華奈の意気消沈、光とルシェールは抱き合う。
さて、美紀も考えなかったように、ソフィーも光の妻候補は、ほぼ断念したようだ。
「好きだし、欲しいけれど、冷静に考えれば光君を全て受け止められるルシェールが適任」
「私だと、光君についつい怒ってしまう、それで苦しめてしまう」
「でも・・・実に哀しい・・・」
「日本国内では、一緒にいられるだけいいかな」
「光君の海外演奏旅行について行くと、オジャマ虫」
やはり冷静なソフィーは、理詰めで断念をしたのである。
しかし、そうはいかないのが、ずっと「お嫁さん」を自称してきた華奈。
光の家を大泣きで飛び出し、大泣きで家まで歩き、母美紀の顔などは見ず、自分の部屋にこもって泣き続ける。
「ルシェール・・・絶対かなわないもの・・・」
「子供の時から、そう」
「光さんは、どんなに楽しく遊んでいても、ルシェールが来るとルシェールのほうに行く」
「楓ちゃんが怒っても平気、ルシェールとベタベタしている」
「楓ちゃんがルシェールにコテンパンに論破されたこともあった」
「ルシェールは普段はやさしいけれど、怒ると最強」
「美人でスタイルがよくて、性格もいい」
「本気出されたら、かなわないって思っていたけれど・・・」
「ついに本気かなあ・・・」
「あーーーー!この世でもフラれる?」
「何回も何回も・・・どんな時代でも、フラれる・・・」
「光さん、大好きなのに・・・」
華奈は、同じことを何度も思い、泣き止むことができない状態。
一方、光とルシェールは、光の部屋。
いろいろと話をしている。
光
「ルシェール、ありがとう、心配かけて」
「春奈さんにも、悪かったかな」
ルシェールは、やさしい顔。
「私は、いつかはこうなると思った」
「春奈さんも、わかっていたと思う」
少し下を向く。
「私がおっとりで・・・私が最初から同居すべきだった」
「子供の頃から知っているし、好きだった」
「光君の好きな料理も味付けも全部わかっている」
光は、ルシェールの手を握る。
「いろいろ迷惑はかけるかもしれない」
「・・・子供の頃からかな」
光は恥ずかしそうな顔。
ルシェールも顔が真赤。
「私が最初に結婚を誓い合った人でキスした人だよ、光君」
「奈良の教会だったよね」
光の腕がルシェールをゆっくりと包む。
ルシェールも、光をしっかりと抱く。
光
「ルシェールとこうしていると、落ちつく」
ルシェール
「うん、光君、私に任せて」
光
「支え合おうよ」
ルシェール
「うん、ずっと・・・」
光とルシェールは抱き合ったまま、ベッドに横たわった。




