第二章『アナザーポイント』⑭
「次のポイントはここだな」
先程のアナザーポイントから移動した圭介達は、都会の喧騒から少し離れた瑞々しい草木が生い茂る公園に到着した。
真白はコンビニで買いもらったグミを口一杯に頬張り、
「へーすへ……このおひゃし……ふごくおひしい」
「真白……グミ食いながら喋んなよ。何言ってるかわかんねーっての。しかも既に2袋目だし。お前はアレか、グミ属性ですか?」
圭介は呆れ顔で真白に言うと、「……あのさ咲夜、カラーズ人なら誰でもアナザーポイントは見えるんだよな?」
「あぁ、その通りだ」
「じゃあ、姫の能力って? 夕べ『目』がどーのこーのって言ってたけど……」
「姫の目は我々と違い『特別製』なのだよ」
「そゆこと。このアナザーポイントは僕が見つけたんだよ。東京には都内が一望出来る『塔』があったから簡単だったよ~」
「塔……スカイツリーの事か? だけど、いくら見晴らしが良くてもあの高さと距離からじゃ、こんな場所見つけられないだろ?」
圭介に指摘された姫は、自分の両目を指差しながら、
「ボクの能力は『スコープアイズ』。例えるなら、超高性能な望遠鏡ってとこだね。ここから月のクレーターも鮮明に見えるよ」
「凄いな……でも、わざわざスカイツリーに登らなくても、鳩に擬態して上空から探せばいいんじゃないか?」
「う~ん、擬態化っていうのは他ブレーンでダメージを負った場合の生命維持緊急措置なんだよ。だから鳩の状態では能力の使用に制限がかかっちゃうんだ」
「そっか……」
地球人など比にならない異世界スペックに、もはや言葉すら出ない圭介は、沈黙したまま歩を進める。公園内を歩き始めて約10分、噴水がある場所へ辿り着いた時、咲夜が足を止めた。
「ここだ。入るぞ」
圭介は真白に手を引かれ、再びアナザーポイントに入った。その直後、尾行を続けていた麻衣子は噴水の前へ走り込んだ。
「……何で……? しっかり後をつけて来たのに……」
またもや消息を絶った圭介達を必死に探す麻衣子だったが、周囲を見渡しても気配すら感じられない。歩き疲れた麻衣子は噴水近くのベンチに腰を下ろすと、小さく息を吸い込んだ。
「ハァ~。もぉ、何処に行っちゃったのよぉ……」
軽い苛立ちを覚えながら、ベンチの背もたれに身体を委ねる。「喉……乾いたな」
疲労気味の麻衣子は喉を潤す為、視界に入った自販機へ向かおうとベンチから立ち上がろうとした。その時、後方の木々の間からガサリという葉っぱを揺らす音が耳に届いた。
圭介達かと慌てた麻衣子は、恐る恐る後ろを振り向くがそこには誰も居ない。
「な~んだ、猫か何か……」
拍子抜けし、がっかりとした表情で再び前を向いたその刹那――
目の前に見知らぬ男が立っている――驚いた麻衣子の身体は一瞬硬直した。突然現れた中年男性は、麻衣子の顔を無言のままじっと見つめる。
「あ、あの……何か?」
「み、道に……道に迷ってしまったんだ」
「道って、ここ公園ですけど……」
「ど……どんな仕事をし……しても、長続きしないんだ。ぼ、僕は一生懸命やってるのに誰もそ、それを認めようとはしない……」
たどたどしい言葉使いに黄ばんだTシャツ――支離滅裂な話と男の身体から発せられる汗と脂が混ざり合った耐え難い悪臭に、麻衣子は顔をひきつらせた。
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