介の脳裏に咲夜との会話が浮かんだ。
――『五色型色覚』を持つ我々には、地球人に見えない色が識別出来る。
「色覚……」
――アナザーポイントの入り口は見えない色で構成されている為、地球人には発見出来ない空間なのさ。
「間違いない……あれはアナザーポイントの入り口だ。でも……何で俺に見えるんだ!?」
地球人である圭介には見えるはずのないアナザーポイント。しかし咲夜の言っていた通り、空間が歪んだ箇所には確かに赤でも紫でもない色がついている。
圭介はアナザーポイントの入り口らしき場所に歩み寄ると、一旦立ち止まった。
「真白はこの中に入ったのか……。異能の影響で俺にもアナザーポイントが見える様になったって事か……」
恐る恐る空間が歪んだ箇所へ右手を伸ばすと、空間の中へ右手が入った。
「うおっ!」
驚いた圭介は、一旦右手を歪んだ空間から引き出した。
「どうする……。咲夜は単独でアナザーポイントには入るなって言ってたし、咲夜を呼びに行くにしても今どこにいるかわからないし……あっ!」
その時ほんの一瞬、閃きが浮かび上がるのを感じた。目を閉じて意識を集中させると、頭の中で咲夜に呼びかける。
――咲夜! 聞こえるか!?
何度か呼びかけるも、反応は無い。どうやら遠距離での意識共有は出来ない様だ。
「だめか……」
目を開けてアナザーポイントの入り口を見つめる圭介は、入るか入るまいか決心がつかずその場に佇んだ。
だが――
「真白の行動から推測すると、この中で『何か』が起きているのは確かだ……。俺が行った所で何か出来る訳じゃないけど………………真白をほっとけない!」
意を決するとアナザーポイントの入り口に飛び込んだ。
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