第三章【第9区―ナイン―】④
「なぁ、咲夜」
「どうした? 声が昨日よりも軽やかだな。才能を開花させ、自信がついたか?」
ジェットと別れて自宅に着いた圭介と咲夜は、リビングのソファに座り、暫しくつろいでいた。
「ん~。それも勿論理由の一つだけど……今日さ、田代達にお金を貸す事はもうしないって、面と向かってちゃんと断ったんだ」
「ほぉ。それは素晴らしい進歩だな」
「そしたらさ、なんか身体が凄く軽くなったんだ……。まぁ、ジェットに助けてもらったから、一人で解決した訳じゃないんだけど」
「ところで圭介。あのジェットという男について、一つ気になる事があるのだが」
「え?」
「あの男の情報を得る為、記憶を調べたのだが、十歳以前の記憶が無かったのだ。何か知っている事はあるか?」
「あぁ、ジェットは俺が小学五年の時に転校してきたんだけど、転校してくる前に住んでた所で交通事故にあって、酷い怪我をしたみたいなんだ。その怪我の後遺症で、記憶を無くしたって本人は言ってたよ」
「事故か……それは気の毒な事だったな」
「しかし記憶の情報まで瞬時に得られるなんて、本当に咲夜の意識操作は凄いよ。その能力があれば地球侵略なんて簡単じゃないか」
「造作も無い事だ。地球人の脳内構造はカラーズ人に比べてシンプルなのでな。まぁ、他ブレーンでの侵略行為は条約で禁じられているので安心しろ」
「あ……あぁ。ん? て事は、カラーズ人に対しては意識操作は出来ないのか?」
「侵入は可能だが、カラーズ人の脳内には意識操作をシャットアウトする機能が備えられているから操作は不可能だ。もしも操作出来ていたら、色々と楽なんだがな」
圭介はリビングを見渡して、
「そう言えば真白達は? まだ帰ってないみたいだけど」
「アナザーポイントの調査へ向かわせた。じきに戻るだろう」
咲夜がそう告げた直後、玄関を開ける音が聞こえた。
「噂をすれば何とやらだ」
帰宅した真白達はすぐにリビングにやってきた。
「ただ……いま」
咲夜は真白達の様子の変化にすぐに気が付いた。いつもならばハイテンションで『けーすけー!』と言って抱きつく真白だが、これまで見たこともないような沈痛な面もちで佇んでいる。
「どうした? 何かあったのか?」
咲夜に問いかけられた姫は、目の前に座り無言でポケットの中から取り出した『モノ』をテーブルの上に置いた。
「これは…………どこで見つけた?」
「新宿のアナザーポイントだよ。新宿界隈のポイントへ向かってたら、真白ちゃんが急に走り出してさ。行ってみたらコレがあったんだよ」
机の上に置かれた二つの『モノ』。それはクリスタルの様な透明感のある『石』だった。
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