第一章『未知との遭遇?』 ②
「圭ちゃんが毎朝鳩ちゃん達にご飯あげてくれるから、最近神社に来る鳩ちゃんが更に増えた気がするよ」
「ハハハ、まぁ、鳩が来ないよりはいいんじゃないか? 一応『鳩神社』って名前の神社なんだし」
圭介が笑いかけると、木葉は彼の顔を覗きこんで、
「あ、そういえばさぁ、こうやって圭ちゃんと登校するの久しぶりだよね~」
「……そうだな」
「んんっ!? 何浮かない顔してんのぉ? 木葉と一緒に通学するのが嫌なんですかぁ?」
「嫌とか、そんなんじゃないよ」
圭介はこちらを覗きこむ木葉から視線を反らせた。「つか、この間の大会、優勝したんだってな。やっぱ凄いよ木葉は……」
「ん~ん、たいした事ないよぉ。偶々都内の主力選手が欠場に次ぐ欠場でぇ」
木葉は謙虚な言葉とは対照的な満面の笑みを見せる。
圭介はその笑顔をちらりと見ると、視線を少し下へそらし、制服のボタンが今にも弾け飛びそうな程、大きく張り出た二つの『ふくらみ』にロックオンした。
「つかさ、そんな『ウエイト』を胸に搭載してるのに、あんなにも速く走れるもんなんだな」
「……え!? ヤダ、どこ見てんのよ! 圭ちゃんのエッチィ!」
木葉は胸を凝視する圭介の顔面目掛けて、肩にかけていたトートバックを振り回した。しかし、それは紙一重でかわされ、
「ハハハ、悪い悪い。でも木葉は本当に才能あるよ。神社の巫女になるのがもったいないくらいだ」
「何言ってんのよ、圭ちゃんだって才能あるじゃん! どうだった? この間のコンクール」
「いつも通り落選……てとこかな」
「……そっかぁ、残念だったね。でもさ、諦めなかったら絶対入選するよ!」
「俺には無理だよ。才能ないし」
「え~! 何でぇ!? 圭ちゃん昔から凄く努力してるじゃん! 努力に勝る才能なしだよ! うんうん」
「……才能が無いから努力が報われないんだよ。一生懸命やったって、結果を出さなきゃ意味がない……だから、俺は……」
『無能なんだ』
心の奥底から込み上げてきた悲痛な言葉が喉元を通過しようとしたその時、圭介は表情を曇らせた――
<続く>
「ブレーンワールド」
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