第二章『アナザーポイント』⑱
咲夜の説明を聞いた圭介は、花蓮が握りしめているナイトメアニードルに視線を戻す。
「う……ダメだ……。エグすぎてやっぱりまともに見られない」
花蓮の右手で身体をうねらせて暴れるナイトメアニードルは、圭介が目を背けると同時に急に動きを止めた。
「なんだ?」
圭介は表皮の銀色が徐々に変色していくのに気付いた。「何かコイツ黒くなってる様な……」
ナイトメアニードルは闇夜に墨汁をぶちまけた様な漆黒へ身体の色を変化させた。
そして――
「え!? うわ、うわうわうわ!」
ナイトメアニードルは花蓮の右手でサラサラとした砂状になり、あっという間に消滅した。
「死んだ……のか?」
「あぁ。ナイトメアニードルは過酷な環境下でも生き延びる生命力を持つが、太陽光には非常に弱く、数分で組織は破壊され死滅する。故に普段は地中に潜り、夜間になると宿主を探し回るのさ」
「ドラキュラみたいな奴だな……。そういえば、さっき花蓮がこの男からそのナイトメアニードルってのを出した時、透明だったな」
「奴らは光学迷彩機能を持っていて、身体の色素を変化させる事が可能だ。無色無痛、故に人体へ侵入されても気付かないのさ。だから厄介なのだがな」
「ちなみにさ、この男はどうなるんだ?」
「ナイトメアニードルを摘出した後はすぐに理性を取り戻す。まるで何事も無かったかの様にな。気がつけば夢を見ていたと思うだろう」
「そっか……じゃあ、ニュースで騒がれたりする猟奇的な事件の加害者の中にもナイトメアニードルに寄生された人が居るかも知れないのか……」
「我々の統計上、この地球上で起きる猟奇的殺人の八割近くがナイトメアニードルによる影響を受けている」
「八割!? そんなに……」
「我々は他ブレーンの保護観察指定惑星における事件や政治的問題、紛争、戦争などは、条約で定められている事もあって一切介入出来ない。しかし、ナイトメアニードルの様な外敵によってもたらされたイレギュラーは防ぐ事が出来る。これが我々保安官の任務という訳さ」
咲夜は意識を失ったままの麻衣子を見下ろした。「さて、遠藤の記憶を改ざんして、今日の任務を終えるとしよう」
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