序章『神社の鳩』 ①
「おはよう」
神社の境内に群がる大量の鳩達に朝の挨拶を終えた高校生は、リュックの中から筒状の容器を取り出し、蓋を開けて中身を手のひらに出した。
鳩達は一斉に彼の元へ集まった。
「ハハハ、おなか空いたろ? 沢山食べるんだぞ」
餌を地面にばらまくと、鳩達は嘴を地面に突き立て、一斉に食べ始めた。
「今日もいい食べっぷりだなぁ。あ……コラコラ、ケンカすんなよ~」
我先にと地面に広がる餌を食べる鳩達の中で、身体の大きな鳩が小さな身体の鳩を追い回し、嘴を身体に突き立てている。
「鳩の中でも上下関係ってあるんだな……。まるで人間社会の縮図みたいだ」
視線を地面に落として呟くと、上の方から羽音が聞こえてきた。
「お! 来た来た」
四羽の鳩が群れの中に降り立った。
その鳩達は外来種なのだろうか、他の鳩達と少し雰囲気が違う。四羽の中で一際目を惹く『純白』の鳩が、高校生に向かってテクテクと小走りしてきた。
「おはよう、真白」
声を掛け、右手を開くと、純白の鳩は彼の手の上に飛び乗ってきた。
「ホ~ホー、ホッホー」
真白と呼ばれた純白の鳩は、リラックスした様子で彼の顔を見つめる――
高校生の名前は羽鳥圭介、年は十六歳。
都内にある私立高校『紋楼学園』の一年生だ。彼の日課は中学時代から続く神社の鳩への餌捲きで、授業のある日はもちろん、休日でも毎朝欠かさず行っている。格好良く言い換えればライフワークだ。
「ハハハ、お前はホントに真っ白だよなぁ。あ、そうだ。今日はプレゼントがあるんだよ」
圭介は一旦そっと地面に真白を降ろした。そして、学生カバンの中から四つのネームプレートを取り出すと、その中から星をモチーフにしたネームプレートを選んで真白の首へ結びつけた。
<続く>
「ブレーンワールド」
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