危険な計画の発見 大財閥の協力申出
大テロ事件の大元、竹内の市谷アパートにあったPCから、様々な危険テロの計画が発見された。
今回の渋谷駅一帯爆破計画の他は、新宿駅一帯爆破計画、そして東京駅一帯爆破計画が、ほぼ完成状態。
鉄道関連施設以外には、成田空港爆破計画、羽田空港爆破計画、関西空港爆破計画が未完成ながら、発見。
また、新築の国立競技場は、オリンピック開催中での爆破計画を作成中だった。
特別捜査本部から、その情報を受け取った官邸では、光たちに感謝するしかない状態。
首相からは、官邸に招待して、特別表彰状と記念品を進呈したいとの申し出があったけれど、光は全く無頓着。
「それは結構です、表彰状とか、記念品もらっても、大騒ぎになっても困ります」
「今は、音楽の練習に専念をしたい」
と、実にあっさりと断ってしまう。
また、大財閥の当主岩崎義孝からもお礼の電話。
「本当に大した協力もできないまま、問題を解決していただいて」
「何とお礼を申し上げていいのやら」
光は、大財閥当主にも、いつものハンナリ声。
「いえ、一番効果的な手段を選んだまでです」
「またいつか、お願いをすることもあると思います」
しかし、岩崎義孝は気が済まない様子。
「何とかして、皆様の御力になりたいのです」
「本当に我が企業グループをはじめ、この国にも大きな御恩をいただいたのですから」
その岩崎義孝のあまりの熱意に、少し困った光は、ひとつのお誘いをかける。
「実は、東京駅の丸の内広場で、フラッシュモブという即席の演奏会をしようと思っているのです」
「その際に、お聴きに来られてください」
「かの小沢先生とか、内田先生も演奏されるようです」
「お孫さんの華さんも、音楽をなさるんでしたら、参加されてもかまいません」
岩崎義孝は、光の口から出て来た名前に、実に驚く。
「え・・・光さん・・・かの世界的大指揮者の小沢先生と、これも至高のピアニストの内田先生までお知り合いで?」
光の声が恥かしそうに変わる。
「はい、子供の頃から、いろいろと・・・」
岩崎義孝は、うれしそうな声。
「それにしても、そんな大芸術家がお二人、ストリート演奏とは」
光は、少し笑う。
「いえ、音楽家は、生の演奏を聴いてもらって、その場で拍手を受けるのが一番好きなんです」
「小難しいアラ探しばかりするような音楽評論家とか、化粧プンプンで高いチケットを買って入るマダムとかよりも」
「率直に自分の音楽を楽しんでくれる人たちの前で、演奏をしたい」
「お金は、生きていけるだけあればいい」
「そんな感じです」
岩崎義孝の声に、強さがこもる。
「わかりました、そのストリート演奏、我が企業グループ、万全の体制でバックアップします」
「楽しいストリート演奏にしましょう!」
岩崎義孝の次に、孫娘の岩崎華が変わった。
岩崎華も実に大きな明るい声。
「光さん、私も参加させてください!」
そこまでは良かった。
岩崎華は、さらに大きな声。
「光さん!だーーい好き!」
光は、いきなり、うろたえている。




