第一章『未知との遭遇?』 ⑭
「そうだ。宇宙、つまりブレーンは無数に存在する。この地球があるブレーンも高次元時空空間に浮かぶ数多くのブレーンの一つに過ぎないのだよ」
「……悪い、俺あんまり頭良くないから全く理解出来ないよ。もっとこう簡単に……」
「ならば分かりやすく説明してやろう」
咲夜は人差し指を唇に当て、フッと息を吹きかけた――
「うおっ! シャ……シャボン玉!? なんだよコレ」
無数のシャボン玉がまるで手品の様に咲夜の指先から吹き出てきた。
「心配するな。大気中の水分で出来た単なる泡だ。害は無い」
シャボン玉は瞬く間にリビング中に広がり、吹き抜けの天窓から注ぐ光を乱反射させ、幻想的な雰囲気を醸し出した。
「このシャボン玉がその……ブレーンワールドと関係あるのか?」
「あぁ、正にこれがブレーンワールドの『姿』だ」
「……は?」
シャボン玉を眺めていた圭介は目を丸くした。
「このリビングを高次元時空空間に例えるならば、宙に浮かぶシャボン玉はブレーンだ。そしてこのシャボン玉の膜の中に宇宙が存在し、幾憶という星が存在している……という訳だ」
「マジか……。じゃあ異なるブレーンから地球に来た咲夜達は、宇宙人っていうよりも『異世界宇宙人』って事になるよな」
「そうだな、その表現の方が自然で妥当だろう」
もはやオカルトの領域とも言える信じがたい展開になってきたが、宇宙をも超越した規模の話に驚愕する圭介は、ゴクリと生唾を飲み込んだ。
「ブレーンの仕組みは大体理解したよ。じゃあキミ達はどこの星から来たんだ?」
「我々は『カラーズ』という超知的生命体が住む惑星からやってきたのさ。映像と共に説明しよう」
咲夜が指をパチンと鳴らした瞬間、リビング中に浮遊していたシャボン玉が全て弾けた。咲夜は顔を少し上向きにし、リビングの空間を見つめる。圭介も一緒に見ていると、何も無かった空間に惑星の映像が浮かび上がった。
「凄い……」
「私がイメージした映像を視覚を介して、空間に映し出している。これなら理解しやすいだろう」
「確かに分かりやすいけどさ……。鳩に擬態してたりとか、シャボン玉出したりとか、挙げ句の果てに目から映像出したりとかさ……一体どんなカラクリなんだよ?」
「残念ながらそれを説明するのは不可能だ。このブレーンには存在しない『物質』を言語で表現する事が出来ない。しかし……あえて言うならば、我々のブレーンは1+1が『3』にも『4』にもなる世界という事さ」
「つまり異能……って訳か」
「そういう事だ。では我々の惑星の説明を続けよう」
咲夜は自らが映し出した映像を改めて見つめた。「カラーズは十の星が連なる惑星で、大きさは地球の四分の一ぐらいだ。全ての惑星には、この様にリング形状の衛星がある」
「この土星の輪っかみたいなモノか……真ん中にあるこの大きな火の玉は太陽?」
「そうだ。銀河の構成自体は、このブレーンとさほど変わりはない」
「で、咲夜達の星はどれなの?」
「この青いリングの星が我々の星、第7区画惑星通称『セブン』だ。カラーズは1から10までのナンバーで分けられていて、10の惑星が一つの国として機能している」
「……壮大な国だな。所で、地球にはどんな目的で? 観光……とかじゃなさそうだけど」
「視察さ。地球はカラーズの第一級保護惑星に指定されているからな。我々は生命居住区域が存在するブレーンの保安官なのさ。我々の任務は……」
その後も咲夜の説明を聞いた圭介は、異次元過ぎる内容を脳へ直接詰め込まれた様な感覚に陥り、憔悴しきっていた。
「疲れている様子だな。とりあえずこの辺りで一旦説明を終わろう」
咲夜の言葉に促されて、表情に疲労を纏った圭介は、リビングからキッチンへ向かうと、一際存在感を放つ巨大な冷蔵庫の中からミネラルウォーターのペットボトルを取り出し、ゴクゴクと豪快に喉を鳴らして一気に飲み干した。
「ブレーンワールド」の更新ペースは、新作執筆中のため今のところ分かりません。随時チェックしていただければ幸いです。
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