ストリート演奏で光の母のお菓子提供
ルシェールが手際よく、混乱を収めた。
「細かな話は、今後のご相談とさせていただきます」
「本日の打ち合わせ会議の目的は、あくまでも、今後の方針を定めておくこと」
「その全ての目的は、達成されましたので、本日の会議はこれにて、終了といたします」
そのルシェールの言葉で、全員が頭を下げると、巫女たちが席を立ち、動き出す。
光が立ち上がった。
「お菓子を作りましたので、是非、ご賞味願います」
「尚、お菓子に合わせた飲み物も、用意いたしました」
会議出席のメンバーが全員注目する中、「お菓子とお茶」が巫女全員により、配られ始める。
まず、ずっと黙っていたヴァイオリニスト晃子が配られたお菓子を一口、うれしそうな顔。
「あら・・・濃いめのチョコレートに、コニャック漬けのリンゴ?」
「あら・・・大人の味・・・深くて高貴な感じ」
大指揮者の小沢は口に含み、陶然。
「うん、これは・・・至福のお菓子」
「お茶は、リンゴのお茶、よく考えてある」
大ピアニスト内田も、うれしそう。
「難しい会議の後は、甘い物が美味しい」
「そのうえ、こんな上品で華やかな、そしてコクがあるリンゴ入りチョコレート」
「その美味しさを、リンゴ茶がさらに、甘く爽やかに高めていく」
柔道家坂口も実は甘党だった。
「モリモリ食べたいところだけど、この程度がいいのかな」
江戸の大旦那は、目を丸くした。
「こんな味があったのか、さすが光君だ、また惚れた」
財閥当主岩崎義孝は目を閉じて味わう。
「大量生産したくないお菓子だなあ、じっくり手間暇かけて職人が作る」
「それを楽しみに、心して味わう」
その岩崎義孝に、孫娘の華がこっそり。
「私も手伝いました、楽しかった」
岩崎義孝は、ここでも満足そうな顔になる。
さて、大手広告会社の望月梨花は、またアイディアが浮かんだ様子。
「たくさん作って、聴衆に小分けでもいいから、配りたいですね」
「レシピがあれば、いただいて」
ルシェールが、望月梨花に答えた。
「このお菓子は、光君のお母様の、膨大なお菓子レシピの一つを、そのまま再現しました」
「光君のお母様からの、感謝の気持でもあります」
「ただ、大量のリンゴと大量のチョコ、それから良質なコニャックが必要になりますので、それなりのコストもかかります」
大財閥当主岩崎義孝がうれしそうな顔。
「それは、我がグループにお任せを願いたい」
「光君たちに、お礼をしたくて仕方が無かった」
「ここでお礼が出来ないと、我がグループとして恥ずかしい」
「是非、レシピをいただいて、このお菓子を作らせていただきたい」
ルシェールが光の顔を見ると、光もうれしそうな顔。
「本当にありがたいことです、美味しいお菓子は、たくさんの人で食べると、もっと美味しくなります」
「音楽も、お菓子も、楽しめる演奏にしたいと思います」
その光の答えに、また会議出席者全員から、拍手が沸き起こっている。




