第一章『未知との遭遇?』 ⑫
「ねぇ」
「――え!?」
目の前に自称真白が立っている。
「い……いつの間に」
「けーすけは真白のだよ。そんなにけーすけとくっつかないでよぉ」
自称真白はほっぺたをぷっくりと膨らませながら、羽交い締めにしている男子生徒を睨んだ。男子生徒は青ざめた表情で羽交い締めを解いた。
「けーすけ!」
再び圭介に抱きつく自称真白。
「あ……あのさ」
「なぁに?」
「アイツを殴ったのキミ?」
「そうだよ。じゃなくってー、キミじゃないもん! 真白だよ!」
「あ……あぁ」
取り巻きの男子生徒達は、自称真白の一撃によって完全に戦意を喪失している。
しかし――
「おい! お前ら女相手に何ビビってんだよ!」
田代が表情を強ばらせながら叫んだ。
その様子を腕組みしながら見つめる自称咲夜は、
「フフフ、もはや我々が介入するまでもないな。後は『お前達』に任せよう」
その瞬間、上空からおびただしい数の鳩が田代と取り巻きの男子生徒目掛けて飛んで来た。
「うわっ! 何だコイツら……イテ! イテテ!」
鳩達は一斉に田代達の頭や身体を嘴でつつき出した。普段は穏やかな鳩達が、まるで軍隊アリの様に攻撃を行う光景に、圭介は度肝を抜かれた。
「何だこれ……まさかこれも……」
「あぁ。だが、私は彼らに『お前達の恩人が危険な目に遭っている』と伝えただけだがな」
鳩達の凄まじい攻撃に耐えかねた田代と取り巻きの男子生徒達は、悲鳴をあげながら続々と神社の石段を駆け下り逃走していく。
「クソ、羽鳥! テメー覚えとけよ!」
ありきたりな捨て台詞と共に田代達は退散し、鳩神社は普段通りの静けさを取り戻した。
「やっと邪魔者がいなくなりましたわね」
自称花蓮が清楚な笑みを零しながら、倒れている男子生徒の元へ歩み寄った。
「あらあら、随分と派手にやられましたのね」
彼女はしゃがみこむと、打撃を受けた部分に手のひらをかざした。
圭介が不思議そうにその様子を見ていると、手のひらから黄色がかった光がじんわりと満ち溢れ、みるみるうちに打撃痕が消えていく。
「う……」
意識を取り戻した様子の男子生徒は、むくりと身体を起こした。
「お目覚めですか? お友達は仲良く学校へ向かわれましたわよ」
状況が把握出来ない男子生徒は、無言のまま周囲を見渡す。そして視界に自称真白の姿が入った瞬間、顔色が一気に青ざめた。
「ヒ……ヒィヤァァアア――――!!」
男子生徒は情けない悲鳴を上げ、猛然と走り出し鳩神社を立ち去っていった。
自称咲夜は最後の一人を目で追うと、圭介に向き直って、
「ようやく静かになったな。では先程の質問に答えよう。我々が地球に来た理由は……」
「ちょ、ちょっと待った! 展開がジェットコースター過ぎて訳わかんないよ! 少し落ちつかせてくれ! それと……少し、離れてくれないかな……」
「なんでぇ?」
圭介は自称真白の顔をチラリと見て、
「いや、照れるから……」
「真白、離れてやれ」
そう促す咲夜の方を振り返りながら自称真白はほっぺを膨らませて、
「はぁ~い」
「そうだな、少々落ち着いてから話そう。それに、また邪魔者が入ると何かと面倒だ。場所を変えようか」
「いや……俺、学校行かなきゃならないんだけど……」
「1日くらいサボっても問題ない。私に任せておけ。という事で圭介の自宅へ移動しよう」
「任せておけって……。はぁ……もうどうにでもしてくれ……」
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