渋谷に大災害を起こす邪神出現(1)
昨夜の春奈とルシェールの部屋交代と、今朝の飛鳥鍋朝食も無難に済み、光たちが家を出て駅に向かい始めると、上空には天使長ミカエルが浮かんでいる。
すると光も巫女たちもにっこり。
光が空に浮かぶミカエルに声をかける。
「降りて来たら?」
その返事は、ミカエルから早速あった。
「そうしたいのは、やまやまなんですが、渋谷で何か起きそうなんです」
光の顔は、すぐに厳しくなる。
「人に危害を与えるもの?」
ミカエルの声も厳しい。
「はい、その邪霊が渋谷に集まっています」
「弱き人を、傷めつける型の邪霊たち」
「かなりな数です」
光は、歩みを早める。
「学園を休んで、向かったほうがいいかな」
ミカエルは、否定する。
「今は、八部衆の神々、我々天使、そして地蔵様のお力で表面化は抑えています」
光は、目を輝かせて頷く。
「大地を揺り動かす邪霊・・・邪神か?」
「渋谷と言えば、鉄道、地下鉄も多く通る地」
「そこを狙うか」
ミカエルは深く頷く。
「その邪神が、弱き人を傷めつける邪霊を引きつけています」
光は、由紀の顔を見た。
由紀も、すぐに頷く。
「そうなると、浄霊結界かな」
「まずは邪霊の更なる集合を遮断する」
ミカエルから由紀に言葉が降った。
「護符を何枚かいただきたい」
「私と天使で張ります」
由紀の反応も速い。
即座に呪文を唱え、相当数の護符が天使長ミカエルに向かって、舞い上がる。
天使長ミカエルは、満足そうな顔で、由紀から護符を受け取り、あっと言う間に渋谷上空目指して飛んでいく。
光が、由紀の手を握る。
「ありがとう、由紀さん、助かった」
由紀は赤い顔になるけれど、冷静。
「そんなことより、大惨事を防がないと」
華奈が光の隣に厳しい顔で寄って来た。
「光さん、くれぐれも自分一人で危険なことはしないでね」
「この間は阿修羅になって、邪霊に汚染された航空機を手づかみしたでしょ?」
由香利も光に迫る。
「もう、将門公も伊勢の大神も住吉様も動き出した、だから無理だけはやめて」
その思いは、光と歩く全ての巫女に共通するもののようだ。
光も、その思いを察した。
「わかった、自重する」
そして低い声で、阿修羅の声になり、つぶやいた。
「今回の敵は、航空機どころではない、そのまま戦ったら光君は死ぬ」
その阿修羅の声に、巫女全員の身体が、震えだしている。




