第二章『アナザーポイント』⑧
「コホン、では自己紹介の方を頼む」
「神無月姫です。よろしくぅ!」
「有栖川花蓮と申します。以後お見知りおきを」
「え~っと、御巫真白だよ! よろしくね♪」
クラス中の男子生徒達は、三人の可愛らしさに歓喜のどよめきを起こす。
「さて、今日からこのクラスで一緒に勉学を励む事になるのだが、一つ皆には説明しておかなくてはならない事がある」
ちょ……説明? 何のっ!?
咲夜の言動に不安を抱く圭介――
「私とこの三人は親戚同士だ。そしてこのクラスの羽鳥圭介の親戚でもある」
「……なっ!」
クラスメイトの視線を再び独占することになり、もはや何をどうしていいか分からない圭介は放心状態に陥ったが、その時、頭の中に『声』が響いた。
――圭介、落ち着け。
「……え?」
――私だ。今、お前の意識に直接語りかけている。言葉に出さずに思考だけで会話が出来る状態だ。
圭介は教壇の方を見ながら、
――マジかよ……テレパシーみたいで凄いな…………って! お前、何でいきなり全部バラしちゃってる訳!? 俺はどーすりゃいいんだよ!
――冷静になって考えてみろ、私がありとあらゆる策を練った所で真白の『バカ正直』を制御する事は不可能だ。どうせバレるのならば、先手を打った方が得策だろう? とにかく、私の言動に合わせておけ。
「海外暮らしが長く、日本に馴染んでいない我々の世話を、親戚である羽鳥家が買って出てくれてな。その言葉に甘えたと言う訳だ。これからの学園生活、転校生共々よろしく頼む。では、さっそくだが、心機一転という意味も込めて席替えを行いたいと思う」
挨拶を済ませ、突如提案された席替え。
咲夜は教壇の上に四角い箱と紙を用意した。
「さぁ、ではクジを引いてもらおうか」
名簿順にクジを引いていく生徒達を横目に嫌な『予感』が圭介の頭の中を縦横無尽に駆け巡る。そして、その結果は――
窓際の最後列という『当たり席』を引き当てたにもかかわらず、目の前の二席に、姫と花蓮。そして隣には、真白という余りにも不自然過ぎる配置に、圭介は沈痛な面もちで絶句する。
アイツ……絶対何かやったな……
「あらあら圭介様、何という素晴らしい偶然ですこと。よろしくですわ」
「今日はクジ運がいい日だなぁ。よろしくねけーくん」
圭介は呆れた表情で二人を見つめ、
「何がクジ運だ……明らかに咲夜の能力で……」
「わーい! けーすけの隣だぁー♪」
テンションが上がった真白は、生徒達の視線など一切気にする事なく圭介に抱きついた。
「うわっ! おい真白! 何やってんだよ!」
「だって嬉しいんだも~ん」
「ちょ……皆見てるだろ!」
周囲の生徒達が照れるぐらいの密着で抱きつかれた圭介は、真白の右隣に座る女子生徒の視線を感じた。
「御巫さん、ずいぶん羽鳥くんと仲がいいのね」
「うん♪ 真白、けーすけが大好きなの!」
女子生徒の言葉に対してストレート過ぎる表現で返す真白に、生徒達は引くのを通り越して、逆に爽やかさすら感じてしまう。
咲夜は小さく微笑んで、真白に抱きつかれたままの圭介に助け舟を出す事にした。
「真白は小さい頃から圭介にべったりでな。数年ぶりの再会に感極まっているんだ。ちなみにそのスキンシップは、長い海外暮らしの影響だから気にするな」
「そっかぁ、じゃあ兄妹みたいな感じなのね。私は遠藤麻衣子。よろしくね、御巫さん」
麻衣子はニコリと、好意的な笑顔を真白に向ける。
圭介はその笑顔を見て、ひとまず胸を撫で下ろした。
「ブレーンワールド」の更新ペースは、新作執筆中のため今のところ分かりません。随時チェックしていただければ幸いです。
ご意見、ご感想など遠慮なくお願いします。ブックマークや評価などしてもらえると喜びます。
ツイッター始めました。
https://twitter.com/millcity2020




