地縛霊の俺と無意識の彼女
この作品は地縛霊の男と無意識のあの子の物語となります。元々自己満足で執筆したものですので文章に変な箇所がある可能性があります。
また、恋愛描写が入りますので苦手な方はご遠慮ください。それでも構わないという方はどうぞ、楽しんでいってください。
─────4月
幻想郷。そこにある人里から少し離れた丘の上。そこに一本の大木と共に、俺はいた。
俺は木のそばに寝っ転がりながら、春の風を感じ、雲が流れる空を眺める。今日は絶好の昼寝日和だ。
⋯⋯俺は、自分が何者なのか分からない。多分、身体が透けてるから幽霊。しかもこの木の近くから動けないから地縛霊とか言うやつなんだろう。
だから自分の事なんて知ることは出来ないし、知ろうとも思わない。ただ昼寝して、起きて、また寝て⋯⋯そんな退屈な日々も、悪くないからな。
「さぁて、今日も寝るとしますかね⋯⋯」
そう呟いてまた昼寝しようと目を瞑る。するとどこからか、トタトタと足音が聞こえてきた。誰だこんな場所に、珍しい⋯⋯。
目を開き、足音の方へと視線を向ける。そこには何やら⋯⋯鴉羽色の帽子を被った、銀髪の少女が俺を覗き込んでいた。 少女の胸辺りには青色の閉じた瞳の様なものがある。何とも奇っ怪な姿をしているな⋯⋯というか。
「⋯⋯お前、俺が見えるのか」
少女は確実に俺を見ているだろう。今までこの木の場所に人や妖怪が来たことはあるが、俺の姿を見ることが出来たのは誰一人としていなかった。だから、俺の姿を視認出来てるらしき少女に少し興味が湧く。
「わっ、喋った。もしかして、私の事が見えるの?」
少女は俺が話し掛けた事に驚いた様だ。というか、私の事が見えるの、とはどういう事だ。この少女も幽霊か何かか?
「貴方、お名前は? 私は『古明地 こいし』っていうの!」
「⋯⋯分からない」
「自分のお名前、分からないの?」
「ああ。というか、何で俺がここにいるのかも分からない」
「そっかぁ⋯⋯ね、貴方幽霊なの?」
「そうじゃ、ないか? 多分、地縛霊とかいうやつだろうな」
「じゃあ⋯⋯地縛霊さん、って呼ぶね!」
「⋯⋯そうか」
地縛霊さん、ね⋯⋯まあ、名前が無いよりマシか⋯⋯そんな事を考えながら、また目を瞑って昼寝を始める。
「ねっ、地縛霊さん。何してるの?」
「昼寝」
「⋯⋯ずっと?」
「ああ。俺はここから動けないし、やることもないからな」
「そっかぁ。ねっ、じゃあ私の話し相手になってよ!」
「⋯⋯話し相手?」
「うん! あのね、私は『無意識を操る程度の能力』で人から認識されないの。だから、色んな話をしたくてもあまり出来ないんだ」
⋯⋯だから私の事が見えるの、なんて言ったのか。まあ、俺も昼寝しかやることがないわけだし、別にいいか。
「構わないぞ」
「やった! えっとね~、じゃあ何から話そうかな~」
俺の返事に、こいしは嬉しそうに何を話そうか考える。俺はそれを見てクスリと笑う。
⋯⋯枯れ木のそばでずっと昼寝してた記憶の無い地縛霊の俺。そんな俺に興味を示して話し掛けたこいし。これが、俺達の出会いだった⋯⋯。
─────5月
「すー⋯⋯すー⋯⋯」
「やっほ~、地縛霊さん。遊びにきたよ~!」
5月。暖かい日の光(地縛霊だから暑いとか寒いとか分からんが)に当たりながら昼寝していると、こいしがやって来る。
「ん⋯⋯ああ、こいしか⋯⋯今日は何の話をしてくれるんだ」
