激突!楓VSルシェール
東京駅丸の内南口広場でのストリート演奏準備会議も一旦終了、会議のメンバーが三々五々帰ったので、光の家は、いつもの光と巫女たちだけになった。
光とルシェールが、巫女たちに珈琲を淹れ、配っていると春奈がルシェールに頭を下げた。
春奈
「本当に手際がいい司会、よく考えてあって素晴らしかった、私だとそういう経験がないので、ルシェールで良かった」
ルシェールは、頬を赤らめる。
「いえ、春奈さん、みんないるから、安心して司会ができました」
「みんなの顔を見ていると、落ち着きます」
ソフィーもルシェールをほめる。
「私だと、四角四面な会議になるけれど、ルシェールだと温かい雰囲気になって、素直にみんな発言していた」
ルシェールは、頬を赤らめたまま。
「いえ、のんびり屋なので、話し方ものんびりです」
その顔で、微笑むので、巫女たちも全員なごんでしまう。
少し悔しさが消えない華奈も、やはり実力差を実感。
「私は絶対に無理、カチンコチンになって、声を出せないと思う」
「それで、光君とかみんなに心配をさせてしまう」
「ほんと・・・無力だなあ・・・がっかりする」
他の巫女たちも、そんな感じ、とにかく「最強ルシェール」を意識している中、リビングの大モニタースクリーンが、スルスルと下に降りてきた。
そして、その事態は、誰しも奈良固定の巫女楓の登場と予想すし、果たして、その通りとなった。
その楓は、最初から、ネチネチ気味。
まず、光を責める。
「ふーん・・・そういう大きなことをするのに、この私に何の連絡もない光君、マジで情けない」
「あちこちで騒動を収めたのは、まあ、当然だけどさ」
「でもね、光君はコントロールしただけでしょ、阿修羅が御神霊たちに動いてもらうようにお願いしただけなの」
「光君は、その後、見てるだけ」
「結局、ナマケモノなの、光君って人は」
口をへの字にした光を、楓は、また責める。
「その東京駅でのストリート演奏って何?」
「私に一言もないって、どういうこと?」
「私は、斎藤さんから聞いたの、警備するって話」
「恥かいちゃったもの、いとこで知らないなんてさ」
「それとも、私に来て欲しくないわけ?」
「それとも、私と斎藤さんの出会いの場を、認めないってわけ?」
「もうね、だから光君はアホで無粋で、女心がわからないって言うの」
・・・・とにかく長く続くので、聞いている巫女たちはヘキエキ。
春奈とソフィーが、ほぼ切れて、楓に反論しようとしたところ、ルシェールが二人を抑えた。
「楓ちゃんのほうが邪魔」
「そんな文句ばかり言って、光君の大事な演奏をつぶすってこと?」
「いい?光君はみんなに認められて、プロとして演奏を期待されているの」
「光君は、楓ちゃんの受験勉強が進んでいないことも心配して、あえて声をかけなかったの」
「わかる?それ、楓ちゃん、こっちに来るとさ、圭子お母さんのお叱りが無いから、超爆食になるでしょ?それで食べ過ぎて眠くなって、大いびきで寝ちゃうでしょ?」
「そんなことで、斎藤さんの通う大学に合格するほどの学力が身につくの?」
「かなりレベル高い大学だよ、楓ちゃん」
「光君の文句を言う前に、恋とか何とかいう前に、もっとやることあるよ」
「こっちに来たかったら、本気で勉強して実力を身につけなければだめだよ」
「それ、当然わかっているよね、わかっていないの?」
ルシェールの猛反撃で、楓は、顔面蒼白、どうやら完敗となっている。




