美紀の分析
華奈は大泣きのまま、家に帰った。
母の美紀も、巫女力で感づいていたようだ。
ただ、すぐには声をかけない。
あくまでも華奈が話すのを待つ。
美紀は、春奈について、考えた。
「可哀そうだけど、仕方ないかな」
「春奈さんは、他の巫女さんたちが同じ敷地内のアパートに入ってから、嫉妬が強くなった」
「その腹いせが、光君に向く、それで光君が苦しむことが何度もあった」
「それは、春奈さんは過去世は何回も、一番多く妻だったけれど」
「現世では、その任を与えられてはいない、だから年齢差も一番ある」
「それが辛くて、また八つ当たり、時々仲良くなるけれど、結局はまた光君の阿修羅の宿り子としての使命や、音楽好きにまで嫉妬」
「いけないとわかていても、独占できない辛さが嫉妬に向かう」
「そしてまた皮肉を言って、光君を苦しめる」
美紀は、光の哀し気な顔を思い浮かべる。
「お母さんの菜穂子さんが亡くなってから、自分に責任があるって、ずっと自分の心を切り刻んでいる子だよ」
「女性が自分を慕う思いは、引いてしまう、そんな資格がないと思い込んで」
「逆に、女性からのちょっとした悪意には、超敏感」
「だから、女性が接するのは、実に難しい男の子」
「お世話して慰めたいのは、みんな同じだけれど・・・」
美紀はルシェールの笑顔を思いやる。
「やはり光君には、ルシェールの冷静さと包み込む温かさがいい」
「おっとりとしている、お姉さんみたいだけど、実は芯が一番強い」
「本気になれば、呪力は世界最高クラス」
「任せておけばいいかな、安心できる」
美紀は由香利も考える。
「間違いはない、実に素晴らしい」
「でも、素晴らしすぎて、輝き過ぎて光君は、引き気味になる」
「キレキレの頼りになるお姉さんかなあ」
由紀については、また違う。
「お友達としては最高、光君が一番自然な笑みを見せるのは由紀ちゃん」
「呪力もはかり知れなく強い」
「でも、今の時点では・・・後はわからないけれど」
次に浮かんだのは柏木綾子。
「諏訪様の巫女かあ、確かに優れた巫女、まだ付き合いが短いから・・・化けるのかなあ」
「もう少し様子を見る、圭子さんも他の母親世代巫女も同意見」
キャサリン、サラ、春麗については、あまり考えない。
「現状では、光君を守るのに必死、呪力も強いし、光君を任せても全員が問題ないレベル・・・でも・・・現世での付き合いは短い、まだ結論には早い」
最後に、娘の華奈を思う。
「残念だけど、全く妻とか恋人のレベルに達していない」
「永遠の可愛い妹かな」
「教育不足を反省するばかり」
「私も光パパの史さんに振られたし・・・母子二代で・・・」
美紀も、結局泣き出してしまった。