「えっとね~、じゃあ問題! 今日は何の日でしょう!」
何の日⋯⋯? 今日は何か祝日だっただろうか。
「⋯⋯ヒントをくれないか?」
「ん~⋯⋯じゃあ、今月は五月です! 五月といえば?」
「五月⋯⋯みどりの日か?」
「違うよ~。っていうか、何で五月って言われて最初に出てくるのがみどりの日なの~?」
「違うのか。正解は?」
「こどもの日だよ!」
⋯⋯ああ、そんな日もあったな。地縛霊になってるせいなのか分からんが、頭に靄が掛かったみたいになっているから、考えるのは苦手だ。
「で、今日はこどもの日に関する話か?」
「ううん。何も関係ないよ。そういえば今日こどもの日だな~って思い出しただけ」
「⋯⋯そうか」
─────6月
「梅雨だね~」
「梅雨だな」
6月。幻想郷も梅雨に入り、最近は雨がよく降るようになった。今日こいしは雨合羽を着て俺の隣に座っている。
「地縛霊さんは雨降ってても昼寝するの?」
「ああ。雨に濡れないからな。それに雨の音を子守歌に寝るのも悪くない」
「そっか。梅雨といえば、何で梅の雨って書くか知ってる?」
「いや⋯⋯何でだ」
「えっとね、雨が沢山降るでしょ? すると植物に露がつくから、そこから梅雨になったっていう話と、この時期は梅の実が熟れて潰れちゃうから、梅雨っていう話があるんだって」
「へぇ⋯⋯何事にも意味はあるんだな」
「うん。地縛霊さんが幽霊になったのは何の理由があるのかな?」
「さてな⋯⋯まあ、いつか分かるかもしれないな」
「そっかぁ⋯⋯クシュッ!」
「おい、大丈夫か?」
「うん。ちょっと冷えちゃっただけ」
「それならいいが⋯⋯風邪には気を付けろよ」
「うん!」
─────7月
「地縛霊さん」
「ん、来たのか⋯⋯どうしたんだ、その着物」
7月。梅雨も明け、そろそろ8月になりそうだという頃。こいしが着物を着て、夜中にやって来た。
「人里で夏祭りがあったんだ~。お姉ちゃん達と遊びに行ってたの」
「そうか⋯⋯姉がいるのか?」
「うんっ! とっても優しくって、物知りなんだ!」
「そうか⋯⋯それで、どうしてここに?」
「あのね、今から花火が上がるんだ! ここからなら良く見えるし、一緒に見たいなぁって」
「⋯⋯姉はどうしたんだ?」
「この近くに友達がいるからその人と一緒に見たいって言ったら、分かったって言ったよ? こことは別の場所で花火を楽しませてもらうって」
「⋯⋯そうか」
すると大きな音とともに花火が打ち上がる。どんどん打ち上がる色とりどりの火の花は、俺とこいしの視線を釘付けにした。
「⋯⋯綺麗だね」
「⋯⋯そうだな」
暫くすると花火が終わり、辺りには火薬の臭いが漂ってくる。
「はぁ、凄かったね⋯⋯」
「ああ⋯⋯」
「⋯⋯それじゃあ、私帰るね。ばいば~い!」
「ああ。暗いから気を付けてけよ」
俺はこいしを見送ると、花火の余韻を楽しみながら、寝転がって眠りについた。
─────8月
「じゃじゃーん。これなーんだ!」
「⋯⋯風鈴か?」
8月。暑さも厳しくなってきたこの頃に、こいしは一つの風鈴を持ってきた。ガラスの外身には、金魚の絵が描かれている。
「うん! 知り合いの巫女さんから貰ったの。折角だしここに掛けたげる」
こいしはフワリと浮くと木の枝に風鈴を括りつける。しかし、この幻想郷の住人には時折常識が通用しない人がいるよな。どうやって浮いているんだろうか。
