なろうの星
宇宙のまん中に立っていた。
そこでは自分の星をつくることができる。
だれでも自由に星をつくることができる。
わたしも星をつくった。
小さな星だった。
キラキラしていて、
ちょっぴりいびつで、
緑のようで青い、
小さな星だった。
わたしはこの星を育てることにした。
ひとりワクワクしていた。
ドキドキしていた。
大切に育てようと思った。
地面をならして、タネをまいた。
ひとつだけ、小さな芽がでた。
へんちょこりんな芽がでた。
3日たった。
星は小さいままだった。
1週間たった。
星は少しも大きくならなかった。
1ヶ月たった。
星はまだ小さいままだった。
ある日思った。
「誰かにこの星、見つけてほしいな」
みんなから見えるような、
大きな星になればいいと思った。
わたしはせっせと星をみがいた。
へんちょこりんな草を育てた。
星はまだまだ小さかった。
ぽつんと宇宙に浮いていた。
ある日、ひとりの人がたずねてきた。
「素敵な星をお持ちですね」
そう言って、星のかけらをひとつくれた。
とてもうれしかった。
少ししたらまた別の人がきて言った。
「がんばって育ててくださいね」
またひとつ、星のかけらをもらった。
とてもとてもうれしかった。
わたしは星のかけらを地面にうめた。
前よりもがんばってへんちょこりんな草を育てた。
わたしの星は、ほんのちょっぴり大きくなった。
わたしの星は、ほんのちょっぴりキラキラしだした。
ある日気づいた。
「みんなも見つけてもらいたい?」
この宇宙にはいろんな星があった。
人ひとりやっと立てる小さな星。
育ちはじめた中くらいの星。
小さい星が1000こ集まったよりも、大きな星。
それよりももっともっと大きな星。
見れば見るほど、たくさんの星があった。
少し先の星は、小さく強く光っていた。
たくさんのお客さんで、たのしそうな星だった。
そこに住む人は、笑顔でそれを迎えていた。
星は虹色に光っていた。
むこうの星は、すごく大きかった。
メラメラと、もえるように光っていた。
数え切れないお客さんがおしかけて、さわがしい星だった。
そこに住む人は、あたふたとそれを迎えていた。
星は赤く光っていた。
すぐとなりに、気づかないほど小さな星があった。
くらくて、よく見えなかった。
そこに住む人は、ひざを抱えて座っていた。
星は光をうしなっていた。
そのとなりに、消えかけた星があった。
そこには、誰も住んでいなかった。
ひとしきり星をながめた。
ひとつとして、おなじ星がなかった。
似ていても、ちがう星だった。
色がちがった。
光りかたがちがった。
住んでいる人もちがった。
ひとつとして、おなじ星はなかった。
ある日思った。
「わたしも星のかけらを贈れるかしら?」
生まれたばかりの星の人に贈った。
虹色に光る星の人に贈った。
くらくてよく見えない星の人に贈った。
みんな笑顔で星のかけらをうけとった。
「ありがとう。うれしいよ」
わたしも笑顔になった。
「ありがとう。わたしもうれしいよ」
みんなの星はちょっぴり強く、光りだした。
1年たって、わたしの星は大きくなった。
ちょっぴりだけ、大きくなった。
お客さんがたずねてくる星になった。
いつもは、笑顔の人がきた。
たまに、泣いている人がきた。
まれに、よからぬ人もきた。
たいていは、笑顔の人がきた。
わたしの星は、しずかに光っていた。
「こんにちは」
「良い星ですね」
「おじゃまします」
わたしの星は、ちょっぴりにぎやかになった。
今日も消えずに光っていた。
わたしはこの星が大好きになっていた。
虹色ではないけれど、
大きくはないけれど、
小さくてもしずかにここにある、
たったひとつの星が、大好きになっていた。
この宇宙に、ひとつとしておなじ星はない。
ひとつとして、おなじ星はない。
星のかけらは、なろうに住む方なら誰でも持っている応援の気持ちです。
ぜひあなたが訪れたい星に行き、そこに住む人に星のかけらを贈ってあげてください。
あなたの星と、あなたの好きな星が今以上に輝きますように。