第一章『未知との遭遇?』 ⑰
圭介は4人分の食事を用意した。
リビングの食卓で腹を空かせた異世界人が食事を心待ちにしているという、なんともシュールな絵図等が疲労感に満ちていた圭介の心を和ませた。
「お待たせ」
「わーい! ごはんっごはんっ♪ けーすけ、これなぁに?」
「ピラフっていう食べ物だよ」
真白は胸いっぱいにピラフの匂いを吸い込んだ。
「いいー匂い……。ねぇ食べていい?」
「どうぞ。口に合うかはわからないけど」
「いっただきまーす♪」
「あ……ごめん、スプーン忘れたから持ってく……」
真白は皿が食卓に置かれた瞬間、鳩が地面の餌を嘴でつつくように、我先にと手を使わずピラフを食べ始めた。
「うわっ! ちょ……ちょっと真白!」
「ハハハ、鳩生活が長かった影響だろう。真白、ちゃんとスプーンを使用して食べるんだ」
「ふぁ~い」
あっという間に食事を終えた4人の姿を見て、圭介の頭の中にある『疑問』が浮かんだ。
「あのさ、わざわざ自分達の素性を明かさなくても、俺の記憶を操作しちゃえば地球で暮らす事なんて簡単じゃないか?」
「お前は我々にとって命の恩人だ。その恩人に対して記憶を操作するなどという無礼な行為はしたくないのさ。そして何より、真白がお前の事を相当気にいっているからな」
「うん! 真白、けーすけ大好き♪」
「あ……そう」
「ですけど、このお家は本当に心地が良いですわね……」
「うんうん、神社に居るよりもパワーがみなぎるよね。なんでだろ?」
「おそらく、この家が我々にとって『パワースポット』という回復ポイントなのだろう」
「え? 俺の家がパワースポット? つか、回復ポイント!?」
「我々の身体構造はお前達地球人とは全く異なる。故に食事の摂取だけでは生命を維持していく事が出来ないのさ」
「構造……ね。見た目はまるっきり地球人と変わらないように見えるけど」
「我々カラーズの身体はこちらのブレーンには存在しない物質で構成されている。主となるエネルギーの摂取方法は、星から放たれる生体エネルギーを身体に吸収する事により、生命を維持しているのさ」
「なんか、植物みたいだよな……。光合成だっけ?」
「うむ。その仕組みに近いと言えるだろう。食事によるエネルギーの摂取は補助的でしかない。しかし、地球から放たれる生体エネルギーはカラーズに比べると非常に微弱だ。これは私の推測なのだが、地球上には部分的にカラーズ並の生体エネルギーを放つ場所が存在する。それが多分パワースポットと呼ばれる場所なのだろう」
「そっか。つまり、地球人にとって精神的な癒やしの場に過ぎないパワースポットが、キミ達カラーズ人にとってはオアシスみたいな場所って事か……。う~ん…………」
咲夜の話を聞いた圭介は目頭を押さえて暫く熟考した後、一つの結論を出した。
「わかったよ。まぁ、色々と困る事もあるみたいだし、自分達の星へ帰れる様になるまでの間ならここに住んでいい……うわっ!」
「やったぁ! けーすけと一緒にいてもいいんだねっ!」
真白は喜びに満ちた笑顔で圭介に抱きついた。圭介はそんな真白の顔を間近で見ながら少々赤面して、
「う……うん。でも父さんと母さんに会ったら、記憶の追加ってのをちゃんと頼むぜ」
「任せておけ。圭介、すまないな恩に着るぞ」
「世話になるよけーくん、よろしくねー!」
「圭介様、ふつつか者ですが何卒よろしくお願い申し上げます」
「あ……はい、こちらこそ」
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