1.物語の幕開け
なんか学校もなくてやることないので小説書きます。
よしなに。
大陸の大部分を占める王国、ブリタニア。
その王都から少し離れた場所に、王都の住民がゴミ捨て場として使っているスラムがあった。
「腹がすいたなぁ...」
降りしきる雨。
ぬかるんだ地面は、血臭と腐臭を放っている。
常人ならばその匂いと光景で立っていられないような場所。
そんな場所に、薄汚れた毛布に身を包み、ゴミ山に身を預け雨に打たれている少年が一人。
エムリス・アンブローズ。12歳。
これは、この薄汚れた少年の短い人生の、長い物語だ。
国内外問わずその魔法技術の高度や、魔力の強さで名を馳せる貴族、アンブローズ家。
その技術は建国に携わったとされている第一代当主、メルリヌス・アンブローズによって生み出されたものなのだという。複数の魔法を同時に使いこなし、元5属性すべてに適性を持ち、現存する魔法の7割を編み出したとされているその偉人は、アンブローズ家ではまるで神のように扱われていた。
エムリスはそんなアンブローズ家に5男として生まれた。
エムリスはメルリヌスと同じく魔法を複数同時に扱える才能を持って生まれた期待の星だった。発覚したのは5歳を迎え、人生初の魔法である無属性魔法“マジックボール”を会得した時だ。エムリスは会得したマジックボールを見事に3つ同時に発動させてのけた。
それを見た使用人から家内で噂が広がり、エムリスは「大魔導士メルリヌスの再来」と大いに期待されていた。もしここで、彼が魔法の複数同時発動を秘匿していれば、心に深い傷を負うことはなかったかもしれない。
9歳、第一次成長期を控え、生まれたときには不安定だった魔素が安定し、その魔素の総量がこれから大きくならんとする時期に、魔力の属性適正検査は行われる。
魔法には、「元5属性」と言われる火、水、土、光、闇の5つの属性がある。
人間の体に存在する魔素には大気中を漂う魔素とは違い、すぐに自分の思うようにその性質を変化させることができる反面、その性質変化には個々が持つ魔力と属性の相性がある。
その相性を明確化するのがこの属性適正検査である。
この検査で、彼の人生は180度回転した。期待が大きくなれば大きくなるほど、それが裏切られたときの失望は大きくなる。
属性適正検査は、王都の大聖堂にある巨大水晶を使い行われる。この水晶に魔素を流すと、水晶がその魔素を全属性の魔力への変換を行う。つまり、魔素を強制的に魔力へ変換するのだ。この変換に成功した属性が、被検査者の適正属性となる。
使用人たちが期待と羨望のまなざしで見守る中エムリスは希望とともに水晶に触れた。
数秒後、使用人たちがざわめく。
エムリスの魔素はどの属性の魔力にも変換されることはなく、水晶の中心で燻り、消滅した。
「なんでっ...!」
焦りや羞恥に突き動かされるようにエムリスは何度も魔素を流す。
しかし、何度やってもその結果が変わることはなかった。
彼には一切の適性がなかっのだ。
実際、属性適正を持たないものはそれほど少なくはない。しかし、それが貴族、ましてやアンブローズ家に出てしまったのが問題なのであった。
数々の魔法を生み出し、度々その魔法で国を救ったアンブローズ家から、なんと属性適正を一切持たない者が出たとの情報が外部へ露出し、家の信用や威厳を損ね、他の貴族や王族からの融通を受けられなくなることを恐れた当主ヘンジ・アンブローズは、エムリスを貴族名簿から抹消し、家から放り出した。
この時、エムリスが覚えたのは意外にも失望だった。それも失望したのは父親ではなく、自分の利益が危ぶまれれば即座に息子だろうと切り捨てる貴族の腐った利己主義思想だった。
それからは正に地獄だった。
身包みを剥がされ、薄汚れた毛布に身をくるむ汚らしい捨て子など拾ってくれる者はいない。
ましてや戸籍も持たないものを雇うものなど国中探してもいないだろう。
いや、もしかすればいたのかもしれないが、事実、彼が拾われていないことを見るに、相当、運が悪かったのだろう。
奪われ、奪い、盗み…
いろんなことをした。
店の野菜や肉を盗んだ。
待ちゆく人の財布をポケットから抜き取った。
馬を引いた行商人の商品をくすねた。
ただ、生きることに必至だった。
苦しかった。辛かった。
何度も死のうと試みたが、恐怖で震える手は脳の命令を拒絶した。
11歳、彼は王都のはずれにあるスラムへ辿り着く。
エムリスは、毎日王都から運ばれる大量のごみを漁り、食べれるものは食べ、売れそうなものは売って日銭を稼いで生き延びていた。
そして今日も、不安と絶望の中、満たされるはずもない空腹とともに、だれにも見つかることのないゴミ山の中で、静かに眠りへとつくのだった。
初心者なので、ここをこうしろとかってアドバイスはめちゃくちゃ取り込みますw
ぜひお願いしますね(^^♪