第二章『アナザーポイント』②
圭介が心ここにあらずな状態で授業を受けている頃、真白達は圭介の家の前で佇んでいた。
「さて、用事は一通り済ませたな。では少しくつろぐとしようか」
「さくや~、ドア開かないよ?」
「あぁ、鍵の開け方を聞いてなかったな。しかし、問題は無い」
「ですが咲夜さん、圭介様のご自宅は見たところ万全なセキュリティー体制が施されている様子ですよ? 鍵もほら、ごらんの通り」
花蓮は如何にも頑丈そうなステンレス製自動ドアの横に設置された、静脈認証式ロックを指差す。
「フフフ……愚問だな花蓮。私を『誰』だと思っている」
「あら、これはこれは失礼でしたわ」
「早く開けてよ~。ボクおなか空いた~」
「じゃあ真白が開けてあげるよ!」
真白が目を輝かせて扉に手を掛けるのを、咲夜は手で制して、
「やめておけ。おそらく、この扉は無理にこじ開けると警報機が鳴り、警備員がこの家へ駆けつけてくるシステムだろう。ここは私に任せろ」
咲夜は壁に備え付けられている認証システムをジッと見つめる。
三人がそんな咲夜の様子を見つめていると、彼女の瞳の中に赤い光を放つ指輪の様なリング形状が現れた。
「なるほど……。『昔』に比べれば、地球人の技術もある程度進化したものだな」
咲夜が口元に笑みを浮かべながら液晶画面を見つめ続けると、カチッという開錠音と共に認証システムの液晶画面が『ロック』から『アンロック』に切り替わり、いとも簡単に自動ドアが開いた。
「さぁ、入ろうか」
咲夜は三人を中に入るように促した。
「わーい♪ 真白お風呂入る~」
「じゃあ僕も入る~。花蓮ちゃん食事の用意よろしくね!」
「かしこまりましたわ」
★
「ヤバい……早く帰らないと」
放課後、圭介は慌てて自宅へ向けて歩を進める。「真白達、もう家かな……。朝、慌ててたから鍵の登録出来なかったんだよな~」
普段ならば暇つぶしに本屋で立ち読みをしたり、コンビニで買い食いしたりと、ダラダラ時間をかけて家へ帰宅する圭介だったが、今日に限ってはそんな怠惰な感覚すら芽生えてこなかった。
「ハァハァ……あれ……? まだ帰って来てないのか……」
駆け足で息を切らしながら家へと辿り着いた圭介は、玄関先で妙な感覚を得た。「まさか……な」
恐る恐る玄関の前に立ってみると、静脈認証を行っていないにも関わらず、自動ドアは当たり前の様にスッと開いた。
この時間帯に両親が帰ってくる事はまずありえない――
強固な防犯セキュリティーを誇るはずの自動ドアは、家族以外の『者達』を迎え入れている事を示していた。
「あ! けーすけ~♪ おかえりー」
「おかえりって、どうやって家の中に入ったんだ……って、ブホッ!」
玄関を開けた瞬間、圭介の眼球に激しく衝突してきた映像――それは一糸纏わぬ真白の『裸体』だった。
「ちょ……ちょちょちょちょと! 何てカッコしてんだよ!」
「なぁに? 真白なんかおかしい?」
「お……おおおお、おかしいよ! おかしすぎるだろ! 頼むから服を着てくれ!」
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