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ブレーン×ワールド  作者: ミルシティ
32/88

第二章『アナザーポイント』⑫

 放課後――

 真白達との波乱に満ちた学園生活初日を何とか乗り切った圭介は、大きな溜め息をついた。

「ハァ…………」

「あらあら、お疲れのご様子ですわね、圭介様」

「そりゃ疲れるよ……。『あんな事』が起きたんだから。そろそろ限界フラグが立ちそうだよ……」

「でもさ、真白ちゃんにキスしてもらえてよかったね~。けーくんリア充ルートまっしぐらじゃん!」

「いやそれは嬉……じゃなくて!」


 下校のため正門まで来たところで咲夜が合流した。


「すまんな、職員室での雑務とコミュニケーションに時間を労した。では行こうか」

「咲夜ってさ、やっぱ凄いよな」圭介は教師姿の咲夜を眺めて、

「どこからどうみても教師だもんな。授業も完璧だったし」

「フッ……私の超高スペックに今更感嘆する事もあるまい」

 咲夜は右手の人差し指でメガネを上げながら、圧倒的なドヤ顔を見せる。

 真白は呆れ顔で咲夜を見つめる圭介の顔を覗きこんで、

「ねぇねぇけーすけ、真白達はどうだった?」

「あぁ、真白達の生徒ぶりも中々だったよ。一部の想定外な『出来事』を除けば……」

「わ~い、誉められた~♪」

「クラスメイトの方々も優しい方ばかりでしたし、楽しい1日でしたわ」

「そうだね、カラーズじゃ体験できない事だから楽しかったなぁ」


 圭介は歩きながら、キョロキョロと周りを見渡した。

「ところで咲夜、どこへ向かってるんだ? もしかして昨日姫が言ってたアナザーポイントって場所か?」

「そうだ。これから本格的な調査を行う。姫、どの辺りだ?」

「ここからそう遠くないよ。大体一キロぐらいだね」

「見つけ出したアナザーポイントの数は都内だけで75ヶ所だったな」

「うん、この辺りは結構『歪み』がヒドいみたい。やっぱり重力子の……」


 咲夜と姫の話す内容が全く理解出来ない圭介は、これから連れていかれる『アナザーポイント』なる場所に多少の不安を感じていたものの、異世界宇宙人が行う地球調査に知的探求心をくすぐられていた。


 おお……なんか、ドキドキしてきたぞ……


 胸を高鳴らせて歩を進める圭介の50メーター後方に、圭介とは違う意味で胸を高鳴らせている1人の女子生徒が居た。


「この道、羽鳥くんの帰宅ルートじゃないわね……どこに行くのかしら……」


 麻衣子は人波に紛れながら圭介達を尾行する。入学以来、内に秘めた下心を悟られない様、慎重を期してアプローチを仕掛けてきた彼女にとって、真白の大胆な『行動』は目に余るモノがあった。

「海外生活が長いとはいえ、キスだなんて……益々油断は出来ないわ。まずは御巫真白達の情報を仕入れる事が必須……」

 肉食動物がじわじわと草食動物を追い詰める様に圭介を狙う。そんな麻衣子の追尾と共に、学園から一キロ程歩いた圭介達は、人通りが多い大通りから一本裏道に入った。

「ここだな」

「え? 何々?」


 咲夜はおもむろに足を止めた。辿り着いた場所は、砂利が敷き詰められた駐車場だった。圭介は周りをキョロキョロするが、車が停められている以外、特に変わった場所ではないようだ。

「普通の駐車場……だよな。一体ここに何があるっていうんだ?」

「真白、圭介と手を繋げ」

「は~い」

 真白に右手を握られた圭介の心拍数は、尋常ではない程急激に加速した。


 う……わ……柔らかい手……


 女の子と手を繋ぐのは幼少期以来。まるで自分の手をゼリーで包み込まれている様な、不思議な感触に思わず息を飲んだ。


「よし、では入るぞ」

 

 入る……?


 咲夜が発した言葉の意味をいまいち理解出来ないまま、圭介は真白に手を引かれ、再び歩き出した。やがて何やら視覚に『違和感』が起きた。


 あれ? 何だ……今一瞬目眩が……。


「ブレーンワールド」の更新ペースは、新作執筆中のため今のところ分かりません。随時チェックしていただければ幸いです。


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