こいしは風鈴を括り終えたのか、そのまま降りて俺の隣に座り込む。すると丁度良く風が吹き、チリンチリンと涼しげな音が響いた。
「⋯⋯綺麗な音だね」
「ああ⋯⋯眠くなってくるな」
「ふふ、それはいつもの事でしょ?」
「そうだったか?」
「うん⋯⋯私も眠くなってきちゃったな⋯⋯」
「⋯⋯昼寝するか?」
「ん、そうする」
─────9月
「あっつーい!」
「まだ、9月の初めだからな。もう少しすれば秋に入って涼しくなるだろ」
9月。サンサンと太陽が照り付ける、夏の真っ盛りだ。こいしの服装も、8月からだが長袖じゃなく半袖になっている。
「地縛霊さんは暑くないの?」
「地縛霊だからな」
「⋯⋯良いなぁ」
そう言いながらこいしは俺にもたれ掛かると、持っていた水筒の水を飲む。そういえば、俺は人には見えないが触れる事は出来ると分かった。
こいしによると俺の身体はひんやりとしてるらしく、最近はよくもたれ掛かったり枕にしたりと、随分と好き勝手してくれる。
「ぷはぁっ⋯⋯そういえば、今日は人里の人達がお墓参りに行ってたよ」
「そうなのか?」
「うん。お彼岸なんだって」
「へぇ⋯⋯」
お彼岸、か。俺にもし家族や友人がいたら、俺の墓にも参っているのだろうか。いや、もしかしたら墓すら作られてない可能性もあるな。
「というか、仏教があるのか」
「うん。この間の異変の時に現れた人達が仏教を広めたの」
⋯⋯仏教なら、俺の事を成仏出来るのだろうか。
「まあ、いいか⋯⋯」
俺は成仏する気もないし、しない気もない。もしその時がきたらその時だ。
「そうだ、折角だし今度おはぎ持ってくるね!」
「俺は食べれないぞ」
「私が食べたいの」
「⋯⋯そうか」
─────10月
「ハッピーハロウィーン! トリック・オア・トリート!」
「⋯⋯何かの呪文か?」
10月。何やらこいしが妙な言葉を喋りながら手を差し出してくる。服装も、何やら魔女帽子を被っている。
「はえ? もしかしてハロウィン知らない?」
「はろうぃん?」
「うん! えっとね、幻想郷の外でやってるお祭りなんだって。妖怪とかの仮想をして、お菓子を貰うんだってー」
「⋯⋯こいしは妖怪だから仮想する必要は無いんじゃないか?」
「えー、そういう事言っちゃう? 折角だし気分を味わいたいでしょ?」
「そういうもんか」
「そういうもんなの」
「⋯⋯ところで、とりっくおあとりーと、ってどういう呪文だ?」
「えっとね~『確かお菓子くれなきゃ悪戯しちゃうぞ』って意味だったよ!」
「⋯⋯俺はお菓子を持ってないんだが」
「うん! だから悪戯するよ!」
そう言ってこいしが取り出したのは蜘蛛のおもちゃ。おい待て。俺は蜘蛛が苦手なんだ。幽霊だから触れないとしても近付けないでほしい。
「勘弁してくれ⋯⋯」
「えへへ~、悪戯しちゃうぞ~!」
─────11月
「地縛霊さん、遊んできたよ~⋯」
「ん⋯⋯ふぁ~⋯⋯こいしか⋯⋯ん、その手の葉っぱは何だ?」
11月。遊びにきたこいしは手に何枚かの葉を持っていた。
「紅葉だよ。真っ赤に染まってたから、落ちてたのを少し拾ってきたの」
「⋯⋯そうか、紅葉の季節か」
「この近くに紅葉の木は無いから、折角だし葉っぱで紅葉狩り気分でも味わおうかなって」
「悪くないな」
俺はこいしから一枚貰うと、クルクルと回しながら眺める。
