ルシェールと春奈の部屋交換決定、再び崩れ落ちる春奈
崩れ落ちた春奈をルシェールが抱き起す。
そして、いつも穏やかなルシェールとは思えないほどの強い言い方。
「春奈さん、当分、私と部屋を交換してください」
「少し話題に加われなかったからと言って、そこまで拗ねたり、ソフィーに厳しいことを言われて崩れ落ちるって、何事です?」
「そんな状態で、光君を支えられるなんて、大きな見当違いです」
「私だって、ずっと光君のそばでお世話したかったんです、我慢してきたんです」
「春奈さん、独占し過ぎです」
春奈は、全く反論できない。
またソフィーが春奈に厳しい。
「あのさ、本当にそうして欲しいの」
「光君は、プロになるの、だからマネージャーがいる」
「私が公安辞めればできるけれど、今の情勢では無理、わかるでしょ?」
「だから、ルシェールに頼む」
「ルシェールなら、間違いはないから」
「他の巫女さんだって、みんなそう思っているよ」
春奈が呆然として、立ち並ぶ巫女を見るけれど、誰も首を横に振る巫女はいない。
いつも意味不明な反発をする華奈でさえ、しっかり頷いている。
春奈は、今度は光を探す。
光が、どう考えているのかを知りたかった。
その異様な雰囲気を察したのか、光が春奈に少し頭を下げて、話し出す。
「春奈さんは、ずっと、至らない僕を、我慢して面倒を見てくれた」
「春奈さんがいなかったら、どうなったのか、わからない」
「すごく感謝しているし、しきれない」
光が、哀しそうな顔に変わる。
「こんなダメな僕だよ、春奈さんには負担をかけ過ぎたかなあって反省している、本当に支えてくれたもの」
「さっきの会議だって、春奈さんは、僕を支えようとして、必死に発言の機会を探してくれていた」
「残念ながら、僕の会議のやり方が下手で、春奈さんをガッカリさせてしまった」
光は春奈の顔を見て「ごめんなさい」と頭を下げる。
春奈は、少しだけうれしいけれど、光はまた、巫女全体の顔を見て、言葉を続ける。
「当面・・・どこまでの当面かわからない」
「確かにプロになるというと、演奏するだけではなくて、出演交渉とかスケジュール管理とか、僕にはわからない税金とか、いろいろあるの」
「この中で、ソフィーは公安という立派な仕事、情勢を考えれば、とても辞めるわけにはいかない」
「春奈さんは、学園の保健室の仕事がある、それも大切」
春奈は、この時点で、また膝がガクガクと震えて来た。
この話の展開では、ルシェールが光の一番近くになるのは避けられないと思うけれど、認めたくない。
何より、光が遠い人になってしまうようで、実に耐えられない。
光は、そんな春奈の思いには構わない。
そのまま結論を述べる。
「ルシェールをマネージャーとします」
「そして、母さんの部屋に入ってもらう」
「春奈さんは・・・」
光の目が潤んだ。
「僕が嫌いなら・・・」
「僕も一緒にいてとか・・・言えません」
春奈は、呆然、再び崩れ落ちた。
目も虚ろのまま、立ち上がることができない。




