第二章『アナザーポイント』㉓
「そうだ。身体構成のバランスに狂いが生じていたのは多分矯正された影響だろう。お前にとってその矯正が才能の『枷』となっていた訳だ」
「でも、たったそれだけの事で……」
「才能というモノはそういうものさ。至極単純なきっかけで良くも悪くもなる」
圭介は左手を見つめながら今まで描き上げてきた作品を思い出す。
「いつもさ……頭の中に描いたイメージと違うモノがキャンバスの中にあるんだ。イメージ通りのモノをキャンバスの中へ表したい一心で必死に頑張っても、頑張っても出来なくてさ……」
「積み上げてきた努力がこの絵に全て表れてますわよ」
「良かったね、けーくん」
「けーすけの努力はやっぱり無駄じゃなかったんだよ。だってこんなにもキラキラしてるもん!」
今まで見ていた磨りガラスの様な景色が一瞬でクリアになった感覚――自然な笑みが圭介の口元に零れた。
「……ありがとう。でもさ、何でここまで色々助けてくれるんだ?」
「けーすけは真白達の恩人だもん!」
「その通りだ。我々は恩を返しているにすぎない。圭介、お前に渡したい物がある」
「え?」
咲夜は左手首につけていたリングを外し、圭介に手渡した。
「これは?」
「それはカラーズにしか存在しない物質で造られたリングだ。このネームプレートの様に、我々とお前の『絆』にしたくてな」
チタニウム合金の様な青色の美しい焼き色が入ったリングは、シンプルでいて武骨さを感じるデザインだ。
「これを俺に?」
「あぁ、つけてみろ」
圭介はリングに左手を入れる。しかし輪が大きくて圭介の手首には合わない。
「ちょっと俺には合わないかも……手首細いからさ」
「問題ない、すぐに馴染む」
「めちゃくちゃユルユルだけど……ん?」
リングの表面がまるで液体の様に波打ち出し、圭介の手首に絡みつくと、元の形状に戻った。
「うわ、ピッタリだ。凄いなコレ……」
「液体で出来た金属の様なものだ。カラーズではポピュラーな素材で、あらゆる物に使用されている」
「貰っちゃていいのか?」
「勿論だ」
圭介は自分の手首にフィットしたリングを光にかざした。
「ありがとう……嬉しいよ」
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