「そういえばね~、人里で紅葉の天ぷらなんてものがあったよ」
「なんだそれ⋯⋯食べたのか?」
「うん。美味しくなかった」
「だろうな」
─────12月
「メリークリスマス!」
「⋯⋯それも外の行事か?」
12月。辺りは雪に埋もれ、もう少しで一年も終わる頃に、こいしは赤と白の服を着て、また呪文を喋る。
「うん! クリスマスって言うんだって。一年良い子でいた子供の所に、サンタクロースっていうお爺さんがプレゼントをくれるんだって!」
「へぇ、何とも優しい老人だな」
「だよね~。私の所にもプレゼント来るかなぁ?」
「一年間良い子でいた子供の所に来るんだろう? きっと来るんじゃないか」
「そうかな~、えへへ~」
そんな事を話したその日の夜⋯⋯俺は夜中の星空に何かが光りながら飛んでいたのを見つけた。あれは流れ星の一種だったのか、それとも⋯⋯。
─────1月
「寒ーい! 明けましておめでとう、地縛霊さん!」
「ああ。明けましておめでとう、こいし」
1月。年が明けた1月1日の、まだ日も出ていない早朝に、こいしは俺の所に遊びに来ていた。理由は、ここで初日の出を見るからだ。
「ねえ、本当にここって初日の出よく見えるの?」
「その筈だ。ここは人里とかよりも少し高い位置にあるし、朝日はよく見えるからな」
そんな事を話していると、周囲が少しずつ明るくなっていく。見ると、山の際が白け始めていた。
「ほら、もう少しだぞ」
そう言って指差し、こいしが振り向くと同時に初日の出が顔を出す。
「わぁ⋯⋯」
「⋯⋯」
俺とこいしは日の出の美しさに圧倒され、暫く黙り込んでソレを眺める。
「⋯⋯ねぇ、地縛霊さん」
「⋯⋯なんだ?」
「今年も、これくらい綺麗なものを見れると良いねぇ⋯⋯」
「⋯⋯そうだな」
─────2月
「ガオー、食べちゃうぞー!」
「⋯⋯今日は節分か」
「正解!」
2月。今日もこいしが何か持ってきたと思っていると、こいしは鬼の面を被って手を振り上げる。傍らには豆があるし、節分なのはすぐ分かった。
「こいしが鬼をやるという事は俺が豆を投げれば良いのか?」
「ううん。普通にお豆食べようと思って持ってきただけ」
「⋯⋯俺は食べれないんだが?」
「私が食べたいの」
「⋯⋯節分の豆は、自分の年の数だけ食べるっていうよな」
「えっ、そうなの?」
「ああ。こいしが何歳か知らないが、その分食わないとな」
「⋯⋯あ、はは。やっぱお腹減ってないから後でお豆食べよー」
「そうしろ」
─────3月
⋯⋯これは、どういう事だろう。
俺のいる木の近くに、人里の人間達が木を伐採するための道具を持って何かを話し合っている。
どうせ俺の姿は見えないのだし、彼らが話を話しているのか気になった俺は近付き、盗み聞きをする。どうやら彼らはこの木を伐採し、壊れている人里の橋の修理に使うらしい。
別に俺に害があるわけじゃないから、伐採されようが気にしないんだが⋯⋯それでも、ずっと傍にいたこの木が無くなるのは少し悲しい気もするな。
そんな事を考えていると、彼らは早速木に斧を叩きつけた。すると突然として眠気が襲い、俺は少し離れた場所で寝転がり、眠り始めた⋯⋯。
─────数ヶ月後 こいしside
「⋯⋯今日もいない、か」
私は、この間まで地縛霊さんと会っていた丘の上にやって来ていた。でも、もう地縛霊さんはいない。あの大きな木と一緒にどこかに消えちゃった。
