第二章『アナザーポイント』①
「う~ん…………疲れた……」
ランチタイムを終え、午後の授業へ向けた準備時間。机で頬杖をつく疲労気味の圭介の目の下にはうっすらと『クマ』が現れていた。
「眠たい……。ほとんど一睡も出来なかったもんな……。全く、真白の奴……」
圭介が寝不足モードマックスなのは昨晩の『ある出来事』のせいだった。
四人の為に余っている部屋をそれぞれの個室として割り当てたのだが、真白はそれを頑なに拒否し、圭介の部屋で一緒に眠ると言いだした。
困り果てた圭介を見かねた咲夜が真白を説得し、一旦は自室へ帰ったものの、夜中に彼のベットへ潜りこんできたのだった。
「確かに真白は一番可愛がってたけど、それは鳩時代の時だし……。でも、まさかあの真白があんなに可愛い女の子として俺の前に現れるだなんて、想像もつかなかったな……」
授業開始のチャイムが鳴り響く中、圭介は心ここにあらずな視線を窓の外に向ける。
――そう言えば咲夜、妙な事を言ってたよな……。『今日中に準備をする』って、一体どういう意味だ?
授業開始から10分程経過した頃、普段に増して授業に集中出来ない圭介は、咲夜との会話を思い出していた――
――我々保安官の目的は、地球外から侵入する外敵の駆除、及び地球人の保護だ。
――外敵って、やっぱり侵略宇宙人みたいな奴らがいるのか?
――フフフ……地球人の夢と浪漫を壊す様だが、我々カラーズ人が調査した結果、このブレーン内に地球以外の生命居住区域は存在しない。
――そうなんだ。つまり、地球人以外に知的生命体はいないって事?
――そういう事になるな。
――なら、外敵って一体……。
――その事については、また追々話そう。
気になる……。
外敵が侵略宇宙人じゃないなら一体どんな姿してるんだろ……。つか、それよりも気になるのはアイツ等の今現在の『行動』だよな…………。
そんな漠然とした思いを駆けめぐらせながら、窓の外へ投げ出していた視線を教室へ戻した。
「羽鳥くん」
麻衣子が圭介の顔を覗きこむ。
「うおっ! え……遠藤さん!?」
息が吹きかかる程の至近距離に、思わず仰け反る圭介の頬は一瞬で桃色に変化した。
「え!? い、今……授業中じゃ……」
「終業のチャイム聞こえなかったの? 授業はもう終わったよ」
麻衣子は圭介の前の席に座った。「上の空で何か考え事ぉ?」
「い、いや……別に」
「ふ~ん。それよりさぁ、さっき面白い『情報』を仕入れたんだよね~」
「え?」
「担任の桜井先生ね、この学園を辞めるんだって」
「へぇ~、辞め……えぇ!?」
「さっき職員室にプリントを取りに行った時、他の先生が話してるの聞いたの。なんかぁ、前からアメリカの大学へ留学したかったみたいで、それが決まったらしいよ」
「随分突然だね……。桜井先生ってこの春、教師になったばかりじゃ……どうしてこんな時期に……」
「でもさぁ、夢が叶って良かったと思わない? いいなぁ、羨ましいよ~」
麻衣子は両手で頬杖をついて笑顔を見せる。
「夢……か。遠藤さんも何か叶えたい夢とかあるの?」
「え~私の夢ぇ? ん~。素敵な『お嫁さん』かなぁ」
「あ……あぁ、素晴らしい夢だね。遠藤さんならいいお嫁さんになれるよ」
「本当に!? じゃあ頑張ったら羽鳥くんお嫁さんにもらってくれる?」
「え!?」
「だってさ、羽鳥くん誠実そうだし、浮気しなさそうじゃない? それに……」
「それ……に?」
「ううん、なんでもなぁ~い。次の授業、羽鳥くんの苦手な数学だよ。ちゃんと受けないと、テストで赤点取っちゃうよ!」
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