第二章『アナザーポイント』⑲
一日の疲れを癒やす為、圭介はお風呂に入ることにした。
「ふぅ……」
羽鳥家の浴室は、建物同様一般家庭とは一線を画している。壁から床、そして浴槽に至るまで、全て大理石で造られた絢爛豪華な浴室だ。
中でも目を引く浴槽は、一度に10人は入浴可能な程広い。
「こんなにも疲れたのは、コンテスト締め切り直前に徹夜で頑張ってイラスト仕上げた時以来だなぁ……」
湯船に浸かり、両手両足を伸ばしてリラックスする圭介は、立ち込める湯気に向けて息を吐き出しながら物思いにふける。
異世界宇宙人との共同生活が始まった為、以前よりもプライベート空間が限られてしまった圭介にとって、一人きりでくつろげる入浴の時間は、なによりも貴重なものとなっていた。
「ハァ~。落ち着ける場所はトイレと風呂ぐらいになっちゃったなぁ……。だけど、ホントに凄かったな。あんなグロい生物が宇宙から飛来してくるなんて。あれが保安官の調査か……」
圭介は今日一日の出来事を思い返しながら、
「でも、俺にとって衝撃的だった出来事はやっぱり……」
頭の中で真白とのキスシーンを再生すると、火照った頬が更に赤味を増した。
「柔らかかったなぁ……真白の唇……」
比喩が出来ない程の異次元感触を思い出し、煩悩に支配され始めた圭介は、自身の下半身が熱くなるのを感じた。
「やべ……何か興奮してきちゃったな。このままじゃ風呂から上がれないや……」
湯船の中で変形してしまった『アンダーパーツ』を元に戻す為、懸命に煩悩をパージし始めた、まさにその時――
「けーすけぇ~」
「!?」
真白の声に反応した圭介は、浴室の入り口に視線を移した。そこには磨りガラス越しに映る真白の姿があった。
「ど、どうした真白?」
「真白も一緒に入ってもい~い?」
「は!? ダ、ダダダダダメに決まってるだろ!」
「え~、いいじゃ~ん。みんなもいるよ」
「み……皆ぁ!?」
磨りガラスに映るシルエットが次々と増え、やがて4人全員が入り口に集まった。
「おい! お前らなんのマネだよ!」
「申し訳ございません、圭介様。私は一応止めたのですが……」
「にゃはははぁ~ん。けーくん洗いっこしようか!」
「な……」
よからぬ想像が一瞬圭介の頭の中をF1マシンの様に通過する。
「バカな事言ってんじゃなねー! 風呂の順番決めただろ!? 後で入れよ!」
「こんなにもだだっ広い風呂で『孤独湯』は寂しいだろう……という、我々の優しさから可決された混浴だ。ありがたく受け入れろ」
「孤独湯って何だよ! ガキじゃあるまいし一人で風呂に入るのが寂しい訳ないだろ!」
「つべこべと往生際が悪い奴だな。真白、強行する。開けろ」
「は~い♪」
「うお! ちょ、やめろ――――――――!」
圭介の言葉など軽く無視し、開かれた浴室の扉――その瞬間、圭介は目をつぶった。だが、思春期真っ只中の健全な十六歳の『女体に纏わる神秘的興味』が、閉ざされた瞼を再び開かせる。
圭介の目に映し出されたのは――
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