第一章『未知との遭遇?』 ⑦
ログインネーム夢想天女――
そのプレイヤーである圭介は、ファイナルファイターズのランキング1位『キング・オブ・ファイター』の称号を持っていた。
ファイナルファイターズは至ってオーソドックスな格闘オンラインゲームで、シンプルな操作性と、個性的なキャラクターが大人気を博しているオンラインアプリ。圭介がこのアプリを始めたのは今からニ年前の中学二年生の時だった。
煮詰まった時のストレス解消の一環として何気なく始めたのだが、気づけば百戦錬磨のカリスマプレイヤーになっていた。SNSの掲示板では『無双天女』という別名をつけられ、専用のスレッドも立つ程だ。
「しかしこのユーザー、アイテムや装備に相当課金してるよな……まぁ、強くなりたい気持ちはわかるけど」
ゲーム画面ではプレイ開始を告げる『ladyfight』の文字が浮かび上がり、対戦が始まった。開始早々、喧嘩上等が操るキャラクターは、これでもかとばかりに重火器を乱れ撃つ。
「下手な鉄砲数打ちゃ当たる戦法ですかぁ?」
圭介は巧みな指さばきで画面下のコントローラーをフリックし、喧嘩上等が繰り出す攻撃全てを華麗な動きで避ける。そして一発の被弾すら無いまま、相手の懐へ潜り込み、攻撃を開始した。
キック→パンチ→投げ技→剣でのコンビネーションで喧嘩上等に一切反撃させる隙すら与えず、合計56コンボを叩き込みノーダメージで圧勝した。その後、再戦を申し込まれたが、結果は圭介の6戦全勝と、喧嘩上等を完膚なきまでに叩きのめした。
「キャラクターの装備やアビリティに頼ってばかりじゃ、このゲームで勝利する事は出来ないのさ……って、ハァ……」
連勝をしたというのに圭介の心は満たされない。
プレイ後、虚無感が更に増した彼は部屋の中央に備えられたソファに移動し、背もたれに深く身体を沈めた。
「あ~あ。今頃木葉は部活頑張ってんだろうなぁ……それに比べて俺は一体何やってんだか。 何がキングオブファイターだ……」
スマホの画面をぼんやり見つめながら物思いにふける。
――夢か……俺の夢は……………………。
<続く>
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