成仏しちゃったのかな。それとも、退治されちゃったのかな。分からないけど⋯⋯何だか最近、心にぽっかりと穴が空いた感じがして気持ち悪い。多分、一年間も一緒にいたから、私にとって地縛霊さんはとっても大切な存在になってたんだと思う。
「⋯⋯人里にでも、寄ろうかな」
ふと、視界の隅に写った人里へと向かう。きっと、この気持ちを紛らわしかったんだと思う。でも、いざ人里についても、周りの楽しそうな声を聞いて虚しくなるだけだった。
「⋯⋯会いたいなぁ、地縛霊さんと」
そう声に出すと、目頭が熱くなって、何だか目の前が滲んできた。止めようと思って何度も目を拭うけど、全然止まらなくて、私は人里から離れたくなって、出口に向かって歩き出した。
そして、いつの間にか新しくなっていた橋を渡ろうとした瞬間─────
「⋯⋯こいし?」
─────ぶっきらぼうで、だけどどこか優しくて、懐かしい声が聞こえた。声の方を向くと、そこには⋯⋯
「地縛霊、さん⋯⋯?」
「ああ。久しぶりだな」
「⋯⋯地縛霊さん」
「何だ」
「⋯⋯地縛霊さん!」
私は目を拭うと、地縛霊さんに勢いよく抱き付いた。地縛霊さんは驚いた様だけど、私を受け止めて優しく撫でてくれる。ひんやりとした、地縛霊さんの体が心地良い。
「どうした、こいし」
「⋯⋯何で、何でなにも言わずにどっか消えちゃったの⋯⋯!」
「⋯⋯すまないな。実は⋯⋯」
話を聞くと、どうやら地縛霊さんは地縛霊じゃなくて、あの木そのものだったって、あの木の意思が自分だった事を思い出したって言った。よく意味が分からないけど、あの木は橋にされたから地縛霊さんもここに来たんだって。
「⋯⋯消えちゃったと思った」
「ああ⋯⋯」
「地縛霊さんと会えないって思ったら、何だか心にぽっかり穴が空いた感じがして、落ち着かなくって、涙が止まらなくなっちゃって⋯⋯それで⋯⋯」
「⋯⋯」
「それで⋯⋯凄く、寂しかった⋯⋯!」
「⋯⋯ごめんな、こいし」
「うぅ⋯⋯グスッ⋯⋯うわぁあああああん!!」
泣いた。大声で、地縛霊さんを強く抱き締めながら。多分無意識じゃなかったら人里の人達はびっくりしただろうな。
地縛霊さんは何も言わないで、私を強く抱き返してくれて、泣き止むまで優しく撫でてくれた。
その日は結局、落ち着くまで地縛霊さんに慰めてもらった。もっと一緒にいたかったけど、気付いた頃には暗くなっていたからその日は帰って、泣き疲れてたから倒れる様に眠った。
─────翌日 地縛霊さんside
「─────っていう事があってね~」
「へぇ⋯⋯それで、どうなったんだ」
こいしと再開してから翌日。俺は橋の上でこいしの話を聞いていた。
俺はいつの間にか、彼女にとって大切な存在となっていたらしい。そうじゃなければ昨日の事は無かっただろう⋯⋯悪い気分じゃない。
「⋯⋯っと、もうこんな時間か~」
「そうだな。本格的に暗くなる前に気を付けて帰れよ」
「うん! ⋯⋯ねえ、地縛霊さん」
「何だ」
「あの、ね⋯⋯こんなこと、急に言うなんて変だと思うんだけど⋯⋯」
こいしは顔を赤らめながら、モジモジとしながら何かを言おうとする。そして⋯⋯
「その⋯⋯大好き!」
何ともまぁ、恥ずかしい言葉を言いながら抱き付いてきた。俺は面食らったが、こいしに向かって微笑み⋯⋯
「⋯⋯ああ、俺もだ」
橋の上で、彼女と唇を重ねた。