光は巫女を紹介する。そして阿修羅出現。
光は、自分を見つめる岩崎義孝には、すぐに答えず、周囲の巫女を一人ずつ紹介する。
「全て、信頼できる女性たちです」
「まず、春奈さん、薬師如来の御力を使える巫女様」
「ソフィーは、特別公安調査官ですが、観音様、大天使ガブリエルの御力を使える巫女様」
「ルシェールはかの聖母マリア様の巫女様、フランス人です」
「華奈さんは、伊勢の大神の、純粋な血統を引き継ぐ巫女様」
「以上が全て僕の父の実家の奈良でかつて暮らしていた巫女様たち」
光の紹介にあわせ、名を呼ばれた巫女が頭を下げると、岩崎義孝と華も、恐れ入ったという表情、頭を下げる。
光は、また別の巫女を紹介する。
「由香利さんは、かの江戸の大親分の娘様にして、華奈さんと同じ伊勢の大神の巫女様、その中でも筆頭クラスの呪力を持ちます、また住吉の巫女様の血筋も引いています」
「由紀さんは、僕の長年のクラスメイト、日本唯一の八方除けの寒川神社の最も純粋な血脈の巫女様」
「柏木綾子さんは、かの諏訪大神の巫女様」
この時点で、岩崎義孝と華は、巫女たちの神々しさに圧倒され、ただ頭を下げるだけになっている。
光は次に外国人巫女を紹介する。
「キャサリンはアメリカから、英雄アーサー王の巫女様の系譜」
「サラは、オリンポス12神、アルテミス女神の巫女様」
「春麗は、中国九天玄女様の巫女様」
その外国人巫女の紹介が終った時点で、岩崎義孝と華は、ますます腰が抜けたようで、蒼い顔。
岩崎義孝は、恐れのあまり、その頭を下に向ける。
「これは・・・このような恐れ多いお方たちに、実に無礼極まる暴言を吐いてしまい、顔をあげることができません」
光は、その岩崎義孝をクスッと笑い、胸の前で手を合わせ、声をかける。
「岩崎様、お顔をあげてください」
「そして何が見えるか」
岩崎義孝は、その顔をあげるなり、硬直。
岩崎華も同じ、祖父の義孝にしがみつくのみ。
「奈良興福寺の阿修羅像が・・・ここに?」
「何故・・・」
光の座っていた場所には、阿修羅が六本の腕、三面の顔で座っている。
また、周囲の巫女は、阿修羅の光輝く神々しさゆえ、全く見ることができない。
その阿修羅の口が動いた。
「岩崎義孝」
おごそかな声が聞こえて来た。
「はい!」
岩崎義孝は、背筋を伸ばす。
「お前に力を貸す」
阿修羅の声が重い。
「え・・・」
岩崎義孝は、意味が不明。
「光君と巫女たちに協力せよ」
「それが、お前の贖罪、それは日本、そして地球を守ることにつながる」
阿修羅の声が厳しい。
岩崎義孝は、ますます硬直、身体全体から汗がふき出している。




