赤いドレスの女の子の暴言は続く 光の対応は?
光は、周囲の巫女たちを諭す。
「具体的に僕たちとか、周囲のお客様に何かをしなければ、動けない」
「あくまでも、あの女の子と、その家のこと」
「他人が口を挟むことは、できない」
その光の考えは、確かな正論であることから、誰も異論を挟めない。
すると光がまたポツリ。
「みんな霊力というか、透視能力が高まっているから、いろんなことが見えてしまう」
「だから、人の良い面と悪い面も、以前よりはクッキリと見えてしまう」
「特に悪い面を見ると、苦しみも感じるし、怒りも感じてしまう」
さて、周囲の巫女たちが、またしても「至極ごもっとも」と聞いているけれど、当の赤いドレスの女の子が、再び騒ぎ出した。
どうやらお付きの紳士に、何かを命令した様子。
お付きの紳士は、難しい顔をして、女性店員に頭を下げている。
そして、その紳士から話を聞いた店員も、さらに難しい顔。
それが、赤いドレスの女の子には気に入らないのか、紳士の脛を尖ったヒールの先で、文句を言いながら突きはじめ、女性店員にも命令口調。
「ねえ!さっさとしなさい!」
「それから、そこの身分の低い女店員!」
「私の命令が聞けないの?」
「あなた、何様だと思っているの?」
「このチンケな店がつぶされたいの?」
赤いドレスの女の子の声が、次第に大きくなり、周囲にも聞こえるようになってきた。
しかし、その文句のような命令口調は止まらない。
「さっさと責任者に連絡しなさい!」
「私ね、下賤な平民を見るだけでも吐き気がするの!」
「臭いし、メチャ貧相!」
「人間なんて思っていない!」
「だいたいね、平民の貧民は、音楽なんて楽しんではいけないの!」
「だから、さっさと、この楽譜売り場から全員、外に出して!」
「いい?それから脱臭剤をかけて!」
「もーーー!臭くてたまらない!」
赤いドレスの女の子の大声文句は、楽譜売り場のフロア全てに響いている。
そして、最初は何のことかわからなかった来店客にも、自分たちへの文句を言われていると理解した客が出て来た。
ソフィーが、ますます難しい顔になった。
「何か、取り囲まれるよ、あの女の子」
春奈も面倒そうな顔。
「はやく何とかしないと」
由香利も苦々しい顔で足を一歩進めた」
「あの女性店員では無理、仕方ないなあ」
その由香利を、ルシェールと由紀が押しとどめる。
ルシェール
「光君が向かっている、楽譜を持って」
「その光君を例によって由紀ちゃん、キャサリン、サラ、春麗が警護」
華奈は不安を覚える。
「光さんたちにまで文句を言いそう、あのガキ娘、マジ、気に入らないのはこっちのほう」
柏木綾子は、じっと光と四人の巫女を凝視。
「大丈夫だと思うよ、おそらく完璧な御業をなされるかと」
「すごい高貴なオーラが漂いはじめているもの」
その柏木綾子をソフィー、そして春奈、由香利、ルシェールが驚いたような顔で見つめている。