VS墓地に巣くう極道集団(3)
力なく座り込んでしまったヤクザ男を見て、都議の男が激高。
「おい!何だ!てめえら!それでも男か!」
「こんな娘にひるんで!」
ヤクザ男の一人が、その都議に震える声。
「江戸を・・・いや・・・関東を束ねる大姉御様です」
「そのお父上は、かの江戸の大親分・・・」
「逆らったら、どうなるか・・・仁義を欠くも甚だしい・・・」
しかし、大麻が頭の中に回った都議は聞く耳を持たない。
「るせえ!このボケ!」
ついに自制力も切れたようだ。
そのまま、ピストルの引き金に添えた指に力をこめる。
すると、金剛力士阿形が、雷のような声。
「おい!打って見ろ!」
「打てるんだったら打って見ろ!」
珍しく金剛力士吽形も口を開いた。
「実に情けない男たちだ」
「都議やら何やら知らないが、他人を武器や金で脅すなど、とても仏弟子とは思わない」
「人々の心を平和と安寧に導く御仏の弟子がなすべき所業ではない」
「そもそも、御仏の世界に、脅しも金も、必要はない」
「それを求めるのは、全く御仏の道からは、外れていることになる」
その吽形の言葉が、心に響くのか、立派な袈裟を着た僧侶が、蒼ざめていく。
しかし、激高した都議は、聞く耳を持たない。
「るせえ・・・御託を並べやがって・・・」
「お前が打てって言ったんだ!」
「じゃあ、お望み通りに打ってやる!」
「それで、どうなろうと、お前のせいだ!」
そのピストルの引き金に添えられた指に力が、こもる。
「バン!」
発射音が聞こえた次の瞬間だった。
「うわ!ギャ!」
都議の驚きと悲鳴の声が聞こえて来た。
そして、ピストルを撃ったはずの都議の身体は、空中に浮き、そしてコンクリートの地面に叩きつけられている。
吽形が静かに、自分の手を開くと、発射されたピストルの弾がある。
ソフィーが、厳しい声。
「ほら!そこの都議!極道!それから金満エロ坊主たち!」
「あんたたち、全員逮捕」
「ほら、見てごらん」
確かにソフィーの言う通り、大人数の警察官が走って来る。
また、多くの犬も走って来るので、麻薬捜査犬のようだ。
それでも都議は、起き上がりながらわめく。
「何だ!何の権限があって逮捕だ!」
「罪状を述べろ!不当逮捕だ!抗議する!」
ソフィーは、呆れたような顔で都議に近づく。
「あんんたたちの、今日の一連のことはね、全て警視庁、警察庁、官邸、都知事にも動画にて送付済み、それから渋谷駅でも実況、動画サイトでも世界中に流れているの・・・うーん・・・あんたの政党の事務所にも、後援会事務所にもね」
「凄まじい捜査になるね、極道もそうだけど、そこの金満エロ坊主たちもね」
そのソフィーの言葉が耳に入った「金満エロ坊主たち」は、手錠をかけられながら、ほぼ失神状態になっている。




